表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二病幽霊が、異世界でおこす嵐、その物語です  作者: 原初
冒険者と第一ゲーム
63/80

ティフォンとスルト

途中から三人称視点。この後はほとんどが三人称視点かなぁ?

 巨神との戦闘中、ティフォンが呼び出した魔物の群れからいきなり飛び出してきた月夜叉が、不機嫌そうな顔で僕の前に立っている。ちなみに、巨神はまだ目覚めきっていないのか、魔物を召喚してからは、あまり動こうとしていない。


「で、月夜叉はどうしてここに来たのさ」

「だからっ!王が来いといったのではないか!こちらに来て手伝えと!」

「あー、そうだったっけ?ナルア、覚えてる?」

「えーっと、確かにそんなことを言ってたような気もするけど……」

「確実に言っていたぞ……。まぁいい、王よ、小生は何をすればいいのだ?言っておくが、あれに勝て、というのはかなり厳しいのだが……」

「まぁ、そんなひどいことは言わないよ。月夜叉には……そうだね、この大量の魔物を、街の冒険者たちと一緒に討伐してもらおうかな。ちゃんと協力するんだよ?」

「ああ、了解した……って、また戻らなくてはいけないのか…。まったく、王は小生の使いが荒いぞ」

「はは、まぁ、勘弁してよ。僕は魔物の相手はしてられないと思うからさ。それに、月夜叉だって町を守るのは嫌じゃないでしょ?君の故郷は集落とは比べ物にならないと思うけど、あの町だって、君の守りたいものに入ってるんじゃないかな?」


 月夜叉は、オルドに来てすぐ位は、人間しかいない環境に戸惑っていた。しかし、それはあの町で過ごしていくうちに、すぐになくなっていっていたのは、見ていればわかる。宿屋のガイさん、ギルドの職員や屋台で商売をしている人たち、それに、冒険者も。誰もが新顔の月夜叉を暖かに、そして優しく向かい入れてくれた。主としても、それはとてもありがたいことだった。月夜叉からすべてを奪ってしまった身からすると、やっぱりこいつが少しでも良い方向へ行けることを願ってしまうのだ。なんだろうね、老婆心?違うか。


「それは……ああ、そうだな。その通りだ」

「そう、ならよかった。じゃあ、主としての命令だよ、月夜叉。何が何でも、オルドの町を守り抜いて見せろ!」

「御意!」


 力強くうなずき返す月夜叉。そのまま踵を返すと、魔物の群れを飛び越え、蹴散らし、吹き飛ばしながら、オルドへと向かっていく。うん、これで町への被害はほとんどなくなるんじゃないかな?あとは、僕が巨神をここで仕留めてしまえばいいだけ。


「ネクロ、今の、かっこよかったよ」

「そう?ありがと、ナルア」


 さぁて、ナルアからとっても嬉しいお言葉をもらえたことですし、頑張らせていただきますか!



=============================================



 星が飛び散る夜空。その中を、ネクロは高速で飛翔する。ネクロの背中には、ナルアがしがみついている。普通に考えれば落ちてしまいそうなのだが、そこはネクロの魔法で解決済みだ。


 そんなネクロの視線の先には、二柱の巨神、下半身が蛇のティフォンと漆黒の体を持ち、巨剣を装備したスルトがいた。二柱は目覚めの反動から立ち直っていないのか、激しい動きを見せない。ネクロは巨神の眼前で滞空すると、二柱に向けて大声を上げた。


「やぁ、初めましてかな、巨神ども。お目覚めのところ悪いけど、さっさと永遠の眠りについてくれないかな?」


 ネクロの痛烈な言葉に、巨神はわずかに反応を見せる。そして、先に口を開いたのは、スルトのほうだった。


『貴様……、龍か。我が宿敵、神龍の劣等種が。巨神が一柱たるヘカトンケイルを下した程度で、調子に乗ったか』


 まるで雷のような声が、大気を震わせる。しかし、ネクロはニコニコとした表情を崩さない。ただ巨神を見ているだけだ。それが気に障ったのか、黙っていたティフォンが、いらだたし気な声を上げる。


『ふんッ、蛇モドキが、ワシらの言葉を無視するとはいい度胸じゃな。それに、その背中に背負っているものはなんじゃ?ふむ……なんじゃ、ただの人間か。そのようなゴミを戦場に連れてくるとは、いったい何のつもりじゃ』

「あ?」


 ネクロからドスのきいた声が漏れる。笑顔なのは変わらないが、なぜか妙な迫力を持ち始めている。それに気づかずに、ティフォンはネクロとナルアを嘲る言葉を並べていく。ナルアが馬鹿にされるたびに、ネクロの雰囲気が怖くなっていく。


『ティフォン、その辺にしておけ。戦場で余計なことをべらべらとしゃべるのは、お前の悪い癖だ』

『かかっ、ワシはただ、この阿呆な蛇モドキと人間の雌に、己の無様さを教えてやっていただけじゃがのう』


 愉快愉快とでも言うように笑い声をあげるティフォン。しかし、その笑いは長くは続かなかった。


『かかっ、かかかかかかっ、かぁかっかっかっかっかぶほぉ!?』


 高笑いをしていたティフォンの顔面に、魔力弾が叩き込まれる。ダメージはゼロに等しいが、ティフォンの笑いを止めることには成功している。


 ネクロはもうすでに目が笑っていない笑顔を張り付かせたまま、ティフォンに向かって底冷えするような声でこう告げた。




 ―――――――さて、処刑の始まりだ。


 

こんかいのテストの結果が返ってきましたー。なんと、英語が1です。五段階評価の1。はははは、洒落になんねぇぞ、おい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