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オレンジ赤坂  作者: 雅弌
番外小話
56/60

ニナと①


8月29日。

夏休みがホントのホントにラストスパートだ。



この夏休みを思い返してみると…遊びに出かけたのがニナとの旅行とりーちゃんとの花火大会くらいしか思い出がない。


それ以外は男の姿では、相生の家かりーちゃんの家で遊び…女の姿、あかみん状態ではやはり…りーちゃんの家くらいしか行く所がなかった。



部活を辞め、変に騒ぎをおこしたせいで悪い感じに噂が立ってしまったのであまり外を出歩きたくなかったというのも理由にあるが。


…おっと、この手の思考をするとあかみんとエー君が相も変わらず責任感じたりしやがるのですぐに切り上げよう。



まぁ外で遊ぶのも電車で隣町とかいけばクラスメートや元部活の仲間にあまり会わないで済むだろうのでいくらでも遊ぶネタはあったはずなのだ。


けど相生はアイドルの追いかけで忙しかったり、りーちゃんも引っ越しの手続きで忙しかったりであまり遊び回れなかったのだ。

りーちゃん一家に至っては本当に急な引っ越しだったので、何度も前の家と今の家を行ったり来たりしてたしな。




………。

…ニナがなぁ、最近様子おかしいんだよ。


いや、出会ってそう間も立ってないから最近というのもおかしいかもしれないが、登校日以来けっきょく一度も会っていない。


何か怒らせるような事…は、日頃からしてるような気もするが喧嘩はしていないはずだ。

というより登校日以来会っていないのだから喧嘩もしようがないのだが。



メールは返ってくるし、心配になって美菜子さんに電話したら笑いながら『何でもないから気にしないで。むしろ今からでも遊びに来てくれても…『おかーさん!勝手なことしないで!』』的な会話となった。



また事件に巻き込まれるとか、そんな感じではなさそうなので一安心したが…。




「すみませーん、レジお願いしますー」


「あ、はーい!」





おっと、今は仕事中だった。

ぼーっと考え事ばかりしていないでちゃんと仕事しないと。




「わ…」


「…?どうかしましたか?」


「………」


「…お客様?」


「…はっ!?えっと、その…フライドチキン!フライドチキンを3つおねぎゃいしまっ!」


「フライドチキン3つですね?少々お待ちください」





…とまぁ、こんな感じに変にテンパってる大学生くらいの兄ちゃんの接客をしているが、ついに身体が度々入れ替わるオレでもできるバイトが見つかったのでオレは現在仕事中だ。


仕事はコンビニのレジと仕入れ。

けれど、多分今日かぎりの仕事…所謂日雇いってヤツだ。



りーちゃんの親父さんが派遣会社のような場所でまとめ役をしている人を紹介してくれたのだ。

一般の人で、魔法等に詳しくもなくオレの事情を説明する事もできなかったのだが、男のオレ『篠崎 和也』と女の姿の『赤坂 明美』を別々に『部活で日頃忙しいが進路に悩んでおりいろいろ経験を積みたがっている学生』として、りーちゃんの親父さんがハナシを通してくれた。



おかげで、ここ数日バイトができたので金欠もなんとか脱出。

気難しそうな親父さんだと、若干苦手意識があったが感謝してもしきれません。




「お釣りが65円になります。お確かめください」


「………っ!?」


「…お客様?」


「…はっ!?あ、ありがとうございました!」


「え、えっと…こちらこそありがとうございました」




お釣りを渡す際に少し手が触れてビクン!と反応したりした大学生らしき兄ちゃんは変な汗をかきながら脱兎の如くコンビニから出ていった。


…変なお客さんだなぁ。てか、こんな感じの人結構いてウチの地元って変な人多いな…。


自分も地元民として軽くショックを受けそうだ。




「いやー…明美ちゃん人気だねぇ。人寄せになるだろうから正式にバイトしてくれると嬉しいのに」


「…あ。そういう事か」


「?」




裏で飲み物の補充等をしていた店長さんに言われて思い出す。


…そういえば今のオレ、あかみん化してるんだった。


ひと夏の間経験したあかみん化だったので完全に慣れてしまって、今自分が男なのか女のか意識が薄れてきてしまっている。



…そのうち男子トイレと女子トイレ間違えそうで怖いな。





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