表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレンジ赤坂  作者: 雅弌
番外小話
55/60

りーちゃんと④


イカ焼きタコ焼き焼きそばリンゴ飴フライドポテトチョコバナナ。

夏祭りの会場である公園に到着するなり、早速食べ物を堪能した。


…以外と食うぜ、りーちゃん。

分け合って食べたとはいえ、男子高校生の食欲についてきたよ。


しかもお祭りの物価の上がりっぷりに財布はもうすっからかんだ。

この夏休みは結局バイトもできなかったし貯金もほとんどない。


一度母方の爺ちゃん婆ちゃんに小遣いを貰えたので、その軍資金が何とか残っている程度だ。





「あの…どうか、しました…か?」


「…いや。祭り、楽しんでるか?」


「はい…!」




…けどまぁ、りーちゃんも今は照れる事なく笑顔を見せてくれているし悪くない。

多少、食べ物で小遣いがなくなってしまったが家で食べてきて祭りで少し満たすとか対策はとれたのだからいつも通り考えなしの自業自得だしな。


時間は18時30分頃。花火大会は公園に面した広い川で行われるので特に場所取りも必要ないだろう。

射的や金魚すくいの屋台で時間をギリギリまで潰す事にして…。


ゲームではハンドガンだろうと狙撃銃だろうと使いこなしたりーちゃんだが射的の屋台ではなかなか上手くいかない。


ここはエージェントの腕の見せ所!や弓で慣れてるから射撃はお任せ!とエー君もあかみんも張りきったが…まぁ、当たっても落ちなかったりするんだよこういうのは。


今回も2人は活躍する事なく残りの球数は一つ。


一回300円で弾は三つなので思考というか感覚をエー君、あかみんと順番に任せたが景品は取れない。

しかもりーちゃんにプレゼントしようと狙った小さなウサギのぬいぐるみに当たっても落ちずという結果だったので2人ともふてくされてしまった。


こういう時は諦めて別の景品を狙うべきであってだな…。




「頑張って、ください…お兄、さん…!」


「…おぅ!任せろ!」




もうパターン化してるよねしのやん相変わらずりーちゃんには弱いなお前うるせーよ2人だってりーちゃんに弱いだろうが!


