りーちゃんと②
オレとあかみんは、今までエー君の反射神経や戦闘技術に頼って戦闘を行っていた。
しかしそれは、いつもオレが言われる考えなさすぎる思考が招いた大きなミステイクではないのだろうか?
いや、今おこなったのは所詮ゲームだよ?
けど…りーちゃんに手加減するどころか虐殺されて、バールで接近戦されても勝てなくていつぞや友人が『バールこそエクスカリバール!!!』とかワケの分からない事を言っていたのだがバール最強説まで実感してしまったぜ!
エー君は同画面でやるFPSなどリアルさに欠けるとか言い訳めいていたが、りーちゃんも同じ条件。
ゲームとはいえエー君を圧倒する戦闘技術もしくは才能。
それでいてあかみん同様に魔法も使えるエキスパートとか将来的には三位一体したオレ達でも勝てなくなるんじゃないだろうか。
「えっと…まだ、やります…か?」
「いや、十分だ。やっとあかみんとエー君も負けを認めたよ」
ゲームだというのに2人はなかなか負けを認めない負けず嫌いだった。
オレは日頃からゲームでは負ける側だったので大して悔しくなかったんだけどな。
いやまぁ年下の女の子に負けるのが完全に悔しくないワケじゃないが、勝てない物は勝てないんだと割り切れるというかね。そんな感じ。
「さて、罰ゲームで何でもいう事聞くんだったな。…あ、この場合ってオレ側は3つ聞く事になるのか?エーくんとあかみんもいるし」
「ひ、一つで…イイです…!」
謙虚だなー、りーちゃん。別にりーちゃんのお願いとかないくらでも聞いてもイイと思ってるから3つでも構わないんだが。
そんな事を考えているとりーちゃんはスカートのポケットの中から綺麗に折られたチラシを取り出した。
…ん?何か見覚えのあるチラシというか、コレって。
「町内の夏祭りのチラシじゃないか。今年最後の夏祭りーってヤツ」
「は、はい…。できれ、ば…このお祭り、に…一緒に…行って、くれると…嬉しい、です…」
…何でもいう事を聞くって罰ゲームでこんなお願いされるとは。
ここまで遠慮されながら頼まれると心の距離感的なのを感じて少し悲しくなる。
そう思ったら自然とりーちゃんの頭に手が伸びて、髪をわしゃわしゃとかき乱してしまった。
「あぅ…!?」
「こんなの罰ゲームでも何でもないじゃないか。もっとマシな罰ゲーム考えなさい」
「ま、まだ…お願いの、続き…が、あるんです…!」
「…ん?」
「この、お祭り…には、お兄さん…と、2人で、行きたい…んです…。お兄さん、を…独占、したく…て…!」
『おぅ…』とオレの口からも、頭の中からも唸るような声が漏れた。
顔を真っ赤にしながらお願いしてくるりーちゃんが、とんでもなく可愛い。
この可愛さにはオレの中のエー君かあかみんもグッとくるものがあるのだろう。
「それでも、罰ゲームとはちょっと違うな。そんな可愛らしいワガママみたいな物ならいくらでも聞くからよ」
「…私、凄く…ワガママ…です、よ…?」
「へぇ。りーちゃんってワガママなのか。今のトコそんな感じしないから素のりーちゃん見れる事の方が嬉しいぜ」
「はぅ…」
思った事を口にしていたらりーちゃんは可愛い悲鳴をあげてうつむいてしまった。
うつむく直前のりーちゃんの顔は少し赤くなっており照れているのかこれまた凄く可愛い。
「罰ゲームは…そうだな。お祭りが終わるまでにオレが納得する罰ゲームじゃなかったら逆にりーちゃんに罰ゲームを受けてもらおう」
「えぇ!?」
「なんだかワガママなりーちゃんってのも見たくなってきたし。それくらいしないしないとまだ遠慮しそうだし」
無茶苦茶な事を言っているとは自分でも思うが、りーちゃんの遠慮がちな態度は改善されないと思う。
ともあれ、こうしてオレとりーちゃんは町内での今年最後の夏祭りに2人で行くこ事が決定した。
日時は4日後の夕方からだ。




