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オレンジ赤坂  作者: 雅弌
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3人が、3人で、3人だから。


りーちゃんに指差して教えてもらったボートの停泊所は…。外国のリゾートにありそうなオシャレな木の橋みたいな感じだった。

それなりの広さの橋にあるボートの数は…5つ。


夏シーズンのために客が利用しやすい用に仮置き場にしているだけなのか、大きなボートとかイベント用の物はなさそうだ。


停泊している5つのボートのうち3つは人が乗り込んでおり、主に10代から20代の若い世代がボートを動かす準備をしている。

…ブルジョアめ!あかみんの私服買ってNBEのアルバム買えなくなったりしているオレと違って、金持ちの爽やか坊ちゃんやお嬢様ばかりが集まってる気がするぞ!



ともかく、5つあるボートのうち3つは黒スーツ連中とは関係なさそうな人達が使用している。

だとしたら…オレも変に怪しまれないように黒スーツ連中のように堂々と人が見当たらないボートに乗り込む。

けどりーちゃんの家族らしき人は見当たらないな。


いや、そのまま人が転がっていたら流石に周囲からも不満に思われるだろうから荷物か何かに偽装して…。


…あった!釣り具やその他ダイビング用の機材をシートで被せ、その荷物の中に人が入れそうなくらい大きな麻袋が二つある。

人が入れそうな、というか見たまんま人のシルエットが浮かんでる。




「大丈夫ですか!?」




麻袋のヒモ…かなり固いな。けどなんとか開くレベルだ。

麻袋の中から男性と女性を一人ずつ引きずり出す。しかし手首には手錠がかけてあり、それは流石にどうにもならない。





「き、君は…?」


「りーちゃん…。理香ちゃんに頼まれて助けにきました」


「…!何をやっているんだ理香は!関係のない一般人を巻き込んで!」




オシャレらしき無精髭が特徴なりーちゃんのお父さんはオレの事情説明に怒りを露わにする。

まぁ…一般人だよなぁオレは。『オレたち』になれば普通じゃないと思うけど。


けど、親を心配する娘の気持ちより一般人を気にするってどうなんだろうな。

確かに世間体とか常識を考えればこんな危険な状況に一般人を巻き込むのはよくないと思うがりーちゃんの気持ちもくんであげて欲しい。


そもそもりーちゃんにオレを頼れって無理やり頼らせた感じがあるしねそれを言うな。




「あなた、おちついて。それよりも君、私たちはいいから早くここから逃げて…」


「そんな事を言ってる場合ですか。手錠はオレにどうしようもないですけど、警察に行けばなんとかなるはずですし」


「まさか警察に連絡したのか!?」


「連絡してたらお父さん方連れて行かれてたんじゃないですかね…」




物腰柔らかなりーちゃんのお母さんはともかく、お父さんが何だか荒々しい。

むしろこの反応…。何か警察を呼ばれたら困る理由でもあるのか?




「…!ボートから降りて!」


(水…魔法!)




りーちゃんの母。そしてあかみんからの警告があって、エー君がすぐさま状況を把握する。

ボート回りの海から水柱が立っており、その水柱がオレを狙っている!




「く…!」


「ぶっ!?」


「きゃっ!?」




自分が避けるので精一杯だった。

けれど狙いはオレ一人なのか跳ねた水がりーちゃんの両親を襲っただけで、2人を狙った攻撃はこない。


対してオレには第2、第3の水柱が襲ってくる。


オレは一旦ボートから降り、ボートよりは広い橋の上で水柱を避け続け…。




(術者が見当たらない…)




エー君の視野でも魔法使いが見当たらなかった。

だとしたら…りーちゃんの時みたいな感じじゃないか?

りーちゃんは触媒をオレに渡し、離れた所からオレにアースを行う魔法を行使した。


りーちゃんの魔法はおそらく土魔法。砂浜と地続きのオレをりーちゃんの魔法管理課に置いたなら、水魔法も海と水が続く水中に触媒を置けば離れた場所から魔法を行使できる。


…うむ。意味が分からんな。

つまり、ある程度の距離なら触媒を離れた所に手放しても魔法が使えるって事。





「結論として触媒を探して、それを壊すなりなんなりすればイイんだな!」





一言、触媒がどこかにあるはずだから探して何とかしろって言えばイイのに。

馬鹿なしのやんには教えても無駄だったかオレは理解できて助かるぞ2人ともうるせぇ!


んで、触媒は…海の中に怪しく一人でに動くボールを発見した。

あれが軽く水流を作り、魔法で水柱として襲わせている。


けどどうする?まさか海に飛び込むワケにもいかない。

水魔法が相手なのに水に飛び込むとか火に油。水だけど。


だとしら………オレたちには遠距離のエキスパートがいるよな?

ボール如き簡単に破壊できそうだ。



ちょっと待ってしのやん。何を考えているの?

そうだ待て、無計画にもほどがある。


オレの――――オレたちの思考がスローになる。

景色も、水柱もスローとなり避けるのにエー君の反射が必要なくオレですら避けられるくらいに。




しのやん、相手は隠れているんだよ?この間の博士たちみたいに記憶を失わせる事ができないんだから。

そうしたら確実にしのやんとあかみんの関係性を疑われる。少なくとも実験素材として集められていたニナ達と違って、諦めずに本気で何度もお前を誘拐しようとする。



けど今はりーちゃん達が狙われているんだろう?だとしたらいっそ助けてオレたちが狙われた方が、オレの知らない所でりーちゃん達が狙われる心配をしなくて済む。




…ほんと、しのやんはお人好しすぎるよ。でも分かってる?しのやんが狙われるって事は、結局周囲の人にも危険が及ぶ可能性があるんだよ?

ここでりーちゃん達を助けても、しのやんの知り合いという事で結局また狙われて誘拐され人質になったりするかもしれないんだぞ?



けどそれは想像や可能性でしかないだろ?今ここでりーちゃんの家族を助けないと、確実に2人は連れて行かれてしまう。



…それは、そうだけど…。

…それは、そうだが…。




それに…オレは、オレたちなら大丈夫さ。

『オレたち』には『オレたち』がついているんだから。オレたちが3人で1人なら大概の事はなんとかなるはずだ。



過大評価。楽観的すぎだよしのやん。

いつもお前は考えなしすぎるからオレたちに馬鹿にされるんだぞしのやん。




お前たちが言ったんじゃないか。

オレは理屈も何も分からなくていい。

私たちが理解し、覚えて、分かっているからと。


オレにできない事をお前たちがやってくれる。

だからオレもお前たちができない事をやってやる。




…分かったよ。しのやんが覚悟したならもう何も言わない。

仕方がない、そのお人好しと楽観視に最後まで付き合ってやるよ。



オレの身体と。私の魔法と。オレの反射で。


オレは、私は、オレは。3人が、3人で、3人だから。


オレたちは3人。3人が一緒の存在であるんだから。


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