表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双  作者: 四郎
第一章:数値が証明する“信じる力”

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/135

第49話 GWに呼ばれた撮影で、ギャル後輩とカップル役に

四月二十八日。

白峰高校二年一組。窓の外では春風が桜の花びらを最後の力で舞わせ、教室の中はゴールデンウィークを目前にした浮き立つ空気で満ちていた。


「家族で旅行いくんだ~」

「俺は部活の合宿だよ。……絶対地獄だろ」

「いや、俺なんかバイトで全部潰れるわ」


あちこちでそんな声が飛び交う。机を寄せ合って予定を語り合う女子グループ。廊下でふざけて走り回る男子。二年生になって少し大人びた雰囲気の中に、まだ一年前の名残みたいな無邪気さが混じっていた。


俺はその喧噪を横目に、窓際の席で教科書をまとめていた。

すると突然、後ろの男子が声を上げる。


「なあ……佐久間、お前また伸びたよな?」


「え?」

思わず振り返る。


「いや、この前の身体測定からまだそんなに経ってないのにさ。明らかに高いだろ」

「わかる! 黙って立ってるだけで視線が上にある感じする」

「いくらなんでも成長期すぎるって。羨ましいわ」


笑い混じりの声が次々と飛び、今度は女子たちもざわざわと騒ぎ出す。


「確かに……なんか前より背が高くなったよね」

「ていうかスタイルよすぎない?」

「うわ、ほんとモデルみたい……」


一瞬で視線が集中した。

俺は片手で後頭部をかきながら、曖昧に笑う。


「……成長期、ってことにしといてくれ」


そう答えつつ、胸の奥では冷静に理解していた。

――フォトジェニックの身長補正。それが自然成長と重なり、俺の背をさらに押し上げている。

偶然なんかじゃない。ここまで積み重ねてきた結果だ。


「佐久間くんって……ほんとにモデルできそうだよね」

「うん、ちょっと漫画の主人公っぽい」


小さな笑い声や囁きが広がり、男子の何人かは苦い顔をしていた。


「チッ、また目立ちやがって……」

「どこまで伸びんだよアイツ……」


俺は聞こえないふりをして、席に座り直す。余計なことは言わない。

けど、胸の奥で湧き上がる熱までは抑えられなかった。



四月二十九日。

ゴールデンウィーク初日。


友人たちは旅行だの、部活だの、バイトだの……それぞれ予定で忙しそうにしていたが、俺には特別な予定がなかった。

ベッドに寝転び、天井を見つめる。窓の外からは子どもたちのはしゃぎ声。カーテン越しに差す春の日差しが、部屋を柔らかく染めていた。


「……春休みは肉体改造で手いっぱいだったけど、急に暇だな」


呟いた声が空気に吸い込まれる。ふと視線を横にやると、机の上のスマホが目に入った。

連絡先に登録された「雑誌編集者」の名前。


――あの日、街で声をかけられ、流されるように撮影したあの人。


気づけば指先が勝手に動いていた。


『お久しぶりです。もしまた撮影の予定があれば、声をかけていただけると嬉しいです』


送信して数分後、スマホが震えた。


『待ってました! 実はゴールデンウィークに若者向けのカップル企画を予定してたんだ。

でも男の子がなかなか決まらなくて困っててね。君さえよければ、ぜひ参加してほしい!』


「……マジか」


思わず息を呑む。心臓が一気に跳ね上がった。

自分から動いた結果が、即座に返ってきた。



五月二日。


朝から街へ向かう。

指定された撮影場所は、若者に人気の大型商業施設と、それに隣接するオープンカフェの広場だった。

休日ということもあり、家族連れやカップルが溢れていて、にぎやかな声とBGMが入り混じっている。


「佐久間くん!」

編集者が手を振って駆け寄ってきた。

「来てくれてありがとう。やっぱり雰囲気あるね、今日の企画にぴったりだよ」


少し緊張しながらも頷く。

周囲を見渡したが、モデルは俺一人のようだった。


「よろしくお願いします……でも、カップル企画って聞いてたんですけど、俺一人ですか?」


編集者は意味深に笑う。

「そこは心配しなくていい。“パートナー”はちゃんと用意してあるから」


「……?」


疑問を抱えたままスタッフに案内され、控室へ向かう。


そこには、すでに用意された衣装が並んでいた。

カジュアルで爽やかなシャツに、細身のパンツ、スニーカー。

――明らかに「カップルコーデ」を意識した組み合わせだった。


「……普段はこんなオシャレな服、着ないな」


鏡に映る自分を見つめ、小さく呟く。

緊張と期待が入り混じり、胸がざわついた。


そのとき、控室のドアが再び開く。

軽やかな足音。そして、どこか聞き覚えのある声。


「――先輩、やっぱり来てたんだ」


振り向いた瞬間、視界に星野瑠奈の姿が飛び込んできた。

茶色に染めた髪が光を弾き、きらきらと輝いている。

カジュアルなのに大胆なコーデを完璧に着こなし、まるで雑誌から抜け出したみたいな存在感。


「星野……なんでお前が……?」


彼女は唇に笑みを浮かべる。

「ふふっ、内緒。でも、今日のパートナーは私だよ。よろしくね――先輩」


驚きと戸惑いで固まる俺を、彼女は茶目っ気たっぷりに見上げていた。



※【 】内は今回上昇分

【現在のステータス(五月二日・撮影現場到着時点)】

・名前:佐久間 陽斗

・年齢:16

・身長:180.8cm

・体重:63.0kg

・体脂肪率:9.0%

・筋力:25.7

・耐久:26.5

・知力:27.2

・魅力:35.2

・資産(現金):295,000円

・投資中:60,000円(評価額:65,500円/利益:+5,500円)

・総資産:360,500円

・SP:2

・スキル:16(展開可能)

・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占

・特別イベント:

 水城遥(進行中/好感度:87/好意)

 一ノ瀬凛(進行中/好感度:71/好意)

 星野瑠奈(開始/好感度:60/信頼)



(まさか……瑠奈と組むことになるなんてな)


胸の奥で高鳴る鼓動を抑えながら、俺は新しいステージの幕開けを感じていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。今回は瑠奈との再会とカップル企画の始まりでした。もしよければ、感想やブクマで応援していただけると、とても励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