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第59話 勉強モード突入、まさかの新スキル解禁?

六月中旬。

夏の気配が混じる季節。教室の空気はすっかり期末試験モードになっていた。


担任が毎日のように「お前ら、赤点は補習だからな!」と脅すせいもあるが、クラス全体の焦りは本物だ。プリントを抱えて移動する姿、昼休みに教科書を広げるやつら――みんな必死だ。

(……俺もやる。目標は一ノ瀬を超えること……さすがに厳しいかもしれないけど、せめて学年5位以内には入りたい)



帰宅すると、机の上に教科書をずらりと並べた。

「現代文」「古文」「数学Ⅰ」「数学A」「英語コミュニケーション」「英語表現」「物理基礎」「化学基礎」「日本史A」「地理A」。

並べるだけで頭が痛くなる。

「……やっぱ多すぎる。一日で全部は無理だな。

期末まであと二週間。計画的に進めるしかない。

明日は土曜だし、週末は勉強漬け確定か……」


鉛筆を握り、ノートを広げる。

集中力強化Lv2と暗記力+30%が自然に働き、ページをめくるたびに記憶が頭に染み込んでいく。

だが体は普通の人間と同じ。目はショボショボし、頭は熱を帯び、時計はすでに深夜を指していた。


――そのとき、スマホが震えた。

画面に「星野瑠奈」。


【瑠奈】

先輩〜、今週ちょっと遊びに行かない?

テスト前だけど、たまには休憩必要っしょ!


「……ほんと、こいつは」思わず笑ってしまう。

【陽斗】

遊びは期末終わってからな。

お前もちゃんと勉強しろよ。


すぐに既読。

【瑠奈】

えーっ、先輩冷たすぎ!モデルの仕事忙しくて、全然勉強してないよ!……テスト終わったら絶対どっか行こうね?約束だからね!


短いやり取りなのに、肩の力が少し抜けた。

(……にぎやかな後輩だ)


――夜の10時過ぎ。今度は「水城遥」から。


【遥】

陽斗くん、ちゃんと勉強してる?

三年の期末は受験の模試も兼ねてるから、私も必死!

【陽斗】

もちろん。死ぬ気でやってる。遥は大丈夫か?

【遥】

私は平気。慣れてるから。……でも、陽斗くんのこと考えると、つい頑張っちゃうんだよね。


その一文で胸の奥に火が灯る。

(……格好つけなきゃな)


――翌日昼。休憩中にスマホを開くと「一ノ瀬凛」から。


【一ノ瀬】

勉強してる?

【陽斗】

もちろん。家だとついスマホ見そうになるけど、我慢して頑張ってる。一ノ瀬は?

【一ノ瀬】

私もしてるよ。でも、図書館の方が集中できるんじゃない?

【陽斗】

家でやるって決めたんだ。テスト、一ノ瀬には負けないからな。


一拍おいて既読。

【一ノ瀬】

……期待してるから。


スマホを握る手が熱くなる。

(やっぱり、こいつには認められたい)


――机に戻った瞬間、視界にウィンドウが浮かぶ。


【特別クエスト発生】

・タイトル:「期末に備えよ」

・内容:全科目の復習を二週間かけてやりきれ

・報酬:SP+5/知力+1


「……よし。絶対にクリアしてやる」


――翌日からは、朝から晩まで勉強漬け。

数学Ⅰの二次関数、古文の助動詞、英語長文の仮定法。

一度集中が切れると机に突っ伏しそうになるが、スキルの補正が背中を押してくれる。


母がドアを開けて顔をのぞかせた。

「陽斗、大丈夫? 最近ずっと机に向かってるじゃない」

「平気。期末だから」

「……ふふ、頼もしくなったわね」


妹の美咲も顔を出す。

「お兄ちゃん、すごい。私も受験勉強始めなきゃ」

「お前はまず中学のワークからやれ」

「むぅ……」


そんな日常も悪くなかった。


――期末テスト前日。


【瑠奈】

ねぇ先輩〜、息抜きにアイス食べ行かない?

