実は龍って
話が進まなすぎ。三章おわんないよー。これ実は六章か七章まであんのよ?
「あーっと、ちょっとまとめさせてくれるか?いろいろと情報が多すぎて、正直混乱してる……」
「私もです……というか、ネクロさんが龍族だったという時点ですでにいっぱいいっぱいというか……」
頭を押さえながらそう訴えるギルドマスターとメリアさん。そんなに難しい話はしてないんだけどな。
僕が特異進化を重ねた魔物であること、リンネとノルンとは『冥界回廊』で出会い、一緒にダンジョンを攻略したこと、そして、月夜叉が鬼人の魔王であり僕の従者であること。話したのはそのくらいである。ナルアや聖神アイリスのことは話していない。というか、これは確たる証拠を用意できない話なので、伝えることは見送った。証拠もなしに信じられる話ではないだろうからね。
「おっさん、理解力がない。ネクロはすごい、これを覚えておけばいい」
「おいおい、そんな適当でいいのかよ……」
「まぁ、最初のころはネクロの規格外さに驚いていたけど……最近は慣れてきたかしら?ノルンのいう通り、ネクロはすごいんだって思うほうがいろいろ考えなくていいから楽だし」
「いいのかよっ!?」
「王の実力をこの身で知らされた小生が言おう。王の力は理解するだけ無駄だと」
好きかって言ってくれるなおい。いくら精神ステがカンストしてるからって、傷つかないわけじゃないからね?
まぁ、話すことは話したし、もう[龍化]といても大丈夫だよな。ほい、解除っと。人間の姿に戻って体をほぐすように回す。うん、肩こり程度で済んでるか。今回は変身時間も短かったからなぁ。
どうして今回、ギルドマスターに自分のことを伝えようと思ったのか。それは、あの山でから感じた強力な魔力、そして、アンノウンという鑑定の結果。
すでに第一ゲームの準備が完了したということだろう。何が来るかはわからないが、生半可なものあの聖神が取り扱ってるはずがない。たぶんヤバくて死ねる系が来るはず。
だから、ギルドマスターにはそうなったときに町のことを頼みたい。聖神のゲームに付き合う必要のない人たちだけど、聖神のゲームは世界を滅ぼしてしまうといっていた。要するに、このオルドの町は、ゲームに巻き込まれる可能性大なのだ。
「さて、まぁ僕の事情説明はこのくらいにしておくとして、なんでこうして僕の正体をばらすような真似をしたのかということを説明させてもらうよ」
「あ、ああ。また情報が増えるのか……処理しきれねぇ」
「がんばってください、ギルドマスター。私も正直手一杯ですから」
「うん、頑張って?組織のトップ2でしょあんたたち」
これでいいのか冒険者ギル尾と思わなくもないが。まあ、いきなり「僕、龍なんですよ」とかいうやつが現れたらこんな反応にもなるか。
「で、話って言うのは。近々起きるであろう出来事のこと。ねぇギルドマスター、あの三つ並んだ山あるでしょ?」
「あ、ああ、三つ子山のことか?」
「うん、あれ、やばい」
「…………は?」
「かなり、やばい」
「片言で言うのをやめんか……、要するに、具体的なことはわかっていないが、何か問題があるってことだな?」
「うん、リンネの攻撃魔法と同程度の魔力が、威嚇で放たれたって言えばやばさがわかる?」
「……それは、本当ですか?」
「本当本当。たぶん、あの山、何かが封印されてるとかそういうやつだよ。で、それが目覚めそうになってる」
「やばいよ、あれは」
うん、にっこりと笑ってそう言ったら、ギルドマスターとメリアさんは顔を引きつらせている。だって、本当にやばいんだもん、あれ。
たぶん、全力で……。ここら一帯を更地にする勢いで戦えば、何とかなるかもしれない。でもその場合、この町は確実に消滅する。みんな、死ぬ。あれはそういう領域にいる化物だ。
それでも、聖神ほどではない。あの規格外の存在を知っているからこそ、僕はあれを見ても絶望せずにいられている。
いやはや、僕の魔法を受けても無傷って……。魔力しか込めてないとはいえ、あれだって環境とか何も考えずにぶっ放した一撃なんだよ?それを食らって無傷はないわー。自信亡くすわー。
「まぁ、そんなやばいやつがいるってことを伝えたかっただけだよ。龍ってばらした方が信憑性あるし。あ、月夜叉もそういうときのための戦力。僕だって、何かが起きれば全力で対応するよ。まだこの町に来てから日は浅いけど、いいところだと思ってるからさ」
「いや、龍であるお前さんにそういってもらえるのはうれしいんだが…」
「ええ、ちょっと恐れ多いですけど…」
「まって、龍ってどういう扱いなの?僕ちょっと特殊な経緯で龍になったからそこんとこよくわかんないんだけど?」
僕がそう言うと、その場にいた全員がきょとんとした顔をした。え、なんですか…?
「そういえば……四強であること以外、何も教えてなかったかしら…?」
「ネクロ、龍は……えっと…すごい?」
「おう、剣王の嬢ちゃん。それで間違っちゃいないが、ちょっと足りねえな」
「ネクロさん、龍とは神龍様の眷属。つまり、信仰対象のようなものなのです」
「王よ、龍とは四強の中でも人族に友好的な存在として特別視されている。人間には好かれるが、魔物には忌み嫌われているな。とくに、巨人族は龍を嫌うとよく言われている」
「ええー……マジで?」
「「「「「マジで」」」」」
りゅ、龍ってそんなんだったの!?すみません、なんか適当に存在ぶっとっちゃって!
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