旅行企画
ニナに心配かけたな、と謝ったら「ふっきれて元気出たみたいだし、もうういいよ」と笑って返してくれた。
相変わらず観察力が凄くてオレたちの事がよく分かっていらっしゃる。
黒井家で晩飯…ニナの父親は滅多に帰ってこないで会社が家の一つみたいな生活をしているのでオレとニナと美菜子さんの3人で食事をとった。
美菜子さんは男の子は沢山食べてくれるから作り甲斐があると喜んでいたが、やっぱり申し訳ないよな。
バイトして食費を入れたい…と思ったが部活と一緒で安定してできないから無理じゃねーか!
…なんとか、金集めたいよな。
晩飯の後、ニナと旅行というか遠出する約束をした。
サッカー辞めた気分転換に、気にしていないつもりでも海にでも行きぱーっと遊ぼうと提案してくれたのだ。
そんな気を遣われてしまったのなら断る理由もない。
ただ、いつボディチェンジしてもいいように男のオレとしのやんボディの両方で水着を用意しなくてはいけないので余計な出費が。
服や下着でも金を使ってくし、食費に金回らないなこんちくしょう!
半ばヤケになりながらも晩御飯ごちそうさまでしたと言って黒井家を後にしようとしたところで…。
身体が焼けるように熱くなり、燃え溶けるような感覚に陥り玄関で倒れた。
すぐに起き上ったが、もはや予想通り。何度も経験してるアレですよ。
「やっぱ…元に戻るの無茶だったんだなぁ。すぐさまあかみんボディに逆戻りしちまった」
「ほら、ちゃんと頭乾かしなさいって。その身体はあんただけの物じゃないんだからシャキッとしなさいよ」
結局、黒井家に泊まる事になり風呂を借りる事になった。
男のオレはそんなに髪も長くないし、部活一筋でオシャレに気を遣う事もなかったから風呂上りにドライヤーで髪を乾かすという習慣がない。
まぁ翌朝髪がボサボサになるのもよくある事だが、結局部活で汗だくになって水に顔から突っ込んでたし。
今は、パジャマ姿のニナがオレの頭をドライヤーで乾かしてくれている。
そういえば、風呂上りに下着姿っての無くなったなニナ。
「聞いてるの?せっかく綺麗な髪してるんだし明美ちゃんに悪いでしょ?」
「確かにあかみんと同じ姿でも、これはオレの身体だぜ?…まぁ、髪が綺麗なのは認めるが」
あかみんはオシャレだが、結構面倒くさがりだ。
服装もあかみんの意識に任せて適当に選ぶといつもショートパンツかレギンスとかでオシャレで可愛いけど動きやすい物だったり、髪も整えやすいようにかショートカットだ。
「せっかくだし、伸びるならあかみんの髪伸ばしてやるのも楽しいかもな。オレはどっちかっていうと髪長い女の方が好きだし」
「…それはともかく、あんた髪のケアとかちゃんとできんの?」
「男のオレはどうでもいいけど、あかみんの顔ならやる気出ると思う。あかみん、可愛いし」
あいたっ。頭がちょっと痛かった。
頭痛じゃなくて、ニナの手が髪に絡まったみたいで一瞬痛みが走った。
あかみんはこういう話しには黙り込んでしまうみたいで、その反応も面白い。
愛いやつめ愛いやつめイタイイタイ!
今度は本当に頭痛攻撃がきやがった!
「あ、ニナちゃんとシノく~ん。ちょっといいかしら?」
「なんですか、美菜子さん」
ニナとあかみんのダブルアタックをくらっていると食卓でネトゲしながらメールもしていた美菜子さんが声をかけてきた。ちなみにシノくんはオレの事ね。篠崎だから美菜子さんからはシノくん呼び。
で、美菜子さんのメール相手は勿論というか当然というかニナの父親から。
「お父さんの友達夫婦が海近くのホテルで一泊二日の旅行予定立てていたらしいんだけど、仕事で行けなくなったんだって。日程は明後日からと急な事と、おみやげの購入。それさえよければ格安で譲ってくれるって」
「わ、ラッキー!」
喜んで返事したのはニナだった。
タイミングが良すぎて怖いくらいだが、オレとしても悪くない。
「いいんですか?なんだったらオレ達じゃなくても黒井一家みんなでも…」
「私達は仕事あるしね~。遠慮せず行ってらっしゃいな」
そう言われてしまえば、断る事もできずに急な旅行が決定した。
…けど、そうなるとアレだな。
「男に戻ったらいい加減、ウチの家族にもニナを紹介しないといけないかなぁ」
「は、はぁ!?なんでそうなるのよ?」
「だって旅行するのに相生の家に泊まってるってのは流石に無理があるだろ?あいつも普通に街中出歩くし、アリバイとして成り立たないからな。」
今回の旅行までには紹介が間に合わないかもしれないが、元々いつまでも相生の家に泊まってると嘘をつくのも大変になってきたしいつかニナを紹介するつもりではあった。
喧嘩と言う名の戦争ばかりおこしている家族だが、それでも嘘や誤魔化し続けるのもちと辛かったしな。
…ん?美菜子さんがそういうのとは違って残念だったねと言って、ニナが顔を真っ赤にして怒っている。何だ…?




