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クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双  作者: 四郎
第一章:数値が証明する“信じる力”

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第41話 限界突破、そして覚醒まであと2SP

三月二十日。


ジョギングを終えた俺の視界に、いつものウィンドウが淡く浮かんでいた。


【クエスト進行度:56%】


「……ここからが、本当の勝負だな」


吐き出した息は白く、まだ春の訪れが遠いことを告げていた。

けれど胸の奥は、確かな熱で満ちていた。

積み上げてきた日々が、数字として可視化されるたびに、

それが“努力の証”だと脳が理解する。

――その感覚が、何よりの報酬だった。



三月二十一日。


午前のジョギングを終えると、全身が鉛のように重い。

足首はじんじんと痛み、シャツは汗で張り付き、呼吸は焼けるようだ。

けれど、鏡の中に映った自分を見た瞬間――息が止まった。


うっすらと浮かび上がった、腹筋のライン。

ほんの数ミリの変化。

それだけなのに、心臓が跳ねた。


【クエスト進行度:65%】


「……数字は、嘘をつかない」


独り言のように呟いた声は、どこか嬉しそうだった。


昼食は鶏胸肉とサラダ。

妹が頬張る菓子パンの香りが鼻を刺激する。

それでも俺は、グラスの水を口に含み、皿を見つめた。

――欲しいのは糖分じゃない。未来の自分だ。


夜はスクワット、腕立て、プランク。

呼吸が荒れ、腕が震え、床に倒れ込んでも、

視界の端でウィンドウがまた伸びていく。


【クエスト進行度:68%】


(まだいける。まだ上がる)



三月二十三日。


空は鉛色で、重たい雲が低く垂れ込めていた。

体も気分も沈みそうになる。

それでも、足は止まらない。


靴底が水たまりを叩き、冷たい飛沫が脛を濡らす。

肺は焼けつくように痛み、肩で息をする。

それでも走り続けた。


帰宅後、体脂肪計に映った数字が視界を貫く。


【体重:61.0kg】

【体脂肪率:12.8%】


「……よし、確実に減ってる」


【クエスト進行度:74%】


疲労の中にも、確かな実感があった。

夜の筋トレでは腕が震え、床に滴った汗が光を反射して円を描く。

寝転んだまま天井を見上げると、笑みがこぼれた。


(ここまで来たら、もう止まれない)



三月二十五日。


快晴。突き抜けるような青空。

桜並木のつぼみが、昨日よりも確実に色を増していた。

春の匂いが、風に乗って頬を撫でる。


「……あと少し」


走るたび、呼吸のリズムが鼓動と重なっていく。

街全体が、まるで俺の努力を祝福しているように感じた。


【クエスト進行度:81%】


夜、鏡の前で上着を脱ぐ。

浮かび上がった腹筋のラインに指先で触れた。

皮膚の下に刻まれた線は、確かに“努力の痕跡”だった。


「……ついに、ここまできたか」



三月二十七日。


停滞期が訪れた。


【体脂肪率:11.5%】

【クエスト進行度:87%】


どれだけ走っても、どれだけ抑えても、数字が動かない。

焦りが喉を焼き、思わず体脂肪計を軽く蹴った。


「……クソッ」


ベッドに倒れ込みかけたその瞬間、

頭の奥で、昔の自分が笑う声がした気がした。


(ここで投げたら、また昔のままだ)


その一言が、俺を奮い立たせた。

夜、腕立ての途中で腕が痺れ、床に崩れ落ちる。

息は荒れ、胸が痛む。

だが、拳を握った。もう一度、床を押し返す。


(まだ、終わらせない)



三月二十八日。


全身に疲労が残る。

脚は重く、呼吸も浅い。

それでも、外に出た。


「……あと一歩だ」


桜並木を駆け抜ける。

花びらが舞い落ち、頬をかすめた。

季節が進むように、俺も進まなければならない。


【クエスト進行度:92%】


夜。筋トレを終えて鏡を見る。

腹部にはっきりと刻まれた六つの影。

胸板の厚み。肩のシルエット。

すべてが、過去の自分を置き去りにしていた。


「……いける」



三月二十九日。


夜のジョギングを終え、

体脂肪計の上に立つ。

息を整えながら、数字が現れるのを待つ。


心臓の鼓動が、耳に響く。


【体脂肪率:9.8%】


「……やった」


その瞬間、視界に光が弾けた。



【クエスト達成】

・報酬:SP+10


【SP18 → 28】


【サブクエスト達成】

・タイトル:100%到達ボーナス

・内容:極限の限界突破を果たした。その肉体は“努力の結晶”として、さらに洗練されたバランスを得る。

【報酬】

 筋力+0.7/耐久+0.7/魅力+0.2



全身が熱くなる。達成感が、涙腺を刺激した。

だが同時に、もう一枚のウィンドウが浮かび上がる。



【新スキル解禁】

・スキル名:肉体覚醒

・必要SP:30

・効果:身長+8cm/筋力+1.5/耐久+1.5/魅力+1.5



「……これは!」


あと2SP。届きそうで届かない距離。

だけど、その数字を見つめて――俺は思わず笑っていた。


鏡の中にいるのは、努力を積み重ねた“今の俺”。

腹筋はくっきりと割れ、目つきは鋭く、肩には確かな厚みがある。

そこに立っているのは、もう“過去の俺”じゃない。


SPが足りなくても、もう焦りはなかった。

だって、ここまで来るまでに流した汗も、積み重ねた日々も、

全部が“俺自身の成長”として残っている。


(そうだ。スキルより、数字より――

この努力の過程こそが、最高の報酬だ)



※【 】内は今回上昇分

【現在のステータス(三月二十九日・ダイエットクエスト達成後)】

・名前:佐久間 陽斗

・年齢:16

・身長:168.1cm

・体重:60.0kg

・体脂肪率:9.8%

・筋力:23.9【+0.7】

・耐久:24.7【+0.7】

・知力:27.2

・魅力:30.2【+0.2】

・資産(現金):263,000円

・投資中:60,000円(評価額:65,500円/利益:+5,500円)

・総資産:328,500円

・SP:28.0【+10】

・スキル:14(展開可能)

・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に

・特別イベント:水城遥(進行中/好感度:82/好意)/一ノ瀬凛(進行中/好感度:66/信頼)



(あと2ポイント。新学期までに、必ず手に入れる)

拳を握り、熱く波打つ鼓動を胸の奥で受け止める。


――この春、俺は“覚醒”する。

いつも読んでくださって本当にありがとうございます。もし面白いと思っていただけたら、感想やブックマークで応援してもらえるととても励みになります。

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