道化 十二夜 5
何度も言っているように、私は、嫉妬深い女。
私のためには、絶対に手放そうとはしなかった、自分の大事な仕事を捨ててまで、他の女に尽くすとんびが、許せなかった。
とんびちゃんが、この世に生きているだけで幸せやなんて、一体誰が思ったんや、という世界だ。
五才の明同様、「とんびちゃんをゴミ箱に捨てたらダメ」と「とんびちゃんなんか、ゴミ箱に捨てられてしまえ」を行ったり来たりしている。
で、仕方無く、元純子の恋人の川上達也のドラマを見ていたりする。
回を追うごとに、かっこよくなる主人公の川上達也。
自分の不遇な時に自分を捨てた恋人が、成功した暁に言い寄ってくる。
「おめでとう。あなたが成功するって、ずっと信じてたのよ」と言う元恋人に、彼の言った台詞が、感情が籠もり過ぎていて怖かった。
「誰だったっけ。信じてくれてる人が多すぎて、一々覚えていないんだけど」
そして、この声の冷たさは、お義母様のもの、努の電話の声だと思い出した。
ここでの経験は、本当に無駄ではなく、迫真の演技に生かされたのね。
ふー。
それに引き換え、とんびちゃんときたら、まだ、純子の幻影に惑わされている。
川上達也を見習え、川上達也を!
そんな折りも折り、当の今では加納純子から、「奥様にご相談があるんですけど、会っていただけないでしょうか」という電話がかかってきた。
「何のご相談でしょうか」と『ご相談魔』の実体を努から聞いている私の声は、あまり温かくはない。
「それは、お会いしてから」
「わかりました」と私は言った。
会う場所と時間は決めたが、もしかすると、自分が殺人犯になるかもしれないと思った私は、やはりやはりのお義母様に相談した。
「そうですか。別に、こちらにとって、今更失うものもないし、いいでしょう」とお義母様は言った。
「言うまでもないことですが、凶器は持参しないこと」
「そんな馬鹿なことするわけ無いじゃありませんか」と笑いながら、この超能力者めと思ってもいた。
「向こうは、一方的な話を言うでしょうが、決して、感情を表さないことですね。氷のような表情を崩さずにいなさい」
んな無理なことを。
「ま、そんなことを言っても無駄でしょうから、好きなようにやりなさい。ただし、凶器は持っていかないように」
「はい」かしこまりました。
当日、私は、お義母様に習ったメイクをし、プレセントしてもらった外出着を着て出掛けて行った。靴も当然、お誂えの品。
「ちょっとお待ちなさい」とお義母様に髪型を直してもらい、「エスコートをつけましょう」と何と、川上達也さんがエスコートについた。
車に乗って、向こうの指定したホテルのラウンジに向かう。
意図的なのかどうか、息子の努との写真を撮られたホテルだ。
「光栄です。こんな大役を仰せつかるなんて」と達也さん。
「でも、大丈夫ですか。相手は、あなたの元恋人の純子さんですよ」と私は、その方を心配した。
「とんびさんの受けた迫害を思うと、そんなことは言っておられません。それに、今、僕には、結婚を約束した恋人もいますし」
「ええ、本当? おめでとう!」
「……そんなに喜ばれると、僕の心は、かなり痛みますが」
それ以後は、何となく、お互いに無口になってしまい、その状態のまま、ホテルに到着した。
「駐車場におりますので、帰る時にはご連絡ください」と運転手は言った。
私は、お義母様に、持ったことのない携帯電話を持たされてしまった。
約束の場所で、彼女が真先に発したのが、「きゃあ、達也じゃないの。何で、こんなところにいるの? おめでとう。あなたが成功するって、ずっと信じてたのよ」と言うことばだった。
「君は誰だったっけ。信じてくれてる人が多すぎて、一々覚えていないんだけど」
ええと、これって、ドラマの台詞、そのまんま。
「何言ってんのよ、純子よ、田代純子」
