諏訪部 慶介
「学校見学?」
「まぁ…偶然にもあんたと同じ学校に通う事になるのよ」
8月の半ば。世間的にはお盆の最終日にオレはニナの家に世話になっていた。
ちなみに今のオレは男。あかみんの姿の時だけ世話になるってのも都合よく使ってるみたいだから普段から世話になる事が増えた。
もう週の半分以上が黒井家にいるよ。
姉ちゃんと戦争おこして関節決められるよりニナに怒鳴られる回数の方が増えている。
どちらにしても平穏に過ごせてないのが何とも言えないが。
「なるほど…明日は出校日だし、ついでに見学だけでもどうだってハナシが来てるのか」
「そういうワケ。それであんたと知り合いだって話しをしたら明日案内を頼んでみるって先生が言ってたわ」
「そっか。まぁ了解。特別案内する所もないけど食堂とかは案内するさ」
「私は学校始まってもあんたに世話になれるツテがあるからイイけど、私以外にもう一人転校生がいるらしいのよね。その人のためにもちゃんと案内しなさいよ?」
「ふーん…高校の転校生って珍しいもんだと思っていたが以外といるんだな」
高校は中学までの義務教育と違って学生が自分で選んで通う場所。
だからニナみたいに親の仕事の都合とかで引っ越ししない限りよっぽど転校とかはないと思ってた。
仕事の都合でも基本は単身赴任とかそういうのが多いだろうから家族での引っ越しってのも珍しいと思うし。
「ふふ。シノくん、ニナは人見知りな所があるからちゃんと面倒みてあげてね?」
「ちょ、お母さん!」
「…人見知り?誰が?オレ初対面で連れてこられてビール飲まされましたよ?」
「ニナちゃん、ヤケになる事が多いから。けど学校とかで沢山の人と一度に接すると縮こまるからきっと面白いわよぉ」
「へぇ…」
「そんな事ない…とは言わないけど、そこまでじゃないから!」
美菜子さんに言われて初めて知るニナの一面。
…以外だよな。初対面のオレにはさっき言った通りだが、銃を持った博士にタックルかましたりするもんだから凄い度胸の持ち主だと思っていた。
だから人見知りするとか考えてなかったが…そういえば、サッカー部の面々には怒鳴り散らしていなかったな。
ニナの性格ならオレになら真っ先に気に入らないって怒鳴り散らすが、反論してたのはりーりゃんかあかみんエー君だった。
そういや引っ越す前は友達が少なかったって美菜子さん言ってたっけ。
まぁ問題は…やっぱり、オレのせいで目立つ事かな?
オレの彼女騒ぎはあかみんたちが身を挺した事で勘違いだと伝わったと思うが…。
あ、別にオレの彼女だったとしてもそんな目立たねーか。
サッカー部の連中には目をつけられたがそれ以外は「ふーん、あいつの彼女なのか」程度で済むだろうし。
…なんて、考えは浅はかだった。
翌日、学校でオレが案内するのはHR後なんだがその前に教師が教室だけを簡単に案内するらしく…。
ウチの学校はブレザーなんだがニナはまだ制服が来ていないのか前の学校のセーラー。
自然と目立って、それだけなら普通の転校生なんだが…。
「あれ、篠崎くんの彼女?」
「違うみたい。なんでも二股かけられてるんだって」
「え、うそー!?」
「確か…赤坂?そんな名前の彼女と付き合ってるけど遠距離恋愛らしくてあの子でヒマを持て余してるらしいよ」
「うわ、サイテー!」
…そうか。ニナと出歩いているのはちょくちょく見られているがあかみんとは出歩いてないからな。
むしろどうやってあかみんと2人で出歩くんだと聞きたくなるが、どうやら噂に尾羽がついてそんなハナシになったらしい。
すまん、ニナ。結局かなり目立ってる。
HR後、ニナと合流するために職員室に向かうと…。
「や、ほ。シノザキクン。テンコウセイって案外メダタナイモノネ」
「どうした、キャラ崩壊してるし現実逃避までしてるぞ!?いつもみたいにあんたのせいよふざけんなーって怒鳴れ!」
動きがカクカクとして機械的だ。
それにしても、ニナのやついつもと違いすぎる。
教師に教室案内されてた時も足と手が同時に動いてたし、ここまで緊張しいだったとは…!
…そういえば、もう一人転校生がいるんじゃなかったか?
「あぁ、もう一人は男子なんだけど遅れてくるってさ。HR後には来るって言ってたけど…あ、きたきた」
近場にいた先生に聞いていると…ガラッという音ともに職員室の扉が開いた。
入ってきたのは黒い学ランの男。
背が高めで185cmとかそのくらいか?肌も日焼けではなく茶色め。
顔や髪は日本人っぽいが…よく見てみると何だか違和感。
多分、日本人の血が濃いハーフとかクオーターとかそんなんだろう。
特徴なのは右目で、怪我しているのか医療用の眼帯をしており…左目と、目が合った。
「…!?」
ゾクッ!と寒気がした。
睨まれたワケではない。自然と目が合っただけだ。
けどオレは…この視線を知っている。
顔を見た事がないが…いや、見る事ができなかったのだが知っている。
学ランの男はオレに近づいてくると小声で…。
「見つけたぞ。篠崎 和也、赤坂 明美、瀬川 栄一郎」
「………!」
瀬川 栄一郎…オレの、エー君の名前だ!
今まで思い出せなかったが名前を呼ばれ、それがエー君の名前だと脳にするっと入ってきた。
「コン、ラート…」
「諏訪部 慶介。それが今の名前だ」
夢を見たのは8月の始まり。あれから2週間もたっていない。
それなのにオレたちを見つけられ、オレたち以上にオレたちの事を詳しく知っている。
「どちらが先に潰れるか…覚悟するんだな」
目的は実験云々ではない。
右目を奪われた恨みからオレたちを探しだし学校にまでやってきた。
まるで、物語のナレーションみたいな言葉が自然と頭の中に入ってくる。
平穏は終わりを告げ、波乱が幕を開ける。
あかみん、エー君と一緒になってからいつ平穏だったと聞きたくなるが。
はい、こちらでオレンジ赤坂の2話目的な『取得喪失』は終わりです。
ありきたりな名言でいう等価交換ではないですが、何かを得たら何かを失う。もしくは両立できない。そんな、当たり前だけど認めたくない現実のハナシです。
やっぱ2話目って新キャラどんどん出るよって感じで楽しいですな。
ヒロインとしてはりーちゃんこと青峰 理香。
ライバルというか敵として初めて名前の出たコンラートこと諏訪部 慶介。
りーちゃんが出てラブコメ的にも起承転結の承。
コンラートが出て全体の内容としても承。
中盤戦に入ってきたという所ですか。
けどまぁしのやん達は夏休みですよ。
ラノベでも一般的にあるように長期の休みってのは短編集が混ざるトコロです。
そしてオレンジ赤坂も短編をいくつか詰め込みます←
とはいえ、ヒロインは2人しかいませんからな。あかみんを含めれば3人ですがあかみんとデートはできませんし。そんな長くないと思います短編挿入は。
ではでは、あとがきもここまで。
今回もお読みくださりありがとうございました!
あ、3人の名前がようやっとフルネームで出てきましたね。
出すタイミングがなかったのでコンラートさんグッジョブです←




