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はじまりの世界
13億人の君へ。
君への変わらぬ愛が、今も私を苦しめている。おそらく伝わることはないだろう。それでも、私は言い続ける。
"愛している"、と。
どうして。
それだけが頭の中を巡り続ける。君を失ったこの世界は私にはもう耐えられない。失うまで気付けない自分がひどく情けなくて、また嗚咽に沈んでいく。
満ち足りた穏やかな日常……そのはずだった。あれが起こるまでは。
私は戦士ではなかった。だから守れなかった。蹂躙された。全て奪われた。
もし叶うなら、あの日々を取り戻し、守り抜いて―――
……………
もし神がいるのなら、どれほど呪ったことだろう。しかし、同時に感謝の気持ちで溢れている。
心に希望が宿ったのはいつ以来だろうか。あまりに都合が良すぎるが、使わずにはいられない。使わなければ。君を取り戻すことは出来ないのだから。
たとえ世界の敵になろうと、君に届くために、何度でも―――
『愚かなる欲望の鍵』