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オレンジ赤坂  作者: 雅弌
三位一体
25/60

敗北宣言


「さて、素直に私に捕まってくれるかな?これでも銃は得意というか、好きでね。研究の合間に練習して命中もバッチリだから死なない所を狙って動きを止める事もできるよ?」




痛い目に合いたくなかったら大人しく掴まれ、と言いたいらしいな。


…だったらさっきにスローモーションのをもう一回やって避けるか?

咄嗟にやった事だから自由に使えるかはともかく試す価値くらい…ダメだ、博士は確かに銃の扱いに慣れているらしく狙いがしっかりしているから簡単には避らけれない。


いくらスローモーションに見れても銃弾を避けるスピードがなければマトリックスじゃあるまいし、できない。

…いや、だからお前ら記憶ないくせにそんなどうでも良いことは覚えてるのかよ。エー君かあかみんか分からないが、昨日もニナと仲良く映画トークできてたし。





「こうさ…っ!頭が痛くて、両手上げられないが…降参、だ…」


「おお!君は賢いね、私の予想通り!性格はアグレッシブみたいだが、これも脳が繋がってるおかげか結構冷静なところあるよね?」





煩いな、人が本当ならただの馬鹿みたいに言いやがって。

こちとらただの高校生だから、研究者と比べたら酷いもんかもしれないが馬鹿にされるのは気分が悪い。


博士がこちらに向かって歩いて来た。…しかし、数歩で止まる。





「…いや、君はコイツ等をあっさり倒してしまったし危険だな。やはり足ぐらいは撃っておくか」


「………」





結局そうなるなら最初から聞くなよ、と思うが冷静に考えればそうだよな…。

この博士は頭イイみたいだが、楽しさに暴走して考えなしな所がある。


最近、勢いの強いヤツにばっかり会うな。

博士といい、後ろにいるニナといい。


…ニナ?





「やぁぁぁぁぁぁぁ!」


「ぬぁぅ!?」


「ニナ!?」





観察力が怖いほどに鋭くて、けれどせっかく観察したものも勢いでゴリ押ししてしまっているところのある黒髪ツインテール娘。確かに、ニナだった。


オレ達が争っている間に、ここに来ていたようで博士の後ろから抱きしめるようにしながらタックルをする。


博士は完全に体制を崩し、ニナと一緒に地面に転がり込む。

しかし手にした銃は手放さず、がむしゃらに振りながらトリガーに指をやり…。


パァン!と、大きな音が舞台裏に響き渡った。





「あぅ!」


「ニナ!!!」


「く…!こ、この…!」





咄嗟に動けるようになってて、良かった。

もみ合っているニナを抱きしめるようにして、今度はオレが地面を転び博士からニナを引き剥がす。


ニナに、怪我は…!?





「大丈夫か!?」


「あ、足…!」





オレが博士に足を狙われたはずだったのに、気が付けばニナの足が撃たれて血まみれになっていた。

…頭が痛い。


今までの脳への負担とかではなくて、どうしてこうなった!?などの思考が頭いっぱいに広がって、頭が痛い。



考えるな。考えろ。考えたくない。考えなければ状況は何も変えられない。





「どうして…!」





どうして、ニナがここにいるんだ。

こんな危険な事はオレ1人…オレたち3人だけで十分なのに…!





「やっぱさ、あんた一人だけで…危険な事させられないって…。私の親が誘拐されただけで、本当ならあんたは関係ないのに…いつっ!」





まだ、そんな事を言ってるのかよ…!

やっぱあんたは関係ないじゃんと思っただけで結局オレを追いかけて来たのか!


確かにオレは、篠崎はお前を助ける理由はないのだから迷惑かけてしまってると思うのかもしれない。


けどあかみんじゃない、明美…オレはお前に助けられて友達になって…!あぁもう面倒くさい!



とにかく、友達を助けたいと思っただけなのに結局はニナを傷つけてしまった…!





「でも…ついてきて確証したよ。てか、今でも意味よく分かってないけど…私はここに来て正解だった」


「何がだよ!?オレの変わりに撃たれて何が正解だってんだよ!?」


「てか…さっきから騒ぎすぎ。確かに痛いけど、女の子は血になれてるしこれくらい平気よ…!」




ニナは汗だくで…。

明らかにやせ我慢しながら強く笑いかけてきた。


オレの腕の中で握りこぶしの親指をグッと上げて全然余裕、と言いたげだ。





「ま…ホントの女の子じゃなかったあんたには分かんないか…明美ちゃん」


「………!」


「あの怪しい博士との会話で確証したワケだけど…なんとなく気が付いてたし?友達が危険な事をしてるかもしれないのに私一人だけ安全な場所ってのは無理があるよ…」




オレが明美かもしれない。だからついてきた。

…本当に鋭すぎるな、ニナ。


でも、オレの嘘はもう完全に通用しないと分かっていたワケだしオレが姉ちゃんか母さんにでも押し付けてでも足止めすべきだったのかもしれない。



オレを心配してついてきてしまったというのなら、それこそ完全にオレの責任だ…!


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