名門高慢女王吠える
「ふん、あなた、劉備とか言いましたわね。顔良、文醜、この下賤な輩を摘み出しなさい」
「はっ」
取り巻き二人は劉備を挟むと、そのまま彼の両腕を掴んで、校門の外へと投げ飛ばしてしまった。
「痛て」
受け身を取れず、劉備はコンクリートに背中を思い切りぶつけた。見ると。三人は既にそこにはおらず、校舎の中へと歩いて行ってしまった。
以上が、劉備の先日に経験した騒動の一幕である。諸葛亮は半ば呆れ気味に劉備を見ると、コソコソと小声で、彼に耳打ちした。
「一応警告しておきますけど、私達の最初の試合相手は冀州大付属ですよ。ヤバくないですか?」
「ヤバイに決まってんだろ。なあ、諸葛亮さん、あんたの口から部長に言っておいてくれ、俺は点心の喰いすぎで腹壊したから休むって・・・・」
「ダメですよ。メンバーが一人でも揃っていないと反則負けに・・・・」
「ま、任せた」
何たる無責任。劉備は諸葛亮に強引に押し付けると、そのまま凄まじい速さで彼女の前から姿を消した。
「ああ、これはマズイ事になったのです」
諸葛亮は慌てふためくと、仕方なく、事の要件を関羽に伝えた。
「な、何だと・・・・」
関羽は青竜偃月刀を地面に思い切り突き刺すと呆然としていた。無理もない。命の次に大事な大会である。こんなところで不戦敗など許されない。勝負に負けるならばまだしも、出たくないから出ないというのは許される話ではない。
「連れ戻せ」
「無理ですぅ。ずっとトイレの個室に籠ってて、ほら、私達女子じゃないですか。だから、その、男子トイレには行けません」
「マネージャーだろ。しっかりしなさい」
「そんなぁ~」
諸葛亮は頬を赤くして涙目になっていた。
パニックになる成都高校を笑いに来たのか、袁紹が顔良と文醜の二人を連れて、関羽の前に現れた。そして顎の下に手を当て、高飛車なお嬢様らしく高笑いをした。
「おーほほほ、憐れですわ。味方に裏切られたり、兵糧庫を燃やされるがごとく憐れですわ。信頼していたレギュラーメンバーが怖気づくなど笑止千万。そもそも予選の段階で辞退しておくべきでしたわね」
「言いたいのはそれだけかしら。名門さんは去年地区予選敗退で、相当恥ずかしい思いをしたみたいね」
「あ、それは・・・・」
袁紹の目の前に、去年の雪辱が思い出された。去年、冀州大付属は地区予選の段階で敗退している。
「ふん、いくら憎まれ口を叩いても無駄ですわ。このままではあなた達は、試合をするまでもなく敗北。私達の不戦勝ですわ」
「ちょっと待ってろ。今、運営に相談してくる」
関羽はプイッと袁紹の前から姿を消すと、やけに足音を立てながら、運営者達のいるテントに向かった。




