影のモンスター!
さて…本日3度目のバイト先に到着だ。
時刻は21時。夕方通りとも称される駅前の通りはもう、ほとんど人が見当たらない。
地元では一番娯楽施設が整っていて都会っぽいのだが…飲食店や酒場がないからなぁ。
出店すれば儲かると思うのだが市長さんは昔ながらのお堅い人で、昔は憩いの場だった駅前通りが人が集まりごみダメになるのが耐えられないとか云々。
駅前通りから少し離れた所にはちゃんと飲食店やコンビニも充実してるのだから無暗に開拓したくないんだって。
地域活性化より市民の暮らしやすさを優先しているらしいが…。
まぁ、アレだ。
市長や市役所絡みで人を誘拐し実験するための手伝いをしているとかでなければイイのだが。
例えば人を寄り付きにくくして、けれど駅がある事から人どおりは多いワケで誘拐しやすく~とかさ。証拠も何もないがそう考えると物騒だね、ホント。
「それはともかく…スミマセン、誰かいませんか!?先程、電話した者ですが!」
ビルに入り、エレベーターを使い握手会場に入るとオレはすぐさま声を出した。
電気もついておらず、真っ暗。
唯一の明かりは隣のビルから窓越しに入ってくる明かりくらいだ。
片づけもすんでいないのか、あちこちに物やダンボールが転がっており会場内は汚らしい。
しかし…人の気配が全く感じられない。
さっきオレが連絡した時は確かに電話に出たし…。
この町に存在しない事にしているニナを探している存在、なんて放っておけないだろうから何かしらオレに対してアクションをとると思ったのだが。
実際はニナの両親を人質にとられているため警察には連絡できないが、オレが事情も知らずにただニナが行方不明だと思ったら警察に連絡してしまう。
警察にもある程度は手が回っているかもしれないが、真面目な警察官も沢山いるだろうし揉み消すのは容易ではないはずだ。
(かげ…)
かげ…影?
ふと、思考に一つの単語が思い浮かび上がった。
あかみんか、エー君。どちらかだろうか?
どちらかはハッキリしないが…影か。
もしかしたらゲームやアニメみたいに影の中を移動するとか、影を使って攻撃するとか、影がモンスターになるとかあるかもしれないよな。…魔法で。
『グルルルゥァァァァアアアア!』
「おぅ、マジでかよ!」
三つめの予測通り…影がモンスター化?した
隣のビルの明かりでできたオレの影が黒い熊のようになってオレの背後から巨大なツメを振り回して襲いかかってくる。
(あぶねぇ!あかみんで魔法の存在を知って、エー君の反射神経がないと危なかった…)
あかみんの存在がなければオレは未だに魔法なんてファンタジーな物を信じられず何が起きているかも理解できず…
更にオレは咄嗟の事には驚いて動けなくなるタチなので、自分一人の思考では避ける事も無理だっただはずだ。
ちなみに、そんな咄嗟に動けないタチなのでサッカーでもDFに囲まれた味方が咄嗟に出したパスに反応ができなすぎる故に準レギュラーなオレであった。
(影を媒体にする魔法は…影を形づけるために微かでもイイから明かりと影が必要だ)
外で使うなら、街灯の明かりでもイイし懐中電灯でもイイからとにかく光源と影を作るのが必須。
どうやら魔法も万能ではなくて、何かしら条件を整えないと一般的イメージのある炎や風を操る魔法も使えないらしいな。
相変わらず、知識として持ち合わせていないのに自然と思考に入ってくる。
コレもあかみんにとっては魔法の基本知識で忘れようのない常識なのだろう。
(とりあえず…とにかく光を遮ればイイのなら!)
会場に取り付けられた窓の暗幕をひいて、会場内を真っ暗にする。
完全に真っ暗になり、それだけで影の魔物はいなくなり安全を確保できたが…。
カッ!と大きな音がして会場内の照明が明かりを灯す。
これはどう考えても…再び影のモンスターを生み出すための光源だ。