こんな思考会話も何度目だろうか。


もはやテンプレになりつつ銃を構えると…。





「あれ、篠崎くん?」


「…ん?」




りーちゃんと同い年くらいの男の子を連れたオレと同い年くらいの浴衣の女子に声をかけられた。

茶髪な髪を簪で結って夏の雰囲気を出している普通にオシャレで可愛い女子。


…見覚えがあるような、ないような。




「あ、もしかして覚えてない?小中と一緒だったのに」


「………あ。緑沢か?」


「そ!やっと思い出してくれた?」


「いやいや。思い出したっつーか茶髪だし浴衣だし髪結ってるし1年以上会っていないしですぐわからねーよ」




緑沢 杏子。

小学校、中学校と同じ学校で幼馴染とまでは言わないが馴染みのある顔だ。


中学卒業した時は黒髪だったし、顔も大人っぽくなっているから…浴衣云々がなく街中で会ってもすぐには緑沢だと分からなかったかもしれない。




「…あれ?篠崎くんってお姉さんがいるハナシは聞いた事ある気がしたけど妹さんはいたっけ?」


「いや。最近、近所に引っ越ししてきた子で…まぁいろいろあって親しくなった。むしろ緑沢の方こそ…弟なのか?聞いた事なかったけど」


「弟だよー。話した事はないっけ」




緑沢の弟に挨拶しようとしたが、緑沢姉の後ろに隠れてしまう。

…人見知りか。こういう相手は苦手だぜ。ぶっちゃけりーちゃんも見た目通り人見知りだったら苦手意識があったかもしれない。


まぁ―りーちゃんの中身はむしろ芯の強い肉食獣だったワケだが。




「とりあえず紹介しておくか。こっちは青峰 理香。妹じゃないが姉の存在消して妹にしたいくらい可愛い女の子だ」


「…!…!~~~~っ!」




あ、りーちゃんが照れた

浴衣を褒めた時もそうだが可愛いと言って照れるりーちゃんがこれまた可愛い。


今回は顔を真っ赤にしてオレのジーンズを引っ張って睨みつけてくるといった反応だが…怖いどころか可愛いんだよなぁ。




「あはは。篠崎くんって昔から何か好きになると極端に好きになるよね。カナちゃんとかジョンとか」


「…ほっとけ」




…幼馴染ではないが十分オレの事を知っていやがる。

忘れたいような事やほとんど覚えていない事まで。



…で、カナちゃんとジョンって?うるさいほっとけふむ初恋の女の子と近所の犬かテメェ等思考読みやがって!無意識にでも思考するから読まれるんだよしのやん。



…なんて思考会話をし、そして頭痛。忘れたい出来事を知られたから八つ当たりしたが、自分も痛い。

まぁ別にあかみん達とは思考共有してるからしょうがないとは分かってはいるから…本当に八つ当たりだな。




「で、こっちは弟の緑沢 雄一。人見知りだけど仲良くしてやってよ」




紹介されはしたが、緑沢弟は姉の後ろから出てこない。

屋台の灯り等で周囲はそれなりに明るいが、夜という事もあってなかなか顔を見る事すらままならなかった。




「あ、射的やってるんだ。どう?景品取れてる?」


「いや、りーちゃん…この娘にあのぬいぐるみを取ってやろうと狙ってるんだが、当たりはするんだがなかなか落ちなくてなぁ」


「そういうのはさっさと諦めた方がいーよ。狙えるなら…ほら、アレとかどう?」





緑沢は喋りながら、オレの隣へと自然に寄ってくる。

…む。近くで見るとホントに可愛くなったな、緑沢。


昔は垢ぬけてなかった気がするのだが今は軽く化粧もしてるみたいだし、髪も染めちゃって普通にオシャレで可愛らしい。


…化粧してるのか。自然と思考に交じったがオレには分からん。


思考にあかみんという女の子がいるだけあって、女子の細かい変化に気が付けるのはイイな…と思ったが、気が付いたのはエー君?以外だな。


そんな思考をしていたら突然、服の裾をクイッと引っ張られた。

―りーちゃんだ。


上目遣いで、何か言いたそうにしながらオレの服の裾を引っ張っている。





「…りーちゃん?」


「あ…その…」




声をかけたら居心地悪そうに目を逸らした。

けれど、握った服の裾を離そうとはしない。


もしかして…さっきから緑沢とばかり話したりして仲良さそうにしてるから嫉妬してるのか?




「あ、そうだ。篠崎くん、よかったら一緒に見て回らない?こんな人見知りの激しい弟と二人じゃつまんなくて」


「あ、いや…」




緑沢は軽いノリで誘ってくれたみたいだが、りーちゃんが裾を握る力を強めた。


コレってやっぱり―――。

ホント、可愛いなりーちゃん!





「わるいけど、今日のオレはりーちゃんに独占されるって約束されてるんだ。またの機会にでも遊ぼうぜ」


「…ロリコン?」


「ちげーよ、うるせーよ!」


「あはは!マジになって否定しなくても!」




いやね、りーちゃんの事好きだよ?

けど好きの感じが違うし、りーちゃん以外の子供は興味ないし!




「ま、フラれちゃったみたいだし仕方ないか。でもせっかくだしまたの機会なら遊んでくれるんだよね?」


「誘われりゃ断る理由はないな」


「そこは紳士的に誘いなさいよ~!」





そう言って緑沢は右の拳をグリグリとオレの胸に押し付けてくる。

さっきまでは気が付かなかったが近くに寄るとなにやら良い香りもしてくるし、女の子らしくなった緑沢にどうしても少しばかりドキッっとしてしまう。



あいたっ!

あかみんとかからの頭痛攻撃ではなく、りーちゃんに脇腹つままれて痛みが走った。


い、意外と嫉妬しやすいんだなりーちゃん。

まぁ嫉妬するほど好意をりーちゃんも抱いてくれてるんだなと思うと嬉しくはあるが。




「じゃ、またね~」


「おぅ。またな」




緑沢は大げさに手を振ってその場を離れたが…結局は弟の方は一言も話さなかったな。

向こうにしてもりーちゃんは全然話さなかったなとか思ってるかもしれないが。


んで、そのりーちゃんは…緑沢にかまけてばかりだったからか拗ねてそっぽを向かれてしまった。


それでもオレの服の裾を離さないあたりがホントに可愛いんだが。




ごめんな、と一声かけて頭を撫でるとりーちゃんは余計に顔を隠すように下を向いてしまう。


…なんでりーちゃんの動作一つ一つはこんなに可愛いのやら。



その後は手を繋いで花火を見たり、また食い歩いたりしながら2人で夏祭りを満喫した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