20 メイドの過去
ミヤビが昼食を終えて帰った後。
俺たちはリビングのソファーで話をしていた。
というか尋問されていた。
「それで? 兄さんはあの女とどういう関係なんですか?」
リアが覇気を放ちながら問いかけてくる。
怒ってる。 絶対に怒ってる……
「いや、関係も何もただの道端で知り合った友達だからな!」
「結婚したいとか言ってましたけど」
「うぐっ! いや、あれはただの政治的な用語で結婚つっても愛もクソもないから…………ってあれ?」
「どうかしましたか?」
ここで俺はあることに気づいた。
「なんで俺、お前に怒られてるんだ?」
「あっ!」
瞬間、リアの顔がボフッと音を立てて赤くなる。
「あ、あれ、なんででしたってけ〜? ヒュ〜♪ヒュ〜♪」
怪しすぎんだろ!
「おい、吹けてないぞ、お前、なんか隠してないか? どこに怒るとこがあるんだ?」
「えっ? あ、え、ええと……いや、そ、それでは〜〜〜!」
そう言って顔を真っ赤にしながら走り去っていった。
なんだったんだ?
俺も部屋に戻ろうとした時、そこにルンとレナが通りかかっていたため呼び止めた。
「どうかされましたか?」
「なあ、俺、お前たちのステータスを知りたいんだけど、まあ、現状把握的な意味でさ」
「ああ、そんなことでしたかオープン」
「なるほど、そうですねこの際ですし見せておきましょう! オープン」
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レナ・アーガスト 20歳 女
メイド長
体力 12000
筋力 10000
耐性 10000
魔力 15000
魔操 15000
敏捷 25000
スキル
敵探知Lv.8 隠密Lv.8 暗殺Lv.8 拷問術 家事 料理 事務
ユニークスキル
メイドの責務 メイド式戦闘術 メイド式交渉術
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ルン・サトレア 18歳 女
メイド
体力 20000
筋力 10000
耐性 22000
魔力 18000
魔操 18000
敏捷 10000
スキル
敵探知Lv.8 土魔法Lv.7 家事 料理 事務
ユニークスキル
城ノ罪 メイドの責務 メイド式守護術 メイド式交渉術
――――――――――――――――――――――――
「…………ウン、ツッコマナイヨ」
しまった、変な言葉になってしまった。
オホン、と咳払いをする。
「なんでお前らこんなに偏っているんだ?」
「それはですね、多分、生きてきた環境によると思います」
レナが答えてくれた。
「環境?」
「そうです。 その人の生き方によってステータスの伸びが変わリます。 例えば私は、8歳から暗殺について勉強しました。 それからは、実際に、悪人を暗殺したりなどの実戦訓練を受けていました。 暗殺に必要なものは、腕力ではありません。 技術と速さ、この二つが最も大切です。 なので、私のステータスは、敏捷に偏っているのです。」
レナは8歳からもう壮絶な命のやり取りをしていたんだな……
やっぱり俺はまだまだ未熟だ。
「へぇ、ルンは?」
「わたしはですね、今こそ消えましたが昔、わたしの背中にはあざや皮が剥けた後がありました」
「えっ?」
そこでルンは、いつもとは違う神妙な顔で語り出した。
「今はこんなのですがが昔はもっと無表情でした。 私は5歳から体罰を受けていました。 両親は毎日酒に酔い潰れ、よく、今まで生きれたものですよ。 私は、親には対抗せず、体罰を受けていました。 次第にひどくなっていっても私は我慢しました。 しかし、私は我慢できなくなりました。 なんと父が母を殺してしまったのです。 いくら私を傷つけようとも罵倒しようとも構いませんでしたが、両親が争うのはどうしても嫌でした。 父は捕まり、私は孤児院に預けられ、10歳の誕生日、私は神に願いました。 どうか全てを守らせて下さい、 と。 変な言葉ですね。 でも神様は私に力をくれました。 それが城ノ罪です。 この力は見えない城壁を作り出すことができます。 ただし、私の体力と引き換えにです。 その代わり、どこへでも飛ばせますし、何枚でも作れます。 私の体力が3割を切ったら自動的に解除されます。 孤児院の人たちはこの力を気味が悪いと言ってた私を捨ててしまいました。 私が途方にくれていると、そこに、ノクト様とライラ様が現れ、私を二人の友人の信用できる孤児院に預けて下さいました。 私はそこでメイドになる決心をしたというわけです。
すみません長くなってしまいましたね。 私の話はここで終わりです。
まあ、こんな過去があったからこそ、カナタ様のメイドをできているんですけどね! 」
そう言ってまた、いつものルンの笑顔に戻った。
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