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第7部


インフィニティーは水鏡第1部からの続きです。


1部はこちらからどうぞ→ http://syosetu.com/pc/main.php?m=w1-4&ncode=N9693G


セイは、あまねのあごを掴み口をあけさせ、手首から滴る血を口の中へ流し込む。

口の中に生臭い血のにおいと鉄のさびたような味が広がる。


「飲んでください…吸収されてからが始まりですから」


セイが不気味な笑みを浮かべている。あまねは血を吐き出そうとしても、あごを握られていて吐き出せない。身体をよじり、引き離そうとするが動くことができない。

出来るのは飲み込まないようにするだけ。

口の中いっぱいに血がたまりあふれ出す。

抵抗をするうち、血が少量喉を通って入ってくる。


ドクン!


大きく体中に響くほどの衝撃。

その衝撃で一気に血が喉を通る。

焼け付く喉。体中が熱くなってまるで沸騰するかのよう。

ふとセイの腕がゆるみあまねのあごを離す。


「さぁ…始まりです…あなたをよりしろとしてナビの魂を呼び戻します」


あまねの周りの魔方陣のような光がよりいっそう輝きを増す。


ゴホッゴホッ


あまねは咳き込み、血を吐くが、半分以上飲んでしまった。


「あぁぁぁぁぁ!!」


体中が焼け付くほど熱い。

体中の何かが悲鳴を上げている。

身体をくの字に曲げ必死に痛みに耐える。


「もうすぐ…もうすぐあえますよ…ナビ…」


苦しむあまねを見ながらつぶやく。どこかうつろげに。


ぎしぎしと体がきしむのがわかる。体の一部にうろこのようなものができ始める。

気が遠くなりそうなくらいの痛み。

腕一面が白いうろこで覆われていく。

痛みが治まったとき体の半分近くが白いうろこで覆われていた。

息が荒く、立ち上がれないほど疲労しているあまねをセイは抱き上げ、ベッドに横たえさせ、水を含んだ布で優しく汗を拭いていく。


「だんだんと痛みも消えていきますよ。完全に変化するまで、数日は我慢してください…」


よみがえらせる・・・それがどういうことなのか、この状態とどう関係があるのか遠のく意識の中疑問に思うあまね。


体中の細胞の変化にだんだんとなれるためなのか、痛みを感じなくするためなのか、意識がはっきりせずまどろんだ状態。

その中で夢を見る。

今まであった出来事の夢。神社に来たことや踊りやうたの稽古を湖でしていたこと、みさとやみなものことなど。

夢を見ると同時に記憶ごと徐々に消えてゆくのもわかった。

あまねは必死に覚えていようと繰り返し繰り返し思い出したりつぶやいたりするが、意識が戻ると忘れていた。


「なんだか…大切なことを忘れていく気がする…ボーっとして、だんだん記憶もはっきりしなくなってきた…でも…先生のことだけは…センセのことだけは…はぁ…はぁ…」


あまねは龍宮のことだけは何があっても覚えていようと必死だ。

龍宮とのことまで忘れてしまうと自分は自分でなくなってしまう。


「忘れない…忘れない…絶対に…絶対に……」



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