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18 ミヤビ

すみません、海外に行ってて、時差ボケで昨日は寝てしまいました。

まあ、世界で一位とか言われてるぐらいの人と三位が親だとか言ったら普通は驚くよな……

というか、周りが集まってきた。

有名人は辛いゼ……じゃなくて!

俺はミヤビの手を握る。


「とりあえず離れよう」


「えっ? あっ! ちょっと……!」


ミヤビは抵抗する間も無く俺に引っ張られて行った。

少し走り、小さな公園に着く。


「ここなら大丈夫かなっと」


「そ、そうじゃな。 まさかお主がイングラムだったのか……」


「その言い方だと探してたみたいだな?」


「そうじゃ、妾はお主を探しておった」


「なんで?」


そこで俺はミヤビの顔が赤いことに気づく。

熱でもあるのか?

だとしたら早く家に帰してあげたほうがいいな。


「なあ、顔が赤いぞ、きついのか? それなら早く帰った方がいいぞ。 送ってやるからさ」


「そうじゃないのじゃ!」


しかし、俯いたまま黙っている。

するとミヤビは意を決したように、俺の目を見つめる。

そんなに真剣な話なのかと俺の心は身構える。


「わ、妾とけ、結婚して欲しいのじゃ!」


…………えっ?


「ご、ごめん、今日ちょっと耳が悪いらしい、お前に結婚してくれと言われたように聞こえたんだ。 もう一回頼む」


「間違っとらんわ! 妾と結婚して欲しいのじゃ!」


いや、聞こえてたんだけど処理が追いつかなくて……


「え、えっと……理由を聞かせてくれないか?」


「おお、そうじゃったな。 まず、妾の家名を教えらところからじゃな、妾はミヤビ・グリンデ。」


「グリンデって……!」


「そうじゃ。 お察しの通り妾、隣国の姫なんじゃ」


「まじかよ……」


グリンデ王国、確かこの国、アルフェノン王国の隣の小さな国だ。

小さな国といっても、面積はアルフェノンの10分の1ほどしかない、本当に小さな国だ。


「それがなんで俺と結婚することにつながるんだ?」


「妾の国はな、ご存知の通り小さい。 さらに今、相当な財政難に陥っているのじゃ。 この学校には、学戦祭というのがある。 そこで一位になり、エキシビションマッチで先生に勝てば国褒美が貰えるのじゃ…… 。」


なるほど、それで多額の金を貰うということか。

でもそれだけじゃないよな?


「まだあるんだろ」


「……流石じゃな。そうじゃ、本当の目的は、お主の家を取り込んで他国への牽制にしたいのじゃ。 そうすれば妾の国は安泰なんじゃ 」


なるほどな……俺たちイングラム家を取り込むことで他国は攻撃しづらくなり、戦争が減ると。

まあ、ここまで真剣に国の裏まで話してくれたんだし、真剣に答えないとな……。


「ごめん、結婚はできない」


「じゃろうな、妾とてこんな理不尽な理由でお主を落とせるとは思っとらんわ」


「じゃあなんでそんなことを聞いたんだ?」


「それはな、妾は、正々堂々とお主を妾に惚れさせたくなったんじゃ」


そう言ってニコッと満面の笑みを浮かべたミヤビにドキッと心臓が高鳴ってしまった。


「え、えぇ……なんだよその宣言……」


「宣戦布告じゃ!」


…………


「「ぷっ!」」


「「あははははは!!」」


俺は笑いを堪えて言う。


「ぷっ! な、なんだろうなこのやり取り」


「ぷっ! わ、妾も分からん……あははははは!」


俺たちはしばらく笑いつづけた。

すると、ミヤビのお腹からぐぅぅぅ……という音が鳴った。


「じゃあ、うちで飯食ってくか? ここから近いし」


「うぅぅ……め、面目無いのじゃ……」


ミヤビは赤面しながらも、我が家で昼ご飯を食べることに決定した。


「ただいまー」


俺が帰ったことを玄関から言うと、リアとルン、それにリオンが笑顔で出迎えてくれた。

しかしリアはすぐに笑顔から真顔になり、背中からドス黒いオーラを出している。


「兄さん……」


「り、リアさんどうかされましたか?」


俺が恐る恐る聞くと。


「誰ですかその女は?」


「あ、ああコイツはミヤビ、道端で知り合ったんだ」


「妾はミヤビじゃ、妹さんかの? よろしくなのじゃ」


「はい、随分と仲がよさそうですね。 彼女さんですか?」


「俺が帰ってからの数秒でどうやったらその判断に至るんだよ!」


「で、ミヤビさんはどうなんですか?」


「わ、妾か? 妾はな、その……まあ、結婚したいと思っておるぞ」


「ほら! やっぱりです! 兄さん、私との関係はなんだったんですか?!」


「お前との関係は兄妹以外のなんでもないわ! 話をややこしくするな!」


「はは、愉快な兄妹じゃな」


「ああ、もういいわ! リオン、昼食を1人分追加できるか?」


「かしこまりました」


すぐにリオンは厨房へ消えていった。

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