【陽斗】

……お前わざと言ってるだろ。

勉強サボらせる気だな。

【瑠奈】

だって今ちょうど仕事休みだし、期末前で会えないの寂しいんだもん。

【陽斗】

じゃあ勉強しろ。

テスト終わったら、ちゃんと付き合うから。


数分後。

【瑠奈】

……絶対だからね?


画面を見て、思わず吹き出す。

「ほんと、こいつは……冗談か本気かわからないな」


――夜。スマホが二度震えた。


【一ノ瀬】

……頑張ってる?明日からだね。佐久間くんがどこまで順位を伸ばすのか、楽しみにしてる。

【遥】

陽斗くん、明日から期末だね。睡眠ちゃんと取るんだよ。……応援してるから。


三人三様の言葉に、胸が熱くなる。

(よし、二年になって初めての大きなテストだ。絶対に結果を残す)


――深夜、最後のノートを閉じた瞬間、視界に光が走った。


【特別クエスト達成】

・内容:全科目の復習を二週間かけてやりきれ

・報酬:SP+5/知力+1


「……やった」


そのままスキルショップを開く。

•集中力強化Lv3(SP15)

•論理思考Lv2(SP13)


悩んだ末に「論理思考Lv2」を取得。

《スキル獲得:論理思考Lv2》

――思考を整理し、最短の解を導き出す力が向上。会話・交渉・戦略でボーナス補正。知力+2。


【残りSP:24→11】

「……これで一歩先に進める」


――画面が淡く光り、新たな通知が表示された。


【新スキル解放】

――スキル数20到達記念。

スキル「資産変換」が使用可能になりました。


説明:

・資金をもとに、資金10万円=スキルポイント1に変換可能。

・購入上限なし。

・変換したポイントで取得できるのは「生活系/趣味系/軽スキル」のみ。

・戦闘・主要能力強化スキルは対象外。



資金変換ショップ(10万円=SP1)

•【料理基礎Lv1】 SP1

•【雑学知識Lv1】 SP1

•【観葉植物ケアLv1】 SP1

•【掃除効率化Lv1】 SP1

•【絵心Lv1】 SP2

•【ハンドメイドLv1】 SP2

•【収納術Lv1】 SP2

•【etc…】



「まさかこんな特典があるなんてな……。

でも、これといって欲しいのはないな。さすがに“金で筋力や知力が買える”わけないか……。これに10万出すのは、正直きついな」


スクロールを止めて、苦笑い。

「まぁ、いつか必要になるときもあるかもしれないし……保険だな」

ウィンドウを閉じ、深呼吸する。

資金でスキルを買えるってだけで、新しい可能性が広がった気がした。

(……よし、明日は期末テスト初日。やるぞ)



【現在のステータス(六月下旬・期末テスト前)】


・名前:佐久間 陽斗

・年齢:16

・身長:180.8cm

・体重:63.0kg/体脂肪率:9.0%

・筋力:27.0

・耐久:27.0

・知力:30.2

・魅力:40.2

・資産(現金):280,000円

・投資中:60,000円(評価額:160,000円/利益:+100,000円)

・総資産:440,000円

・SP:11

・スキル:21(展開可能)

・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占

・特別イベント:

 水城遥(進行中/好感度:89/好意→恋愛条件未達)

 一ノ瀬凛(進行中/好感度:73/好意)

 星野瑠奈(進行中/好感度:70/好意)

読んでいただきありがとうございます。期末テスト編突入です。次回は試験本番、ぜひ読みに来てください。

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― 新着の感想 ―
各話の最後にあるステータスが前話と比べていくつ増えたか分からないので、例えば「魅力40(+0.5)」みたいな形でどのくらい増減したか示してもらえるとありがたいです。
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