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ある夏の彼の覚醒と遺された道標  作者: 富士江 三蔵
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第4話

「あ、怖い系の番組やってる!」


テレビのチャンネルをザッピンクしていたミカが歓喜に近い声を上げる。


「お、面白そうだな。」


「これぞ夏の醍醐味って感じだね!」


シンゴとリョウヘイはそれに食いつきチャンネルは決定された。


『うわ・・マジかよ・・』


UFOなどなら興味はあるが、心霊現象などと呼ばれる怪奇なものはケイタの苦手な部類に入る。

彼は視聴することを避けるべく二階の自室に独りこもろうかとも思ったが、それを告げればシンゴは“部屋の本棚が勝手に開いてそこから・・”みたいな話でびびらそうとするだろうし、さらには皆で“ドッキリ”を仕掛けてくるかもしれない。そう思うとここを動かずテレビを見ないのが最善だと思え、結局彼はテレビから遠いソファーに仰向けで寝転び、スマホでパズルゲームを始めた。


「マジ!? これ!? こえ~!」


「あ~、これは作ってるんじゃねぇ?」


「怖いって!ほら!あの後ろの!!」


やっつけ仕事のようににゲームをこなすケイタの耳に盛り上がる三人の声がひっきりなしに入ってくる。

しかし途中から見始めたために一時間ほどで番組は終わり、それも潮が引くように収まった。


『やれやれ終わったか・・』


そう思って安堵するケイタの耳に今度は番組の感想を言い合う声が入ってきた。


「・・の!? ケイタ!」


煩わしい番組が終わり、

集中力の上がったケイタはいつの間にか完全にゲームに没頭していた。


「え、なに?」


「だから、この辺って心霊スポットってないの?」


「ないよ。」


本当は都市伝説くらいのものはあるにはある。しかしそんなところに行きたくはないし、酒の入っていない自分が運転して連れて行くのは面倒だった。


「怪談はどう?」


「お、そうか!そうするか!ほら、ケイタ。早く早く!」


シンゴがソファーまで来てケイタの腕を引く。本当は断りたいがあれも嫌、これも嫌ではまた気まずい雰囲気を作りかねない。


『外に出て行くよりはいいか・・』


そう思いながらも乗り気でないケイタの足取りは重かった。


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