体験入部(前編
『香はトランペットで一番下手だわ!』
『はぁ・・・こんなのも吹けないの?ねえ?練習したの?本当に?本当は練習に来て
るだけでぼーっとつったってるだけじゃないの?』
『ねぇ、何で泣くの?それじゃあ私が悪者みたいじゃない!』
その怖さに涙を堪えきれず、1滴こぼすと、こんなことをいわれた。
悪者みたい?本気でいっているのか分からなかった。
こわかった。逃げ出したかった。
時には自殺しようと考えるときもあった。
それなのにこの人間は自分が悪い、と1ミリも思っていないのだろうか。
私は確かにトランペットが下手だった。
だから必死で毎日毎日練習した。
・・・だけど。
どんなにどんなにがんばっても
他の人を越す事なんてできなかった。
それどころか、私より練習を全然していない人のほうが、明らかに美しい音で、
自分の音はどんなに。どんなにがんばっても濁って切れていない音しか出ない。
のろわれているのだろうか、ともおもった。
でも、私は知ってしまった。
のろわれているわけなんかじゃない。
単純に楽器、そのものが全く向いていないということだ。
私はいろんな楽器を体験したが、一番吹けたトランペットでもこんなザマだ。
他にもピアノを6年ならったが、半年しか習っていない子にならっている範囲をこされた。
私は運動も、楽器も、勉強も、人並み、あるいは人以下しかできない。
どうして、そうおもった。
なんで。なんで自分だけ毎回遅れをとるのだろう。
運動なんて、学年で持久走をしたときも、毎回ビリだった。
私は・・・
なんなんだろう。
頭一つ飛び抜けているもの・・・
絵ぐらい、か?
いやだいやだいやだいやだいやだ。
絵が書ける事はまだ幸いだが、つまり、それは絵しかできない。
他は、他はなにもできないのだ。
私なんて生きている価値があるのだろうか、と思った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次の日。
はぁ〜〜〜!
授業おわった〜〜〜!
といっても勉強はしてないけどね、てへ★
・・・こほん。
そんなわけで、吹奏楽部にれっつごー!
あ、ちなみにゆみはこない。
なぜなら、運動系のほうに興味があるからそっちもみたいんだそうだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ふう、ついた!
ん?
「あれ?かおりん?わぁ〜!久しぶり!元気元気ぃ〜?」
「ひさしぶりって・・・まだ3週間しか立ってないでしょう、もう・・・」
「あれ?そうだっけ?まぁいいや〜」
見覚えのある2人がいた。
数少ない仲がいい友達だ。
かおりんとよんできたのがももか。
つっこみいれてたのがさつきだ。
・・・はぁ・・・
いいな〜〜2人同じクラスみたい。
はぁ・・・
うまいこと、ゆみ以外の仲のいい人は他にながれていった。
なんなんだ・・・
「これからミニコンサート始めまーす!みんな準備してー!」
『はい!』
ミニコンサートかぁ・・・楽しみだなぁ・・・
「かおりん!隣すわって〜」
へいへい。
「昨日もね、コンサートやっててね、そのあとに楽器をふかせてもらえたよ!
えっへーん!クラリネットふいたんだ〜!」
・・・よかったね・・・・
「香は・・・その、吹奏楽部にはいって、平気、なの?」
・・・私のトラウマのことをきにしてくれているらしい。
「うん、大丈夫だよ。気にしなくて平気〜」
大丈夫なわけ、ないんだけどね。
元気を振り絞って答える。
「そっか。ならよかった。・・・もしなにかあったら、相談していいんだからね」
「・・・ありがと」
・・・ちょっと泣きそうになっちゃったじゃん・・・
さつきお姉ちゃん気質なんだから・・・もう・・・
と、準備が終わったみたいだ。
演奏が始まる。
いろんな楽器達から、とてもきれいな音がながれでる。
やっぱりいいな・・・
この感じ。
大好きだ。
けっこー適当に更新していくので、次の更新日はわかりませんが、頑張って行こうと思います。
・・・ハッピーエンドでおわると、いいんだけどね・・・・・
・・・
いえ、なんでもありません。