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中二病幽霊が、異世界でおこす嵐、その物語です  作者: 原初
冒険者と第一ゲーム
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久しぶりの再開と[中二病]

久しぶりに登場したこの二人、でもあんまり絡みは書けなかったにゃあ。

「ふぅ~……助かったわ、ネクロ」

「ネクロ、ありがとう」

「うん、無事でよかった……けど、なんで空を飛んできたの?しかも風の砲撃魔法で自分を飛ばすなんて危ない方法で……」


 ぶっ飛んだ登場の仕方をした二人を何とか受け止めたあと、ほっとした顔でため息を吐くリンネとなぜか少し残念そうなノルンになぜこんなことをしたのかと少し強めの口調で問い詰めてみる。あれ、下手したら岩盤でぺちゃんこだったからね?二人とも耐久のステータスそんなに高くないんだから。


「う……そ、それは、ネクロが依頼でこっちのほうに行ったってギルドで聞いて、驚かそうと思って私たちもこっちに来たんだけど……」

「いきなりすごい量のネクロの魔力を感じて、急いできたの」

「急いでくるって言っても、もっと方法はいっぱいあったでしょ?リンネがノルンに強化魔法をかけて、ノルンがリンネを抱えてくるとか……。とにかく、あんまり心配させないでよ。わかった?」

「「はーい」」


 まったく……まぁ、心配してくれたのはうれしいけど。でも、二人が感じたすごい魔力って、試し打ちで使った[絶滅之息グラウンド・ゼロ]のことじゃないかな?月夜叉との戦闘では、そんなに大規模な魔法は使ってないし。


「お説教はこのくらいにして。久しぶりだね、二人とも」

「ええ、久しぶりね、ネクロ」

「うん、久しぶり」


 笑顔でそう再開の挨拶をしてくれる二人。その笑顔を見ていると、二人が帰ってきたことを強く意識できる。


「あの……王よ、その二人はいったい誰なのだ?人間にしてはかなりの実力者に思えるが」

「あっと、月夜叉。紹介しなきゃだね。リンネとノルン。僕の大切な仲間で、友達だよ」

「月夜叉?……って、鬼人族!?」

「……もしかして、魔王?」


 月夜叉に気づいた二人が、警戒を最大限まで高める。それを受けた月夜叉も刀型の神遺物アーティファクトを構え……なんで臨戦態勢に入るかな…。


「こら、やめなさい」

「「「あだっ!?」」」


 三人に弱めのショックインパクト。額に強めのデコピンを食らった程度の強さにしてある。頭をのけぞらせて倒れる三人。喧嘩両成敗だ。


「リンネ、ノルン。こいつは月夜叉。見ての通り鬼人の魔王で、さっき僕の従者になったんだ。だから、心配いらないよ。月夜叉も、すぐにそうやって殺気を向けない。わかったね?」


 三人は互いに顔を見合わせながら、こくりとうなずいた。


「はぁ、さすがというかなんというか…。まさか魔王を仲間にしてるなんて」

「さすがネクロ。やっぱりすごい」


 そういって、リンネは呆れたような、ノルンはキラキラした瞳をこちらに向けてくる。まぁ、魔王に出会ったのも、それを倒したのも、仲間にしたのもただの偶然。月夜叉が「人間なんぞ下等生物にすぎん!今すぐ滅ぼしてくれるわー!」みたいな魔王だったら、最初の方でぴちゅんしてるし。月夜叉が何かを守るといういしを持っていたからこそ、仲間にしてもいいって思えたんだから。


 あ、そうだ、ちょうどリンネもいるし、月夜叉にお祝いでも上げるか。


「リンネ、ちょっとクルイシュラ出してくれる?月夜叉は、その神遺物アーティファクトをちょっと貸してくれるかな?」

「クルイシュラを?いいけど…」

「小生の刀で何をするのだ?」

「まぁまぁ、見てのお楽しみってことで」


 リンネと月夜叉からそれぞれ刀を受け取り、両手にそれを持つ。クルイシュラに異常はないし、月夜叉の神遺物アーティファクトもなかなか等級の高そうなものである。しかもこれ、龍の素材で作られたものだ。ノルンの大剣と同じだね。


 これから行うのは、[中二病]による名付け。クルイシュラは、二刀流使いの月夜叉に上げようと思う。どうにも僕には、剣術という繊細なものは向いていないらしい。


 さて、じゃあこの刀にはどんな名前をつけるかな……………。


 ぽくぽくぽくぽく、ちーん。うん、これにしよう。それにしてもどこかで聞いたことのあるこの音はいったい………。気にしないでおこう。


「この刀の名は………【夜月守童 ジュウニシンショウ】」


 僕がそう口にした瞬間、手の中の刀が強く発光した。神遺物アーティファクトが作り替えられていく。もともとある力は昇華され、新たな力が芽生える。その光景は美しく、リンネたちも見入っていた。


「綺麗……」

「うん……すごい…」

「これが、王の力……」


 やがて光は収まり、見た目はほとんど変わっていない刀が残った。しかし、そこに込められている力は、先ほどとの比ではない。


 それにしても、強化率がいつもより高いな……。これは、今まで『守る』ことを心情にしてきた月夜叉の刀だったからかな?ジュウニシンショウ、十二神将、たしか仏教の守護神的な存在だったと思うけど……。


 ジュウニシンショウの新たな力がどんなものなのかを読み取る。[中二病]で強化したものは、鑑定も分析も通用しなくなってしまうから、こうして僕が力の確認をしなくてはいけなくなる。


 ……うん、月夜叉にピッタリな効果だ。これで、クルイシュラも合わせたら、月夜叉の戦力が五割くらい上がるんじゃないかな?


「ほら、月夜叉、できたよ。忠誠を誓ってくれた君に、主人からの餞別だ。【兇鬼繚乱 クルイシュラ】と【夜月守童 ジュウニシンショウ】。月夜叉の新しい武器だ」

「これを……小生に?こんな伝説のような武具をくれるというのか、王は?」

「うん、それを使って、これからも精進したまえ」


 おどけた感じでそういうと、月夜叉はまた膝を折り、頭を垂れた。


「ありがたき……幸せ……っ!」


 そういって、恭しく二本の刀を受け取り、腰に帯びる月夜叉。


 その姿はまさしく、守護する者の姿だった。




 

月夜叉は当初ショタの予定だったのですが……。書いてて不自然だったので、普通の成人男性にしました。



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