「サインが欲しいんだったら、後でね」
ドラマは、イヤなら消せるけど、現実は消せない、と思い知った私だった。
「今日は、君が話があるというんで、この奥様のエスコートをしてきたんだけど、僕達は、時間がないんで、話は手短にね」
と、ようやく、私の存在を純子様に思い出していただけたというわけだった。
「何言ってんのよ、達也ー」とやはり、私は無視されたままだった。
もう帰ろうと私が思うよりも早く、川上達也が立ち上がって、私の腕を取り、「悪いけど、忙しいので、もう時間が来てしまったよ」とクールな声で言い放つと、勝手に私の携帯で、車を呼んでしまった。
「相手になる必要はありませんよ。後は、僕が話をつけます」
帰りの車にゆられながら、あー、もう婚約者がいるという、川上達也も、結局は純子のフェロモンからは逃れられないのか、と思いながら、家路についた。
結局、純子の相談内容はわからないまま、私は、無駄足を踏んだわけだった。
訳のわからないまま、お義母様に報告すると、「そうですか」という冷たい返事が返ってきただけ。
私は、無駄足の上、役に立たない人間という烙印を押されたような気がした。
仕方が無いので、明と遊んでいるとんびの仲間入りをして、もうどうでもいいわ、と思って、純子に呼び出されたことや、川上達也のエスコートと純子との遣り取り、お義母様の反応を話してしまった。
「私って、ほんま、アホで役に立たへん人間やねん」と愚痴った。
「アホでええやないか。別に、役に立つことが偉いことやなし」という、またも、訳のわからない悟り切った返事が返ってきた。
「そら、そうかもしれへんけど」と言いながら、ムカムカッと腹が立ってきた。
「何やの、あの純子ていう子」
「そういう子やねん」
「何で、とんびちゃんも達也さんも、あの子のことばっかり庇うんよ!」
「別に庇ってへんで」
「庇ってるやんか。ほんまのことも言わんと庇ってるやんか。私のためには、捨てへんかった仕事まで捨てて庇ってるやんか!」
「自分、よう聞けよ」ととんびが言った。
「自分が、私と仕事とどっち取るんて、ほんまに聞いたら、僕は悩んだやろけど、自分は、僕の仕事を理解してくれた。僕が仕事にやる気を無くしたら、怒ってまで励ましてくれた」
まあ、そう言われたら、元気で仕事しているとんびちゃんが好きやった。
「自分、よう考えてみ。自分は、何でか知らんけど、大抵の人に好かれる。
ご主人には愛されてる。あのお義母さんにも愛されてる。
実のお母さんにも愛されてる。子供達にも愛されてる。そ
の上、恥ずかしながら、僕にも……愛されてる」
「ふーん。とんびちゃんにも、愛されてるんや。それ知らんかったわ」と私は言った。
「そんな誰でも知ってる常識みたいなことも知らんのは、自分が人に愛され過ぎてるからやろ」
う。何となく、言いくるめられてしまいそうな予感がする。
「その反対の人間を考えてみいや。
自分では、一生懸命努力しているつもりやねんけど、結果として、誰にも愛されない人間。
それには、そうなるだけの事情があるんやろけど、まず、可哀相やと思わへんか?」
「う、うん。思う」完全に、誘導尋問や。
「そやから、そういう人間にこそ、幸せになってもらいたい、と思わへんか?」
「う、うん」けど、ほんまは、全然思っていない。
「そういう人間が、純子や」
ここまでは、マインドコントロールにやられたけど、そこから先は無理やで、とんびちゃん。
私の嫉妬は、海よりも深く、山よりも深く、日本海溝よりも、バミューダ海溝よりも深い。
「それが、どないしたん。誰にも愛されへんのが、そんなに偉いん。
誰にでも愛されるんは、そんなにアカンことなん。
それやったら、私も、誰にでも嫌われることしたら、とんびちゃんにもっと愛してもらえるわけ? そうなん。フーン。世の中は、複雑にできてるんやな。
