アフタヌーン。なバイト先
アフタヌーン娘。
オレと相生が好きなアイドル歌手グループの一つだ。
あかみんやエー君。それにニナの両親を巻き込んでいる事件とは全く関係がないように思えるが…。
アフタヌーン娘のライブや握手会が行われた場所の側で火災が何度かおきていた。
もしかしてアフタヌーン娘。が某国に雇われたテロ組織なのでは!?というネタに対してファンがもの凄い汚い口調で反論しているのも発見した。…相生のIDと似ている気がするが見なかった事にしよう。
とはいえ、普通に見たらアフタヌーン娘のイベントの側で何度か火災が起きたというだけの上げ足にしか見えなかったのだが…。
一つ、不自然な事があった。
火災とは関係ないところで。
確かに火災の関係性に取り上げられる程度には側で火災があったみたいなのだが問題なのは…今日のバイトでもあったように、スタッフが圧倒的に少ないのだ。
ただそれだけ?と思うかもしれないが、アフタヌーン娘。はTVにも何度も出ており、オレと相生が一番好きなアイドルグループNBE56のライバルと言われるほど大きなグループだ。
しかし、何故かアフアヌーン娘。のイベントスタッフは一部の重要職を除いてほとんどが現地調達。
プロデューサー曰く、会場からファンと作り盛り上げる…らしいが明らかに手間がかかっている。
それに今日のバイトにいたってはマル秘イベントという事もあってスタッフの人手のなさはホント大変だったなぁ…。
…そこで、オレとニナが目を付けたのはもしかしてコレは誘拐する人間の下調べも兼ねているんじゃないかという事だ。
今日のはマル秘イベントで人も集まらなかったし人手探しに急いでいたのでオレは即採用だったが、普段のイベントスタッフなら大手のアルバイト雑誌やサイトに人員の募集がかけられ…。
面接で、ある程度の情報を引き出す事ができてしまう。
そして、この怪しい部分から派生して産み出たもう一つの不自然。
今のままでは証拠もなく、ただ怪しいとこちらも上げ足をとっているだけのようだが…。
「今、確認がとれた。…黒井 二ツ菜という学生を雇ってなどいないってさ」
「…そっか」
オレは外で、絶滅危惧種とも言われる公衆電話でバイト先に連絡をとってきた。
家の電話やスマホじゃ万が一、って事もあるかもしれないしな。
オレ達が確認したのは、人を殺してもいいような誘拐をするための準備。
もしニナの捜索が出されてしまった時に最後に確認できたのが今日のバイト先だと怪しまれるからな。
だからバイト先は『最初から黒井 二ツ菜を雇っていない』それどころか誰だ、と答えてきたのだ。
おそらく、黒井家はこの町に来てすらいない事になっているのだろう。
「バイト先、気に入ってたからショックだけどコレでグルだって分かったよね。次はどうするの?」
「とりあえず、今度は直接行ってカマをかけてくる。何か情報が得られるかもしれない」
ようやっと方向性は決まった。
…正直、誰も頼る事ができないのが怖くて仕方ないがそうも言っていられない状況だ。
早くしないとあかみんやエー君みたいに…。
「やっぱりさ、うん。私がついていっちゃダメだよね?カモがネギを咥えてーってヤツだし」
「まぁ…そうだな。連れていくワケにはいかないな」
ニナは心配そうに、そして自分たちの問題だからついていきたそうな顔をしながら見つめてくるがワガママは言わなかった。
「あんたさ、結構お人好しなんだね。私と私の家族のために行動する理由も…明美ちゃんやエー君?もほとんど会った事のない2人のために一人で危険な目に合おうとしてるんでしょ?」
だから、あんたは無茶しなくてもいいんじゃない?今なら引き返せるよと言いたそうにオレの手を握ってきた。
おそらく…オレが恐怖を抱いているのに気が付いて。
何度目か分からないが…ニナは本当に優しいヤツだ。
自分たちが一番大変な状況だというのに、まずは他人であるオレを心配している。
けどその優しさが逆に…恩返しを、力になってやりたいとオレを奮い立たせた。
「お前にはお人好しなんて言われたくないな。オレはお前の方がお人好しだって知ってるし」
「なにそれ、明美ちゃんを泊めた事を言ってるの?あぁいうのは困ったときはお互いさまって…」
「それだけじゃなくてさ。ニナは…誤魔化したり嘘ばかりいうオレを何度も許容してきたじゃねーか。それをお人好しじゃなかったらなんて言うんだよ」
そう言ってやったらニナは照れたような複雑な顔をして微笑み、オレの手を離した。
この事件が解決して落ち着いたら…オレはニナに嘘も誤魔化しもなく話し合える日はくるのだろうか?
…なんだか死亡フラグっぽい思考だから止めた方がイイな。




