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クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双  作者: 四郎
第一章:数値が証明する“信じる力”

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第40話 最終ダイエットクエスト開幕、数字で変わる春休み

三月十六日。


終業式を終え、校舎を出ると、まだ冷たい風の中にわずかな春の匂いが混じっていた。

二年生に上がるまでの春休み。仲間たちは部活の予定や遊びの約束で声を弾ませていたが、俺の目に浮かんだのは別のものだった。



【クエスト発生】

・タイトル:最終ダイエットクエスト

・内容:体脂肪率を10%以下にしろ

・報酬:SP+10



「……来たな、最終か」


筋力や耐久は数値として伸びてきた。知力も、スキルと努力で積み重ねてきた。

だが、鏡の前に立つ自分はまだ“理想”には届いていない。腹筋はうっすらと線が見える程度。完全に割れているわけではなかった。


体脂肪率15%。

健康的な数値ではある。

だが、俺の目的は“平均的な健康”じゃない。

数字を積み上げてきた以上、ゴールは常にその先だ。

筋力も、耐久も、知力も伸ばしてきた。

なら、今度は体を極める番だ。


「やってやる」


拳を握りしめ、俺は春休みの過ごし方を決めた。



三月十七日。


翌朝から生活は一変した。

夜更かしをやめ、夜明けとともに起きる。カーテンを開けると、まだ寒い空気が窓から流れ込む。

深く吸い込むと、肺の奥まで冷気が突き刺さり、意識が一気に冴え渡った。


軽いストレッチで体を起こし、ランニングシューズを履く。足を一歩踏み出すと、まだ眠っている街を冷たい風が切り裂いた。


10分も経たないうちに、呼吸は荒れ、喉は焼けつく。足は鉛のように重くなり、心臓が胸を叩き割ろうとする。だが、視界の端に浮かぶゲージが俺をやる気にさせてくれる。


【クエスト進行度:7%】


(よし……積み重ねていけば、必ず到達できる)


帰宅後、汗を拭き取り、朝食をとる。オートミールと卵、鶏胸肉。味付けは塩と胡椒だけ。最初はパサパサ感にうんざりしたが、三口目には不思議と慣れていた。胃に重さが残らないから、すぐに勉強や筋トレに移れる。


昼、友人から外食に誘われても断った。ファストフード店へ行きたい気持ちを抑え、俺は自作弁当を広げる。玄米、ブロッコリー、ゆで卵。周りに笑われても「数字のためだ」と割り切れる。


夜は筋トレ。腕立て、スクワット、腹筋。限界まで追い込み、鏡に映る自分と向き合う。


「……あと5回!」


腕が震え、床に崩れ落ちても、数字が伸びるイメージをすれば立ち上がれた。


【クエスト進行度:23%】



三月十八日。


筋肉痛で全身が痛い。普段から筋トレは日課にしているが追い込みすぎた。階段を上がるだけで太ももが悲鳴を上げ、咳をするたびに腹筋が軋む。だが、止まる理由にはならない。


「……行くぞ!」


再び走り出す。商店街を通ると、焼き立てのパンやスイーツの甘い香りが鼻をくすぐった。足が思わず止まりかける。


だが、頭上に文字が浮かんだ。


【クエスト進行度:37%】


(ここでやめたら、全部無駄だ……!)


帰宅し、鶏肉を焼く。味付けは最小限。それでも噛むたびに旨味が広がり、「これでいい」と思えるようになっていた。空腹感さえも数字に変わる。



三月十九日。


朝、体重計に乗る。


【体重:61.8kg】

【体脂肪率:14.1%】


「……いい調子だ」


数字が変わっていく。それが筋トレ以上に心を奮い立たせる。


午前はランニング、午後はHIITトレーニング。短時間で全身を追い込む高強度の運動は、地獄だった。

肺が焼けつき、全身が重い。汗が床に落ちて、染みを作る。


それでも俺は動き続けた。勉強の時と同じように、手順を守れば必ず結果が出る。

体を数字として管理できるのが俺の強みだ。

努力は裏切らない。


【クエスト進行度:48%】


「まだ折り返し地点。ここからだ」



三月二十日。


街には春の気配が広がり始めていた。桜のつぼみも膨らみ始めた。汗を流しながら走る景色が、昨日までとは違って見えた。それだけで気分転換になる。


呼吸を切らしながら立ち止まると、額の汗を拭う前にウィンドウが浮かんだ。


【クエスト進行度:54%】


「……まだ半分、絶対にやり切る。これが終わったときには、もう誰も俺を笑えないはずだ」


数字が背中を押してくれる。積み上げてきた日々が、確かに俺を変えていた。


そしてその瞬間――画面が一度、強く光を放った。



【サブクエスト達成】

・タイトル:50%突破ボーナス

・内容:努力の継続が身体能力を刺激した

【報酬】

 筋力+0.3/耐久+0.3/魅力+0.3



一瞬、体が軽くなった気がした。

風の流れが変わる。足取りも、視界も、すべてが“進化した自分”に馴染んでいく。


心臓の鼓動が、数字のリズムと重なる。

小さな達成でも、確かに前に進んでいる。


(まだ終わらせない。ここからが――本当の勝負だ)



※【 】内は今回上昇分

【現在のステータス(三月二十日・ダイエットクエスト進行中)】

・名前:佐久間 陽斗

・年齢:16

・身長:168.1cm

・体重:61.2kg

・体脂肪率:13.5%

・筋力:23.2【+0.3】

・耐久:24.0【+0.3】

・知力:27.2

・魅力:30.0【+0.3】

・資産(現金):249,000円

・投資中:60,000円(評価額:65,500円/利益:+5,500円)

・総資産:314,500円

・SP:18.0

・スキル:14(展開可能)

・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に

・特別イベント:水城遥との関係(進行中/好感度:82/好意)/一ノ瀬凛との関係(進行中/好感度:66/信頼)



かつての俺にとって春休みは「だらける時間」だった。昼過ぎまで寝て、夜更かししてゲーム、無駄に過ごすだけ。


だが今は違う。オートミールの一口、筋トレの一回、ジョギングの一歩。すべてが数字として積み重なり、未来の俺を作っていく。


(見てろ。俺はもう――昔の俺じゃなくなる)


拳を握り直し、俺は次の一日へと踏み出した。

ここまで読んでいただきありがとうございます。引き続き、応援や感想をいただけると、とても励みになります。

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