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1章 4月始まりの季節

4月、少し大きめの学ランに腕を通しながら佑介は考えていた、今年入学することになった、三矢高校は、家から近いという理由だけで選んだ、校則も特にうるさくなく、3年間を過ごすには快適な場所ではある。ただひとつを除いては。

「はあ、部活か……。」

そう、この三矢高校は必ず何かの部活に所属しなくてはならないという校則がある、それは、3年間という短い期間にきちんとした青春をおくれるようにと、創設した理事長が決めたものらしい。

「小学校、中学校と帰宅部で過ごしてた、人間には、キツイ校則だな……。」

入部届の提出期限が明日までということに憂鬱になりながらも身支度をし始める。

「佑介、あんたまだ寝てるの?遅刻するわよ。」

下から母親に言われて時計を見ると7時50分、

「やべ、急がないと、行ってきます!」

「ちょっと、待ちなさい朝ごはん、トーストだけでも食べて行きなさい」

登校中にトーストなんてラブコメヒロインじゃないんだから、だが何も食べないで学校に行くのも昼まできついし、しぶしぶトーストだけくわえて家を出た。


通学路を歩いて気づいたがうちの生徒はカップルが多いと思う。生まれて一度も彼女なんてできたことない人間からしたらカップルに囲まれて登校など生き地獄のようなものだ。

「右見てもカップル、左見てもカップル、前見てもカップルかよ、リア充なんて爆発してしまえ」

「今この場の交際している男女の互いが爆発すれば君だって無事では済まないと思うがね。」

「えっ?」

突然の後ろからの声に思わず驚いて態勢を崩してしまった。というか独り言聞かれてるとか恥ずかしすぎる。

「すまない、少年が物騒な言葉を呟いているのが聞こえたのでつい、反応してしまった。」


手を差し伸ばした、その女性は自分と同じ高校の制服を着ていた。

「ありがとうございます。」

差し出された手につかまり態勢を整えた。

「いや、こちらが急に後ろから声をかけたのが悪い。そんなに驚くとは思わなくて。」

いや、そりゃカップルに嫉妬して聞こえないように言った一言を聞かれてさらには正論返されたらびっくりするだろ。

「いえ、自分こそ恥ずかしいところをお見せしてなんか、すみません」

「ところで、少年君は周りのカップル達に嫉妬してあのような発言をしたのか。」

「いや、えと、まあ、そんなところです。」

「ならば君も誰かと交際すればいいではないか?」

「へっ?」

いやいや、何言ってんのこのひと?そんなの当たり前だろうけどこっちはそんな当たり前ができないから嫉妬から典型的な皮肉を言ってるのに。腹減ってるんだったらご飯食べたら?みたいに軽く言われても。

「いや、まあそうなんですけどね、人と人とが付き合うってそんなに簡単じゃないですよ。」





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