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クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双  作者: 四郎
第一章:数値が証明する“信じる力”

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第56話 投資で10万増えたけど、全部は君のために使いたい

ゴールデンウィーク後の三橋との喧嘩は、今でもひそひそと噂されているが、だいぶ落ち着いてきた。

校内での立ち位置も少し変わり、特に男子からは怖がられているようにも感じる。

そんな中、カレンダーに刻まれた日付は容赦なく迫ってきた。


6月5日。

水城遥の誕生日。


(あと一週間しかない……!)


教室の窓から射し込む光の中で、俺は深くため息をつく。

クリスマスやホワイトデーはなんとか乗り切った。けれど誕生日となれば話は別だ。

――その人がこの世に生まれた特別な日。

下手なことをすれば、せっかく築いた関係が台無しになるかもしれない。いや、遥はプレゼントそのものにこだわるタイプじゃないと思うんだけど……。


「……どうすりゃいいんだよ」



家に帰ると机に向かい、スマホで「女子高生 誕生日プレゼント」と検索する。

出てくるのはアクセサリー、香水、ブランド品……。

けれど、どれもピンと来ない。


金に物を言わせて高いものを贈る。

それは確かに無難かもしれない。けど――。


ふと、机の端に置かれた小さな物が目に入った。

白地に淡い青で刺繍された「H.S」の文字。

ホワイトデーのときに遥がくれた手作りのキーホルダーだ。


同時に、球技大会が終わったあとに彼女からもらった手作りクッキーの甘い香りを思い出す。


(……遥、手作りのものをくれたんだよな。俺のためだけに……)


胸の奥に浮かんだ感情が、自然と方向を決めていた。


「よし……ケーキだ。それと……刺繍」



だが、問題は山積みだった。

――俺はケーキなんて作ったことがない。

――針と糸なんて握ったのは小学生の家庭科が最後だ。


冷蔵庫を開け、卵と小麦粉を並べる。

クックパッドをスクロールしながら作業を始めたものの……。


「なんで膨らまねえんだよ!」

「焼き色つきすぎだろ!」


焦げ臭い匂いが台所に立ち込め、スポンジはぺしゃんこに潰れる。

額の汗を拭いながら、思わず呟いた。


「……これ無理じゃね?」


その瞬間、視界にウィンドウが灯る。



【新スキル解放可能】

・ケーキ作りLv1(SP-3)



(……なるほど。こういう流れかよ……都合がいいけど助かる)


苦笑しながら、残っていたスキルポイントを振り込む。


【ケーキ作りLv1取得】


頭の中に、手順の整理がスッと流れ込んでくる。

卵の泡立て方、オーブンの温度管理――。

もう一度挑戦すると、今度はふんわりと膨らんだスポンジが姿を見せた。


「……よしっ!」

思わず小さくガッツポーズ。


続いて手を伸ばしたのは刺繍セット。

刺繍なんて未知の領域だ。針を指に刺して「痛っ」と声を上げる。

何度も失敗しては糸をほどき直す。指が絆創膏だらけになり、諦めかけたとき――。



【新スキル解放可能】

・刺繍Lv1(SP-2)



「スキル様、ありがとうございます!」


残り2ポイントしかなかったが、迷わず最後のポイントを投資する。


【刺繍Lv1取得】


針先が布の上を走る。

白いハンカチの端に、慎重に「H.M」の文字を縫い込んでいく。

遥の名前――Haruka Mizuki。

心を込めた一針一針が、不思議と温かさを帯びていた。


「……なんとか、形になった」


机の上には手作りのショートケーキと、イニシャル入りのハンカチ。


(スキルのおかげでなんとかなったけど……遥はこんな大変なことをして作ってくれたんだな……)


それだけでは物足りない気がして、スマホを開いた。


(せっかくだし……ディナーも用意しよう)


高級レストランの予約ページを開く。

表示された料金に一瞬ひるんだが――。


「……今の俺なら、出せない金額じゃない」


そう思えたのは、資産のおかげだった。

毎日2,000円増える資金ブーストで、手持ちの資産は30万円を超えている。高校生には十分すぎるほどの大金だ。


ふと投資のことを思い出す。久しぶりに投資画面を開くと、目を疑う数字が並んでいた。


6万円を投じた株が――評価益+10万円になっていたのだ。


「な、なんだこれ……!」

思わず声が出る。


直後、ウィンドウが再び浮かぶ。



【クエスト達成】

・タイトル:「投資家の第一歩」

・内容:累計利益10万円を達成せよ

・報酬:SP+10



スキルポイントが一気に10増えた。

今回は温存することにした。ケーキと刺繍で残りを使い切ったばかりの俺にとって、正直ありがたかった。


高級レストランを予約し、すべての準備を整える。

ほっと一息ついたとき、大事なことを忘れていた。

スマホを取り出し、LINEを開く。


(そもそも遥の予定を聞かないとな……)


『6月5日、夜って予定あるか?』


送信した直後から、心臓が騒がしくなる。

数分後、既読がつき――返信が返ってきた。


『うん、大丈夫。空いてるよ』


その一文を見た瞬間、肩の力が抜けて自然と笑みが漏れた。


(よかった……誕生日だから、家族で外食ってこともありえるからな)



しかしその頃、遥の部屋では――。

スマホを握る手を強く握りしめたまま、小さなため息を落とす彼女の姿があった。


(ほんとは、家族とご飯に行く予定だったけど……)

(でも……陽斗くんに“行けない”なんて言いたくない)


彼女の瞳は、画面に映る文字をじっと見つめていた。


――その気持ちを、俺は知ることがない。



※【 】内は今回上昇分

【現在のステータス(五月下旬・遥の誕生日準備)】

・名前:佐久間 陽斗

・年齢:16

・身長:180.8cm

・体重:63.0kg/体脂肪率:9.0%

・筋力:27.0

・耐久:27.0

・知力:27.2

・魅力:38.2

・資産(現金):325,000円

・投資中:60,000円(評価額:160,000円/利益:+100,000円)

・総資産:485,000円

・SP:10【 +5】

・スキル:19(展開可能)【+2】

・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占

・特別イベント:

 水城遥(進行中/好感度:87/好意)

 一ノ瀬凛(進行中/好感度:71/好意)

 星野瑠奈(進行中/好感度:70/好意)

読んでいただきありがとうございます!遥の誕生日準備編でした。

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― 新着の感想 ―
いやいや、10万のディナーとか、プロポーズだろ?w
おー、良い進捗具合ですねー
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