あかみん出番なし
電気でビリビリな警棒を持った黒スーツの男が、先陣を切って襲い掛かってきた。
おそらく、オレの身体をマヒさせて動けなくしてから他の黒スーツと一緒に襲ってくるのだろう。
…ほかの3人の黒スーツからは魔法の気配がない。
この電気使いの男をなんとかすれば、後はエー君がどうにかしえくれると思う…!
「キミ、下がってろ!」
女の子に注意を促したら…何故か、女の子はその場に座り込んでしまった。
両腕を地面に突き、足はハの字に広がっているが土下座、もしくは落ち込んでいるみたいな姿勢だった。
…と、ともかく目の前の相手をなんとかしないと…!
電気を帯びた警棒を振り回され、それをなんとか避け続ける。
女の子に身を守れるから信じと言われたが、流石にこの警棒を素直に受け止めるのは抵抗があった。
けれど攻撃が続くうちにエー君の反射だけでは避けにくくなり…避ける動作がギリギリになってきた。
…だったらいっそ、自分から受け止めてカウンターをしてやるか。
相手はこの電気警棒を当てれば勝負がつくと思っているのか足や拳での攻撃はしてこない。
警棒さえ受け止められれば、こっちにはエー君もいるし素人でもカウンターは簡単だと思う。
後は女の子の言葉を信じるかどうか。
…いや、オレは信じると決めたから素直に髪留めを受け取って身に着けた。
あと必要なのはエー君の反射でも、あかみんの魔法でもなく…オレの度胸だ!
「うぉら!」
振られた警棒を避けると同時に、エー君の反射で咄嗟に右手で警棒を掴む。
直接握ったんじゃ凄く痛いしな。電気の魔法云々の前にコレは警棒だし。
「ははっ!」
黒スーツの男は勝利を確信したのか笑い声を漏らした。
そして警棒の電気がビリビリと大きな音を鳴らし…痛みと共に電気が全身に駆け巡った!
「………」
「………」
受け止めた後はカウンターを決める、と考えていたがつい動きが止まってしまった。
オレだけでなく、相手も。
黒スーツの男は悲鳴も上げず平然と立っているオレを見て驚愕し、固まっている。
その間にオレはこめかみ目がけて左手の拳を奮い、力の抜けた相手から警棒を取り上げて黒スーツの男を蹴り飛ばした。
…確かに電気が走った。痛みが全身を回った。…静電気のレベルで。
全身を巡った電気は最終的に足にまで回り、そのまますーっと拡散して消えていった。
コレは…土の魔法を使ったアース?相手の電気の魔法を地面に拡散させたらしい。
しかしオレは勿論、あかみんにもこんな魔法は使えない。だとしたらこの場でそんな魔法を使えるのは…。
「だ、大丈夫…でしたか?」
「お、おう。ちょっとビリッときたが痛みも残ってねぇ」
女の子は汗だくで、言葉に詰まりながらもニコっと笑ってオレの安否を確認してきた。
つまり…この子も魔法使いだったワケか。
けれど今のも一般人からしてみれば、電気警棒も恐ろしいのは見た目だけの物で、今のアースは魔法も何も関係ないと思わせる事ができただろう。
…凄いな。この子、小さいのにしっかりと考えたうえでオレを助けてくれた。
これじゃどっちが助けに来たのか分からなくなってきたぜ。
「さて、と。残るは3人。覚悟できてるか?」
「………!」
オレは手にしたばかりの警棒を適当に持ちながらも再び黒スーツの男達と対峙する。
相手もオレが、オレたちが電気の魔法使いを倒した事に驚きおっかなびっくりしながら再び警棒を構える。
…けど夢みたいに、博士と対峙した時みたいに負ける気がしねぇ。
オレと、エー君と、女の子。3人が一緒ならな!
…あれ、あかみん?今回は出番無しって事でイタイイタイ!




