ニナと③
翌日。8月30日。
明日は特に用事もないし、夏休みの最後はニナとのプールで締めくくりになりそうだ。
まぁ…良かった。
ニナにはいろいろ世話になったというのに、騒がしく終わったあの旅行でニナとの夏の思い出が終了するのは残念だからな。
しかし問題が…一つ。
身体が今日もあかみんのままなのだ。
海に旅行に行った時に一応女物の水着を用意していたので準備に問題はなかったのだが…気恥ずかしい物がある。
水着を着るのはイイんだ。
思考にあかみんがいるので普段からこの姿の時は下着等をちゃんと着用するよう言われてきたし、気恥ずかしさが全くないといえばウソになるが感覚として『自分の身体』みたいなものがあるのでそこまでは気にならない。
けれど女子更衣室…これだけは問題だ!
他の女性やニナがいる中で思考はちゃんと男子してるオレが中に入るのは辛い物がある…!
「ほら、いつまでも身構えていないでさっさと行くわよ」
「イイのか!?お前はイイのかよ!?」
「そんな事言ったってどうしようもないじゃない。でもできるだけ私とは離れて人の少ないトコロで着替えてよね」
「………」
「あと、今度男に戻った時に一度殴るから」
「…なぁ、今からでも中止して別のトコロいかないか?」
「あー…もう!とっとと行くわよ!」
結局ニナに引っ張られて女子更衣室に入ってしまった。
空いてるロッカーを探していると、丁度人のいないスペースがあったのでそこに突き飛ばされたが。
…とにかく、今は丁度良いタイミングみたいだ。
すぐさま着替えてプールに向かおう。
着替えた水着はオレンジ色で、パレオ付きな物。
あかみんはオレンジ色が好きらしく、迷いなくコレにしようと思考に進言があった。
…うむ。今は自分の身体ながらよく似合っている。
もし自分があかみんと全く関係なく、偶然こんな姿を見かけたら見惚れて言葉もなくなる自信があるわ。
とはいえ鏡に映った自分の姿にいつまでも見惚れているワケにはいかないのでとっとと更衣室の外に出るとしよう。
更衣室の外に出ると…うっわ、やっぱ凄いなこのシーランドプール。
外に出てまず思ったのがここプールじゃなくて遊園地じゃね?と思うほどの広さに、とんでもなく大きな滑り台。
それに夏の終わりを満喫しようとしてか客も沢山。
普通に入場料払ったらプールにしては値が張るんだが…それでも人がたっぷり集まるほど人気っぽいな。
「…おまたせ」
「おぅ。お待たせされた、ぞ…」
プールの景色に圧巻していると後ろから聞きなれたニナの声に呼び掛けられ、振り返ったのだが―――言葉を失った。
いやだって…マジで?
初めて会った時はオレを女だと思っていたとはいえ風呂上りに髪ボサボサにしながらビール飲む、ぶっちゃけどこのオッサンサラリーマンだよと思うような行動する意外とがさつな女のニナが…。
ものすんごく、綺麗。
着ている水着はまさかの黒ビキニ。
けれどエロイとかイヤらしいとかの下品な感じはまったくなくて、ただただ綺麗。
あかみんに比べて胸が小さいとか気にしていなが、全然小さいワケでもなくスタイルの良さという点では凄くバランスの良い感じ。
とにかく綺麗で…言葉にならなかった。
「ち、ちょっと。何固まってるのよ?」
「あ、いや…うん…」
「…ホント、変な態度とるわね。それにしても明美ちゃんは相変わらず美人ねぇ」
自分なんかと比べたら悲しくなってくる、とでも言わんばかりの発言をするニナだが…自分への評価厳しすぎだろニナ。
男のオレは平凡極まりないし、普通に歩いていたら絶対に不釣り合いだと言われるだろう事が想像できるほどイイ女だよニナは。
「はぁ…」
「ちょっと、あんたまで何元気なくしてんのよ?」
「…別に。ともあれ、適当に遊ぶとするか」
ニナの自分への自信の無さに呆れながらも、せっかくプールに来たんだし満喫する事にする。
あかみんもニナも見た目がイイもんでナンパされたりもしたが、中身男のオレが男に遠慮なんてするはずもなく思いっきり追い払ったりしたけど楽しく満喫させてもらった。




