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12 貴族

盗賊を殺した後、俺たちは何事もなく、(アメリアの酔い以外 )王都に着くことができた。

王都は高い城壁に囲まれており、大きな門で審査を受けて、城壁の中へ入るようだ。

この期間は、受験生に紛れて魔族のスパイなんかが侵入しようとすることがあり、審査が厳しくなっている。

魔族というのは、簡単に言うと人類の敵だ。

魔族は好んで人を殺し、それを食らう。

何故そんなことをするのかは不明だそうだ。

やはり、受験生もそれなりに多く、門の前には行列が出来ている。

俺たちは着くなりすぐに並ぶことにした。

すると、豪華な服装をした、肥満気味の青年がこちらに寄ってきた。

男は下品な笑みを浮かべている。

ああ、なるほど。

こいつも、俺の妹とレイン狙いか……


「なあ、俺の館に来ない「えっ? 嫌なんだけど」……えっ?」


男はレインに歩み寄り誘ったが、男の言葉に被せて即答で断った。


「なんでだよ? この紋章を見てわからないのか? 俺はあのメルスト家の次男だぞ?」


そう言って襟の裏にある紋章を見せてきた。


「ごめんなさい、わからないし、知りたくもないわ」


「ああ……てか、お前なんなんだ?」


レインの毒舌即答に加え、俺のめんどくさそうな態度に男の額に青筋が入った。


「このど田舎物が! 無礼だぞ! 俺はメルスト男爵家の次男だぞ! 来いと言われたら来い!」


「嫌よ」


「いやです、キモいです」


今度はリアまで加わり男を罵倒しだした。

というか、こいつらこんな罵倒するんだな……

怒らせないように注意しよう。

密かに俺は決意した。

男は強硬手段に出る。

レインとリアの手を掴み、無理やり引いていこうとしたのだ。

あ、こいつ、終わったな……

南無阿弥陀仏……


「私に触らないで!」


「キモいです、触るな、です!」


リアの口調がおかしくなった。

俺でもあんなキレたリアを見たことないぞ。

レインが大剣になり、男の顔ギリギリ通り地面に突き刺さる。

リアは、火を纏う。

いつのまにか人だかりが出来ており、ざわついている。


「ひやっ?! 熱い!」


男は恐怖と火傷に痛みで涙目で驚いている。

人々曰く、それは伝説の火の魔神、イフリートと酷似していると。

レインは昔とは違い、冷静だ。

しかし、リアの怒りは収まらない。

リアはさらに炎を纏う。

男は恐怖でついに失禁した。

そこで人だかりと上がる炎に気づいた審査官がこちらへ来る。


「君たち! どうしたんだこれは?!人が燃えている?!……いや、纏っているだと?!」


ちょっとヤバイな……


「おいリア! 火を消せ!」


「ハッ! すみません、兄さん以外に触られたのがいやでいやで……」


正気を取り戻したようですぐに火を消した。

そんなに男に触られるのがいやか?!

これは慣らしていくしかないな……


「なあレイン、鍵に戻らないか?」


「いやよ、カナタに肌で触れれなくなっちゃうじゃない」


「いやでもなぁ……お前、魅力五万もあるんだからな、少しは自重しろよ」


「いやと言ったらいやよ」


服従のスキルを発動させれば無理やりにでも鍵に戻せるのだが、俺はなるべくレインの気持ちを優先させているため、無理やりは選択肢になかった。


「さいですか……」


俺とレインがそんな話をしていると、審査官がこちらに歩いてきた。


「君たち、彼女の仲間だね、ちょっと取り調べさせてもらいたいんだが」


「ああ、構わない」


俺たちはそう言って男について行く。

今回は、俺たちが少しやり過ぎた感じがするしな。

そして、門の近くの小さな家に入る。


「さて、君たちはどうしてこんなことをしたのかな?」


俺たちは遠くから来たこと、行列に並んだところで男に絡まれたこと、さらに強引に連れ去ろうとしたこと、そしてレインが剣を振り下ろし、リアがキレて火傷させたこと、ここまでの経緯を話した。


「なるほど、それは相手に非があるね。 もし嘘だとしてもその場にいる人全員が承認だから嘘はついていないだろうしね」


「それで、だ。 私は剣になれる少女など聞いたことがない。 彼女はなんだ? 」


ここは誤魔化したら逆効果だろう。

俺は話すことにした。


「あまり、人に言わないでほしい」


「わかった」


男の顔は真剣で嘘をついているようには見えない。

口が硬いに越したことはないしな。


「彼女は神器だ」


「ほぇ?」


さっきまで神妙な顔をしていたのに、急に阿保面になった。


「だから、神器だと言っているんだ」


「わ、わかった仮にそれが神器だとして、それを証明できるものはあるのかな?」


やはりまだ疑っているようだ。


「いいが、これは()()に誰にも言うなよ」


念のため強調しておく。

審査員も強く頷く。


「レイン、見せてやってくれ」


「わかったわ〈オープン〉」


審査員はレインのステータスを覗き込む。

見終わった審査員の顔は唖然としていた。

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