表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双  作者: 四郎
第一章:数値が証明する“信じる力”

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/133

第6話 削られる脂肪と積み上がる数字

学校での俺は、相変わらず目立たない。

けれど――ほんの少しだけ、空気が違っていた。


「お前、なんか変わった?」

男子が首を傾げ、隣の女子が小声で「背、伸びた?」と呟く。


笑って流される程度の反応。けれど胸の奥が、ほんのり温かくなる。

誰も知らない。俺が“数字”で証明していることを。


夜、食卓で母がふいに言った。


「陽斗、背伸びたでしょ。肩のラインが前より上がって見える」


妹の美咲は鼻で笑い、「気のせい」と切って捨てた。

けれどそれでいい。俺は、俺の数字を知っている。



その夜、視界の端で淡い光が咲いた。


【クエスト発生】

・内容:純粋な脂肪を3kg落とせ

・条件:筋肉量を維持すること

・報酬:筋力+2/耐久+2/魅力+0.5/SP+8


「……筋肉を落とさずに脂肪だけか。無茶言うな。でも報酬はデカいな」


現実ならほぼ不可能。

けれど、俺には“数字”がある。努力が確実に積み上がる世界。

挑戦する理由には、それで十分だった。



翌朝。

ランニングシューズの紐をきゅっと結ぶ。

吸い込んだ空気が冷たくて、肺がきしんだ。

最初の二、三百メートルで喉が焼けるように痛い。


歩道の端、白線を踏み外さないように走る。

こめかみを伝う汗、背中に張りつくシャツ。

電柱が一本、二本と後ろに流れていくたび、視界がかすかに反応した。


【サブクエスト発生】

・30分走破:耐久+1.2/筋力+0.4/SP+1

・腕立て伏せ50回:筋力+1/SP+1

・腹筋50回:耐久+1.2/SP+1

・間食カット(一日):魅力+0.2/SP+1


「……鬼だな」

だが、鬼でいい。数字が増えるなら、苦しみさえご褒美だ。



一週間後。

鏡の中の顔が、ほんの少し尖って見えた。

顎の下の影が薄く、頬の輪郭がわずかに浮き上がる。


【ステータス更新(一週)】

・体重:72.5 → 70.8kg

・体脂肪率:26% → 24.5%


「……減ってる」


数字が語る。誰に笑われても、これは嘘じゃない。

母が「顔、すっきりした?」と首をかしげ、美咲は「錯覚」と鼻で笑った。

それでも構わない。俺には――“見えている”。



二週目。雨。


外に出られない日の代わりに、サブクエの指示が細かく出る。

「湯船ストレッチ10分」「壁スクワット60秒×3」「夜の炭水化物50%オフ」


台所で母に「最近よく動くね」と笑われ、「うん」とだけ返した。

空腹に負けそうな夜、冷蔵庫の前で画面を呼び出す。

“数字”が、食欲より強い意志になる。


【ステータス更新(二週)】

・体重:70.8 → 69.0kg

・体脂肪率:24.5% → 23%

・筋力:+1.4(サブクエ累計)

・耐久:+2.4(サブクエ累計)

・魅力:+0.2(サブクエ累計)


昼休み。

佐藤が机を蹴飛ばした。弁当が宙を回転して床に落ち、笑い声が響く。

俺は無言で箸を拾う。


(こいつはまだ気づいてないだけだ。数字は、積もってる)


胸の奥で、静かに笑った。



三週目。

呼吸のリズムが身体に染み込み、歩幅が自然と広がる。

ランの折り返し地点は、初週より一つ先の信号になった。


授業中、教壇に立って黒板に書いたとき、視界がわずかに高い。

チョーク置き場に手を伸ばす角度が前より自然で、

そんな取るに足らない変化が、妙に嬉しかった。


そして三週目の終わり――画面が弾ける。


【クエスト達成】

・純脂肪減 −3.0kg(体重合計 −5.0kg)

・体脂肪率:22%


【報酬獲得】

・筋力+2/耐久+2/魅力+0.5/SP+8


洗面所の鏡に映る俺は、もう“昨日の俺”じゃなかった。

頬のラインがすっきりして、腹まわりが締まり、腕に力を入れると筋が浮く。


「……やった」


小さくこぼれた声は、震えていた。

誰も見ていなくても、画面が“証人”でいてくれる。



※【 】内は今回上昇分

【現在のステータス】

・名前:佐久間 陽斗

・年齢:15

・身長:163.1cm

・体重:67.5kg【−5】

・体脂肪率:22%

・筋力:10.0【+3.4】

・耐久:11.0【 +4.4】

・知力:5

・魅力:4.2【 +0.7】

・資産:¥44,400(+2000/日)

・SP:12【+12】



学校では、まだ「何も変わっていない」扱いだ。

廊下で肩をぶつけられ、机を蹴られる。

佐藤はいつものように笑っている。


けれど、母は言った。


「やっぱり痩せたし、背も伸びたよね」


そのたった一言で、十分だった。

数字は裏切らない。

俺は積み上がる“ログ”を、誰よりも信じている。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!引き続きよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