努が言うてたけど、純子ちゃんは、超自己中で自分のことしか考えてないんやて。
そやから、幸せにはなられん人間やて言うてた。
とんびちゃんは、そういう人間が好きなんやな。ようわかったわ」
「アホー!」ととんびが、叫んだ。
「自分もそういう人間やったて、思い出せ!」
とんびのことばは、正に会心の一撃だった。
くっそー。
忘れていた。
坂田とんびに出会う前の私は、正に、言われる通りの状態だった。
思い返せば、自己中度では、純子を上回るかもしれない。
あー、恥ずかしい。
経済的にも恵まれていて、友人の誰からも羨まれる生活に、満足していなかった。
何か、今以上に素晴らしいもの、今以上に幸せな人生を求めていた。
そして、坂田とんびに出会った。
「僕が何も感じてないうちに、自分が純子ちゃんに嫉妬したんは、昔の自分に似てたからやで」
あ、あかん。このままでは、マインドコントロールされてしまう。
「何言うてんの。その前に、とんびちゃんが、田代純子ちゃん、可愛いな、可愛いな、て言うてたやないの。もう、その時に、とんびちゃんは、純子ちゃんが、好きやったんや」
「それ言うたら、努君かて同じやろ」
「違うわ。努のは、ただの憧れで、とんびちゃんのは、よこしまな気持ちやわ」
「そう思うのは、自分の勝手やけど、何か助けてやらなあかんと思ったのは、確かにある。
昔の自分を見てるみたいな変な気持ちやった」
「そやから、それは、フェロモン……」と言いかけて、「昔の私て、どんなんやったん?」と思わず、聞いてしまった。
「初めて、僕の公開番組に出た時のこと、覚えてるか? もう、無茶苦茶やったで」
「嘘。何となく覚えてるけど、今やったら出来へん」
「そらそうや。僕が無茶苦茶、自分に振り回されたんも、もう覚えてないんやろ」
「それは、覚えています」と私は認めた。
「自分は、ほんまに自分のことしか考えてなくて、散々振り回してくれたけど、自分は、純子と違って、愛情がある。
ご主人のことも愛してたし、僕のことも愛してた。そこが、純子と違うところや。
純子は、誰も愛せない。自分自身さえ本当には愛してない、可哀相な女や」
「そやから、達也さんととんびちゃんが愛してしまったわけや」
「何言うてんねんな。達也いうヤツのことは知らんけど、僕は、純子を可哀相に思ただけで、愛してるかいな」
「愛してないのに、結婚できるん?」
「あの頃、僕は、不幸のどん底にいて、何ももの考えられへんかったから、『とんびちゃん、ここに判子押して』て言われて、押した覚えがあるだけや。
それが婚姻届やと知ったんは、後の話や。
純子は、いつの間にか、僕のマンションに勝手に住みついてたんや」
話を聞きながら、『初エッチは、いつしたんや』『毎日エッチしてたんか』というフレーズが、頭の周りをグルグル回っていた。
いつまで経っても、私は、程度の低い自己中な女かも……
「それから、僕の知らん間に、松本さんとこに同居する話になってて、お義母さんにも、自分にも、ご主人にも会わせる顔も無いのに、『明君に会いたいでしょ』言われて、ふらふらっと引きずられて行ったんや」
「何やの、とんびちゃん、情け無い。純子の言いなりやない」
「いや、もう、何も力出て来えへんし、犬みたいなもんや。
けど、ええこともあったで、お義母さんに言われて、早起きの習慣もついたし、掃除洗濯も今までより上手になったし、今みたいに、仕事干されてると、これがまた、いい生活のリズムになるんやわ」
『毎日エッチしてたんか』と聞きたい気持ちを抑えて、「何で、そんな元気のない状態やったん?」とたずねた。
「自分に言われたないわ」ととんびは、口をつぐんだ。
その間も、私の頭は、勝手に『一緒に寝てたら、そらエッチするよなあ』『とんびちゃん、エッチ好きやし』と全然違うことを考えていた。
