ニナと②
午後6時。今日のバイトは終わりで帰宅するトコロだが、今のオレの身体はあかみんで。
相変わらずニナとは連絡とれないので今日もりーちゃんの家に世話になる。
とはいえ今日はりーちゃん一家は例の引っ越しの手続き云々で留守にしているのだが。
家の鍵だけ預かって好きにしていいよと言われてしまい、流石にそれは…と思わないでもないが他にアテもないので今日もお世話にならせてもらうしかない。
トゥルルルー。トゥルルルー
誰もいない家に帰宅しようしたトコロでジーンズのポケットに入れたスマホから無機質な着信音1が鳴る。
オレはあまり設定を変えない事から誰々は何の曲と区別つけないので知り合いからでも誰からの電話かはすぐに分からない。
今のオレの身体はあかみんだし、相生からの連絡だと居留守使うしかないなと思いながらスマホを確認する。
………ニナじゃねぇか。
「もしもし。どうした、電話は久しぶりじゃねぇか」
「…?あぁ、今は明美ちゃんなのね。綺麗な声でぶっきらぼうな喋り方されるからビックリしちゃった」
理由は分からないが怒らせてしまったからあまり連絡取れなくなってしまったのかと思っていたけど、電話越しでは結構普通だな。
「で、要件は?何かあるんだろ?」
「あぁー…。うん、要件ね。あるんだけど…。うぅーん…」
「なんだよ、ハッキリしないな。お前らしくない」
「…私らしくないか。私らしいって、何かな…?」
「…何か悩みでもあるのか?今外で電話とったからあまりしっかり聞いてやれないけど…。普段のニナはオレに言いたい事をズバズバ言う遠慮ないヤツじゃないか」
「そだよね…。うん、あんたには遠慮なくズバズバ言ってるのが私だよね、うん」
そこで少し間が空いて沈黙が走る。
…オレの知らないトコロで、黒スーツとか博士などの連中とかの荒っぽい事件とは別にニナの回りで問題でもあったのかな。
美菜子さんは普通にしていたから、ニナ個人に何か悩みとか。
こんな控えめというか元気がないのはちょっと、ニナらしくなくて戸惑う。
「あんたさ、明日ヒマ?」
「あぁ、バイトもないしりーちゃん一家もいつ帰ってくるか分からないからヒマしてる」
「あ。あんたの事情でもできそうなバイトあったんだ。それはともかく………」
「…ともかく?」
「…うし!明日プールいかない?ヒマしてるなら丁度イイでしょ!?」
「お、おう。全然問題ない」
突然勢いよくプールに誘われてビックリしたが、まぁこうやって勢いある方がニナとの会話らしくてさっきまでのハッキリしない態度よりは全然イイ。
「…で、何処のプールに行くんだ?」
「電車で何駅かいるけど隣町のシーランドプールでイイ?またお父さんの友達からの貰い物だけど半額になる券もらったからさ」
「おぉ、あの遊園地みたいに広くていろいろあるプールか。ちと値が張るけど半額なら問題ないしイイな」
「残念、半額になるのは私だけ」
「おぃ!」
「あはは、ウソよ!期間が2、3日と短いけど券があれば何人でも何度でも安くなる券だから」
…なんつーか、さっきまでのハッキリしない態度がウソみたいに普通に接してくるな。
ホントに怒らせていたワケじゃないみたいだし、どうなっているんだか…。




