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オレンジ赤坂  作者: 雅弌
取得喪失
43/60

ロリコン認定予備軍


りーちゃんの家族救出戦は何とか勝利で終わった。

毎回女の子に助けられて勝っているんだから、オレたち最強じゃね?とか考えた自分の考えなさに呆れる。


で、魔法を使った大々的な戦闘だったワケだが…。


ボートに乗り込む準備をしていた金持ちそうな坊ちゃん、嬢様。

相手の魔法使いに至ってはトドメをさす時に思いっきりビーチで攻撃していたオレたち。


…流石に目撃者が多く、りーちゃんの父さんに凄く怒られた。

あの人、ずっと怒ってるよな…。



それに対してりーちゃんの母親は穏やかな物で、娘と私たちを助けてくれてありがとう。

こういう件を揉み消す機関に知り合いがいるから任せてくれと優しく言ってくれた。


で、その母親曰く結局コレも何かのパフォーマンスを思わせて終える事を決めたらしい。


救出戦以前に、りーちゃんと会った時にもオレが堂々と戦っていた事が幸いしたとかなんとか。

本日行われた戦闘はどちらもオレが関わっている事もあり、CGを極力減らした実写アニメ撮影という事にするのだとか。


そして撮影という事を強調するために、一泊二日の二日目は機材を使って偽の撮影をやって周囲を誤魔化すんだってさ。


…いやはや、自業自得とはいえ面倒だな。

てか偽の撮影のためにまた魔法とか使わされたりすんのかな?


これ以上はできるだけ三位一体したくないんだが。

だって今でも十分…。




「頭が…ハンマーで直接ぶん殴られてるみたいに痛ぇ…」


「ホテルで休んで来たら?」


「どこで休もうと変わらねぇよ…」




頭痛が、激しい。オレたちは砂浜にシートを敷いてパラソルで影を作っているが、オレは例によって髪が赤くなったままの頭を押さえて寝転んでいる。



あかみん達と三位一体ができるようになると、スローモーション中や戦闘中の頭痛は緩和できるようになったがその後の痛みが酷い。


前回も戦闘の後は凄い痛みが襲っていたのだが、コレばっかりは慣れる気配がしねぇ。

三位一体そのものは慣れてきたのか身体限界の跳躍ができたりと凄い事になっているのだが。


…ちなみに足も痛い。多分、あんな無茶な跳躍を続けていると少年漫画みたに負荷がかかって足の内側…血管が切れて血が!的な物になるのではないのだろうか。

これも最強とは程遠い。自分の身体を痛めつけながらの行動っぽい。



しっかり休んでろ?

けどさ。この海に旅行に来てからまだ一番の目的を達していない。

オレも思春期だ。思春期の男子高校生が海に来たら目的は一つ。




「オレはまだ、ニナの水着姿を拝見していない!」


「ぶーーーっ!!!」




ダメだしのやん馬鹿だ。


頭を押さえて寝転んでいたオレの隣に座るニナが、飲んでいたミネラルウォーターを噴き出す。

本日2回目だな。


しかしニナの恰好は未だパーカーの前を閉めた姿。

下半身が隠れて下に何も履いてないように見え、綺麗な白い足が際立つ格好だが…男子の目的とは違うよなぁ。


その恰好は恰好で…嫌いではないが。




「む…また口に漏れちまったか」


「ちょ…平然と何を言ってんのよ!?」


「いやだって…見たいもんは見たい」


「~~~っ!」




ニナが顔を真っ赤にして、空になったペットボトルをオレにぶん投げてくる。


それにしても、思考が口に漏れる事が多くなってきた気がする。

電車ではあかみん達と痴話喧嘩中だったが、今回は思考内で叫ぼうとしただけで口に出た。


う~ん、思考が独り言のようであかみん達との会話にもなってるから普通の口にする会話と混在している気がする。




「あ、の…。お兄さん、お話し…いいですか?」


「ん?どうしたりーちゃん」




りーちゃんは寝転んだオレの隣…ニナとは反対側に座っていた。

まだ頭痛がするが、コレばかりは付き合いながら慣れるしかない。


話しをしっかり聞くために頭を押さえながら起き上がると…。





「あの、お兄さんと黒井さんは…やっぱり、付き合って…いるんですか…?」


「ぐはっ!?ゲホッゲホッ!」


「おいおいニナ大丈夫か?今度は口つけてないからオレの水を飲め」





りーちゃんの発言にニナが、今度は吹く物もなく何かを喉に詰まらせたような反応をする。

何度目だ、ニナ。お前ってばいつもこんな反応ばかりしてオレたち以上に負担がかかってるんじゃないか?




「それにしても…りーちゃんにもそう見えるか?」


「は、はい…」


「けどオレたちは腐れ縁というか、知り合って2週間だが世話になったり世話したりの関係で…けど最近はオレが世話になってばかりだな」


「………?」


「ん~…とにかく付き合ってないよ。なんか変な縁というか関係だけど」





電車でも考えていたが、どうなんだろうなオレたちの関係。

家族…ではないけど家族みたいなもん。


それが一番しっくりくるが一言じゃ説明し辛い。




「オレさ、家に帰る事ができない事がよくあるんだけどその度にニナと家族にお世話になってるんだよ。だからオレにとって第2の家族というか…」


「そう、ですか…」




家族といえばりーちゃんの両親だが…。

明日の偽撮影や戦闘のもみ消しのためにこのビーチから離れていった。


何でも魔法の存在を世間に知られないように行動している機関があるらしいのだが、その連中に合いに行くために。


けどりーちゃん一家も元々は旅行で来ていたので、せっかくだからりーちゃんだけはバカンスを満喫させてあげたい。

なんだかりーちゃんもオレたちを信頼してくれているみたいだし、一泊くらいならとオレとニナに預けていった。


…りーちゃんのお父さんはまた怒って『娘に手を出した体中の水分を絞り出しミイラにしてや―――イタタ!母さん、耳は引っ張るな…!』なんて言っていたが。

怖いね。きっと嘘でも何でもなくお父さんの魔法はオレをミイラ化させる事ができるんだろう。



まぁオレたちとしても…2人きりで一つの部屋で一泊なんてどうしようと戸惑っていたトコロだから助かる。




「だったら…その…」


「ん?」




頭を押さえていない方の手を適当に地面に突き起き上がっていたが、そのオレの手にりーちゃんが自分の手を重ねる。


会った時から変わらぬ途切れながらの言葉だけど、しっかりと。

そして上目づかいになって恥ずかしそうに…。





「私とも、仲よく…して、くれますか…?」


「…あぁ。勿論だよ。オレはむしろもう仲良しだと思っていたんだがな」


「ご、ごめんなさい…」




りーちゃんは謝ったが、けど嬉しそうに『えへへ』と言葉が聞こえてきそうな程に可愛らしくはにかんでいた。

…相変わらず、小動物っぽくて可愛らしい。


ホント、オレの凶暴な姉なんていらないからりーちゃんがオレの兄妹になってくれた方が嬉しいんだが。




「…あんた、ロリコンだったの?」


「失敬な。りーちゃんが可愛いから可愛いと思っただけだ」


「………っ!」




今度はりーちゃんが恥ずかしそうに顔を真っ赤にする。

可愛いって言われるの慣れてないのかな?


けどここでオレが変に照れて言葉を濁すとニナにロリコン認定されそうだったから…耐えてくれ、りーちゃん。



なんというか…平和だな。

さっきまで魔法を使った激しい戦闘があったとは思えないよ。


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