「あの、その、自分、あの男と何かあったんか?」ととんびの方が言った。
「あの男て、誰やのん」
「ここで、一緒に、住んどった男やないか」
「ああ、川上達也さん?」とちょっと顔が赤くなるのがわかった。
「あー、やらし。絶対、何かあったやろ」
「とんびちゃんとは違います。色々と話を聞いてあげただけ」
「それにしても、えらい仲よさそうやったやないか。最後は何やねん、二人で目を見つめ合って、手、握ったりして」
「お別れの挨拶やないの」
「えらい親密なお別れの挨拶やな」
「言うとくけどね、とんびちゃん」と私は、内心、ムカーッとして言った。
「私の方は、別に、達也さんと、恋愛したり、結婚したり、エッチしたりした訳やありませんからね。とんびちゃんと一緒にせんとって」
「僕かて、言うとくけどね」ととんびも同じように、ムキになった。
「別に、純子ちゃんと、恋愛したり、結婚したり、エッチしたりしてません」
えーーー! 嘘ーーー! と内心驚いた。
「はい。仲直り」と明が、二人の手を握手させたので、明の存在をスッカリ忘れていたことに気がついて、改めて、ギョッとした。
「じゃ、僕、自分のお部屋に戻るから、恋人同士、喧嘩しちゃダメだよ」と言って、走っていきかけたが、「お祖母様には、内緒にしておいてあげるから」と大人びた顔で、付け加えた。
「あいつ、全部、黙って聞いてたわけか……」ととんびちゃん。
「つい、カッとして、エッチやなんて言うてしもた」と私。
「こ、ここでは、ナンやから、僕の部屋来るか?」
「う、うん。そやね」
何となく、明に手を握らされたまま、少し、ギクシャクしながら、とんびの離れに向かった。手が何となく、じっとりと汗ばんできたけど、お互い、離さなかった。
「お、お茶でも入れよか」ととんび。
「そんなことは、メイドが」と言いかけて、お義母様の掟を思い出して、黙って、入れてもらうことにした。
二人で、お茶をすすっている間、ズズーという音が聞こえているだけだった。
「純子との共演が決まってから、ご主人も、お義母さんも、何かよそよそしくなって、自分は嫉妬しまくるし、もう針のむしろやったんやで。
その上、『熱愛発覚』や」ととんびが、沈黙を破るように、話し始めたが、私の頭の周囲には、『ほんまに、恋愛もエッチも無かったんやろか』ということばが飛び回っていた。
「その上、恐々帰って来ると、自分にまで、もう愛してない、て言われて、この世の誰が疑っても、自分だけは信じてくれると思ってたのに。
あの時のショックだけは、もう立ち直れへんぐらいのもんやったわ」
「けど、どっかで、純子のこと、好きやったやないの。
エッチしたいとかキスしたいとか思ったやろ。
相談されて嬉しかったし、飲みに誘われて嬉しかったやろ」
「自分、超能力者みたいやな」ととんびは、言った。
「ごめんなさい。確かに、最初、好きでした。エッチしたいとか、キスしたいとかも、つい思ってしまいました。
相談されると嬉しかったし、飲みに誘われた時も、つい心がグラグラッと動きました。その通りでした。堪忍してください」
男は、やっぱりアホなんや、と私は思った。
「けどな、自分かて、川上達也みたいなカッコイイ男に好意を持たれたら、つい、心がふらふらするやろ」
「ま、わからんこともないけど」
「やっぱり、ふらふらしたんやな」
「ちょっと、いい気分やったんは確かやけど、エッチしたいとかキスしたいとかは、思わへんわ」
「あのな、可愛い女の子に好意を示されたら、大抵の男は、多少そういう気持ちになる」
「努もそう言うてたわ」
「そやろ? 言うてたやろ?」
「けど、振り回されてるうちに、段々しんどくなる、て」
「正に、それ。僕としたら、大迷惑。自分にまで嫌われるわ、信じてもらえへんわで、もうどうでもようなってたんや」
「けど、仕事だけは、きちんとこなしてたな」
