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10 実技試験

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ユニークユーザーがついに100人超えました。

読者の皆さんのおかげです。

これからも見てやってください。

カナタ・イングラム15歳

今日は俺の旅立ちの日の1週間前であると同時に俺の実技試験の日の日でもある。

試験内容は模擬戦、相手は母さんだ。

いや、母さんこの世界で最強なんだろ?

これから学校通おうとしている息子にさせることじゃねぇ。

だろ? みんなもそう思うよな?

まあ、やるからには絶対に勝つけどな。


試合は昼からで、今は朝だ、俺はレインと一緒に最後の調整をしている。

えっ? どうやるかって?

俺の動きに合わせて浮遊したレインの大剣も動くということだ。

例えば、俺が正拳突きをしたら、レインは突きの動作をし、回し蹴りだと薙ぎ払い、かかと落としは縦に斬りつけると言った感じだ。

俺とレインは5年間殆ど離れずに修行をして、念話が可能になった。

何故かリアがよく、レインに突っかかってくるのだが、レインは軽くあしらっている。

レインも、もう立派な家族の一員だ。

俺たちは、修行の時、絶対に言葉を交わさない。

それは今日も同じ。

俺たちは何も言葉を交わさず日課の修行を終える。

そして昼食、いつもどおり家族揃って楽しく食べる。

今日はいつもより時間が早く感じる。

多分、母さんとの試合に緊張しているのだろう。

一時、母さんとの試合の時間だ。


「レイン、行くぞ!」


「ええ、絶対に倒すわよ!」


俺たちは、いつも模擬戦で使っている大きな草原に出る。

いつもは、試合の跡で凸凹しているのだが、今日のために、綺麗にしておこうということになったから、今は、転がったらそのまま寝てしまいそうな程美しいものに戻っている。


「来たわね、あなた達」


母さんはいつものおっとりとした表情とは裏腹にキリッとした、例えるならば狩人の獲物を狩る時の顔で、草原のど真ん中に仁王立ちしている。


「母さん、俺は、いや、俺たちは今日こそ母さんを倒すよ」


「私を倒すなんて100年早いわ♪」


「俺たちはモニターで見ているからな」


モニター、もちろん電化製品ではない、これはリアの5年間の地獄の修行の成果の一つである。

リアは、魔法、特に火の魔法が得意で、それだけなら、もう俺をしのいでいる。

ちなみにモニターを使って遠くから見るのは大被害が予想されるからだ、俺は見たことないのだが、父さん曰く、殲滅魔法には、超大規模攻撃もあるそうなのだ。


「レイン、剣になる場合の刃は抜いてくれ」


「分かってるわよ」


「じゃあ3人とも、準備はいいか?」


どこからともなく父さんの声が響く。


「ああ、いいぞ」


「大丈夫よ」


「ふふっ♪ じゃあ、やりましょうか」


「よし、そんじゃ……試合、開始!」


開始の合図と同時に俺は前に飛び出す。

母さんとの試合は間合いを詰めることが大切だからだ。


「レイン、〈(キャノン)〉」


瞬間、人の形態だったレインに青白い光と帯が包み込み、2門の浮遊する白と青の大砲と化す。

母さんは余裕のある顔だ。

一気に間合いを詰める。


「〈イグニッション〉」


母さんが、火の初級魔法を4発こちらに打つ。


「レイン!」


「了解よ!」


レインは、すかさず魔力弾で4発を撃ち落とす。

俺はその隙をついて、母さんの懐へ潜り込む。

しかし、母さんの余裕は消えない。


「カナタ!」


突然レインが叫ぶ。

すぐに俺の背中に斬撃の様な衝撃が走る。

チッ! 母さん、さりげなく風の初級魔法、〈ソニック〉を撃ちやがったな!

久しぶりに母さんのいやらしい攻撃を見たぞ!


「うぐっ!」


母さんの魔法は初級魔法でも中級魔法以上の威力がある。

俺は、体勢を崩し盛大に前に転ぶ。

母さんが、俺に右手の手のひらを向けている。

ヤバイ!

やられる!


「カナターーー!」


レインがこちらに飛んでくる。

クルッと回ると、一瞬で大剣になる。

母さんめがけて突きの要領で突っ込む。

しかし、母さんはそれを読んでいた様で身体をそらして避ける。

俺は、その隙を逃さず立ち上がり魔力を集める。

そして、母さんに右手の手のひらを向ける。


「〈スカーレッドクロス〉」


母さんの足元に真紅の炎がクロスする。

母さんの顔から余裕が消え、一瞬で身体強化をかけ斜めに飛ぶ。


「レイン!」


「これで、終わりよ!」


レインが上空に登り母さん斬ろうとしている。

レインが刃を振り下ろし、母さんに当たる寸前……


「まだまだね」


母さんの顔に笑みが戻る。

瞬間、背筋に悪寒が走る。

ヤバイ! 本能がそう訴えてくる。


「レイン! 逃げろ!」


「えっ? 分かったわ!」


レインはすぐに理解して、その場を離れる。

母さんは黒いオーラの様なものを纏っている。

母さんの目から光が消えているように見える。


「ふふっ♪ 終わりよ♪ 殲滅の! 「待ったーーーー!」」


突然、父さんの声が聞こえたと思うと 母さんはハッと我を取り戻し空から降りてくる。


「ライラ、それはやり過ぎだ」


「ごめんなさい、昔を思い出しちゃって……」


「はあ、はあ……け、結果は?」


「もちろん、私をここまで追い詰めたんだから合格よ」


「やったなレイン!」


レインがいつの間にか大剣から人に戻り、ニコニコしている。


「ええ、カナタ♪」


でも、母さんには勝てなかった……

どうも素直に喜べない。


「カナタ、一位の私をここまで追い詰めたんだから誇っていいのよ」


「ああ、でも……」


今度は母さんが声を荒げて言う。


「カナタ! 悔しいなら学校で修行を積んできなさい! あなたがクヨクヨしてたらレインちゃんまで素直に喜べないじゃない!」


確かに、


「そうだな、ありがとう母さん! ごめんな、レイン。 俺、強くなるよ 」


「違うわよカナタ、私とあなた、2人で最強になるのよ!」


「ああ!」


こうして俺たちは、ここでの最後の戦いを終えたのだった。

強くなろう。

そして帰った時、母さんを倒して、最強になる。

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