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中二病幽霊が、異世界でおこす嵐、その物語です  作者: 原初
冒険者と第一ゲーム
39/80

きな臭い初依頼 2

途中から三人称視点。

「さてと、とっとここの依頼をかたずけちゃいますか」


 冒険者ギルドにて、依頼の受注をしてもらった後、僕は町の東門に来ていた。今回の依頼、「オーがジェネラルの討伐」は、東門を出て、二、三時間歩いたところにある山のふもとが目的地だ。そこに前々からオーがジェネラルが目撃されていたらしい。そして、今までも何回か、そのオーがジェネラルを討伐しようと冒険者を送り込んでみたところ、見事に全滅。それ以来、、この依頼は何か不吉なものがあるとして、長年放置されていたらしい。


 なんとなく怪しい感じがしないこともないが……。依頼は依頼だ。それに、オーガジェネラルのランクは6。進化していたとしても7か8。それに負けることなんて、万一にもないだろう。油断するわけではないが、気負いすぎるのもよくない。


 ……なんか今の、フラグっぽくないか?だ、大丈夫だよね、ほんとに……。い、いざとなったら縛りプレイやめて全力で戦うことにしよっと。


 頭に浮上してきた暗い考えを振りほどき、あたりの景色に目を向ける。天気は、雲一つないほどの晴天。風は草を少し揺らす程度に吹いており、歩いて少し火照った肌に心地いい。広がる草原と、遠くに見える、三つ並んだや……ま……?


 ズンッ!


 目的地であろうふもとがある山に視線を向けた途端、体の目の前で、強大な魔力がはじけ飛んだ。それは、『冥界回廊』で戦った魔王や勇者の攻撃よりも、はるかに強力な、魔力波動。そして、その魔力に込められた目的を察知したとき、僕は、さらなる衝撃に襲われた。


「い、今のが威嚇……?とんでもないな……」


 僕はうすら寒いものを感じながら、魔力が飛んできた方、あの三つ並んだ山に向かって、鑑定を発動する。鑑定は、そのものの種族や物質名などを調べることができる魔法である。


 そして、映し出された鑑定結果。そこに書かれた「アンノウン」という言葉。それは、ナルアに鑑定を使ったときと同じ結果だった。


 つまり、あの山は、ただの山なんかじゃない。神に関係する何かだということ。


 そして、それが僕に向かって敵意を向けてきたということは……。


「偶然って言うのは、現実逃避しすぎかな……。要するに、準備が整ったってことなのか?聖神アイリス」


 虚空に向かって、そう言ってみる。だが、返事が返ってくることはなかった。


 その沈黙こそが、聖神アイリスの肯定の返事のように感じた。冒険者になり、ナルアと一緒に過ごして浮ついていた気持ちを引き締める。



 ……そろそろ、第一ゲームが、動き出す。そう確信した。



===================================



 オルドの町の東門から数時間かけて歩くと到着する場所、町の住人からは三つ子山と呼ばれている場所のふもとに、切り立った崖に囲まれた岩場には、オーガの集落があった。


 オーガはランク5の鬼種の魔物である。平均3メートルという巨躯に、一振りで岩すら砕く剛腕。そして厄介なのは、知能がそこそこ高く、戦闘スキルをもつ個体がいることもある。


 オーガは基本的に群れを作らず、単独で行動する魔物である。だが、上位種であるオーガリーダー、オーガジェネラル、オーガキングなどが表れると、統率のとれた軍隊のような強さを誇るようになる。


 さらに、オーガがコロニーを作り出すと、その中でオーガの亜種であるオーガファイターやオーガマジシャンなどが表れることがあり、討伐がさらに困難になることになる。


 だが、オーガの真に恐ろしいところは、特異進化をしたオーガがなるという鬼人種だ。鬼人種の最低ランクは7。鬼人になったオーガは、知能が人間とほぼ同じになり、剣術を極めたり、魔法や妖術を使ってくる個体もいる。


 そして、過去に現れた鬼人種の魔王は、六本の腕にそれぞれ高レベルの神遺物アーティファクトを装備し、龍や精霊すら殺したという。


 その魔王は『六腕蹂躙の魔鬼帝』と呼ばれ、伝説に残るほどだ。


 オーガの集落がここにあるということは、ここにもオーガの上位種がいるということだ。集落は岩場に空いた洞窟を利用して作られており、外に出ているオーガだけでも、数十体はいる。全体の数なら、百をたやすく超えるだろう。


 オーガたちは誰もがしっかりとした装備に身を包んでいる。革鎧やフルプレートアーマー、大剣や片手直剣など、それだけですでに、この集落の異常さが理解できる。オーガは基本的にその身一つで戦う種族だ。中には木を削りだした棍棒を持つ個体がいることもあるが、この集落のオーガのように金属性の装備を持つということがすでにありえないのだ。それどころか、何体かは魔法武器マジックウェポンを装備しているオーガもいる。


 それはすでに一つの軍の領域に達しているかもしれない。これは一冒険者ごときではどうしようもない戦力だ。この依頼を受けた冒険者たちは、この異常な光景に驚いている間に殺されてしまったのだろう。


 その集落の奥。数ある洞窟の中でも一番深いそこの最奥に、それはいた。


 腰までもある蒼銀の髪、着流しに似た服装。傍らに置かれた、二本の刀。そして、その額からは、鋭い角が三本、天を突くように生えている。


 その体躯は人間とほぼ変わらない。だが、その身にまとう覇者の気概は、見たものををすべてひざまずかせるような圧倒的な雰囲気を放っている。


 静かに、薄暗い空間で瞑想していたそれは、集落に近づいてくる強大な存在を感じ取っていた。


 それの双眼がゆっくりと開かれる。まるで満月のように輝く、白銀の瞳は、確かにその侵略者をとらえていた。


「………龍、か」


 そうつぶやいたそれ――鬼人種の魔王は、二本の刀を握りしめ、静かに立ち上がった。

どうしよう、書く手が止まり始めた………くっ、これもSAOの新作が面白すぎるのがいけないんだ!

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