「それは、前に、自分に言われたからな。『とんびちゃんから仕事を取ったら、何が残るん』て。
それと、自分が見ててくれるかもしれへんという期待やな。テレビ越しに繋がってる関係てなもんや。唯一の接点やと思ったし」
確かに、その通りだった。
「とんびちゃん、私ね、私、とんびちゃんに嘘ついたん」とついに、私は言った。
「知ってるよ、そんなことぐらい」ととんびが言った。
「焼き餅焼きすぎて、しんどなったんやろ」
げ、とんびも超能力者。やはり、見抜かれていたのか。
「けど、僕がショック受けたんは、自分までが、僕をそんな男やと思ったていうことや。
世界一愛してる女がいてるのに、他の女と恋愛したり、エッチしたりすると思うか?」
「つい思ってしまいました。ごめんなさい」と私は、頭を下げた。
「いや。僕も悪い。純子と結婚したことになってしもて、もう、これで、自分との中は決定的に終わりやな、て思ったし、自分は、綺麗になって若返ってしもて、もう僕の手の届かんところに行ってしもたような気がした。
人生終わったな、後は、純子を何とかしたらな、と思ってしまったんや。
けど、いつでも、どんな時でも、自分のこと、考えてたんやで。
川上達也と仲良くしてるんを最初に見た時は、大ショックやったけど、ま、それもええ、自分が幸せやったらええと思った」
「私もやで、とんびちゃん。最初は、嫉妬で腹が立ったけど、とんびちゃんが生きてるだけでいい、と思うようになった」
「そうか」ととんびは、宙を見つめていた。
「お互い、同じこと思ってたわけやな」
うふふふ、と私は笑った。
「何や、突然、気色悪い」
「私、達也さんがここから出て行く時、お義母様の部屋に明がいるのを見て、とんびちゃんが来るんやないかと思ったら、ドキドキして仕方無かった」
「そんなこと言うたら、愛の告白されてる思て、誤解するで」
「誤解ちゃう。愛の告白してんのやから」
「そんなこと言うたら、襲ってまうぞ。僕は、最低のドメスティック・バイオレンス男やで」
「ええよ」
「えーーー」
「けど、そんな長いことば、よう覚えたな」
「自分、僕のことアホや思てるやろ。けど、ただのアホちゃうで。日本一アホな男やで」
「とんびちゃん、好き好き。愛してる」
「僕かて愛してるわ。クソー」
私ととんびは、一つになったとたん、二人同時に泣き出してしまった。
「汗じゃ、汗。暑いから、目から汗が出よる」ととんびは、強がった。
私は、また、彼の腕の中に戻り、どうして、こんなに長い間、この腕から離れていられたんだろうか、と思った。
しばらく我が家でぶらぶらしていた坂田とんびに、映画出演の話が舞い込んできた。
テレビのレギュラー番組をいくつも抱えていた時期には、無理だったが、今は浪人の身の坂田とんび、ほいほいと引き受けた。
題名を聞いて、私もお義母様も、思わず爆笑してしまった。
「そんな笑うことないやないですか」ととんびも笑っている。
『世界一アホな男達』という題名で、とんびと川上達也が共演し、二人は、性悪女に最後の最後まで振り回されながらも、愛し続ける、超アホな男達を演じた。
最後は、性悪女と別の男との結婚式の場面で終わるという、とんびと達也の災難を、そのまま絵に描いたような作品で、演技を越えた経験者にしかわからないような迫真の名場面がいくつもあった。
二人の男の余りの純真さとアホさに、私は、試写会で、笑い泣きした。
主演女優も、純子に似た女優が選ばれている。
スポンサーには、松本の関連会社が、ズラリと並んでいた。
案の定、映画は大ヒットし、噂が噂を呼んで、連日超満員、今だに、ロングラン上映中だ。
とんびと達也は、揃って、主演男優賞に輝き、おまけに『世界一アホな男大賞』も受賞した。
日本一から世界一のアホに、とんびちゃんも出世したものである。
了