魔王様になりましょう
よろしくです
「魔王……?魔王ってあれか?世界を滅亡に導いたり、勇者相手に世界の半分をくれえてやろうとかいうあの魔王?」
「そんな魔王がいるの?ネクロの前世の世界って変わってるんだね。そうじゃなくて、魔王っていうのは、特異進化でランク10まで上り詰めた魔物のことを言うんだよ。特異進化した個体は、そのランクより二つ上のランクの魔物と同等の力を持つの。特異進化を二回すれば、ランクプラス4、三回すればプラス6って具合にね」
へぇ、それはすごい。ということは、今の僕はランク6の魔物と同じくらいの強さってことか。次の進化でも特異進化すれば、さらに強くなる……と。
「ということは、聖神は、ランク10より上ってことなのか?」
「うん、聖神のランクは、15ってところかな……」
「最低でもあと二回、特異進化しないといけないんだよなぁ……。特異進化って、何か条件とかあるのか?」
「えっと、特異進化は、種族の特性から外れた存在に起こるものなの。だから、ネクロなら普通にレベル上げをしてても特異進化は起こると思うよ。うーん、アンデット族の魔物でレベル上げをするとか、聖属性の魔法を使うとかすれば、確実だと思う」
「確かにそれはアンデットっぽくないな……よし、じゃあそんな感じで頑張ってみる」
「うん」
そのあとは、ナルアと、他愛のない話をした。前世のことが話の中心だった。ナルアは、僕の話を聞くたびに、目をキラキラさせていた。どんなことでも、まるで、初めて空を飛んだ小鳥のように。
……………………想像してみた。何もない空間でひとり、気が遠くなるような時間を過ごすということを。
永遠の孤独。心が押しつぶされてしまいそうになるだろう。僕だったら、こんな状況になった相手を、どう苦しめるかを考え続けるだろう。憎んで憎んで、恨んで恨んで、呪って呪う。精神ステがどうこうというレベルじゃない。
それなのに、ナルアはこうして笑っている。憎しみに支配されることもなく、自分を悪と断ずる下界の心配をしている。聖神を滅ぼす、そう口にした時だって、どこかためらっている感じがした。きっと、双子の姉妹である聖神を滅ぼすのが、嫌だったんだろう。嫌だけど、そうしないと世界がダメになってしまうから。………苦渋の決断だったんだろう。僕に頼むことさえ、申し訳なさそういしていたし。
「………ナルア、もし、聖神を無事に殺すことができたら、そのときは、ナルアの望みをなんでも叶えてあげるよ。もちろん、僕のできる範囲で、だけど」
「わたしの、望み?うーん、そうだなぁ……………って、なんでネクロが叶える側なの?普通逆な気がするんだけど……」
「まあまあ、気にするな。僕がそうしたいって思っただけだからさ」
「うーん」
なんか、納得いっていない感じだったけど、ナルアは真剣に考え始めた。うーん、うーんと考え、考え考え………………急に顔を真っ赤にした。
「ど、どうしたんだ、ナルア?」
「ふぇ!………え、えっとね、その……………わたしの……望みなんだけど……」
もじもじしながら、ナルアは上目遣いでこちらをちらちら見てくる。理性にひびが入りそうな攻撃だった。
「わ、わたし……ネクロの、お嫁さんになりたい」
……………………………………………………………………………………………………ファ!?
恥ずかしそうな上目使いの中に不安の色が追加されうるんだ瞳がナルアの色香を爆発的に上げているのにくわえてゴスロリの襟元からのぞく白い肌とかちらりとみえる太ももとかにとんでもなく劣情が湧き上がってくるんだけどこれもう完全に変態だねそうだね落ち着け落ち着け。
「ど、どうしたのネクロ!?いきなり自分の顔を自分で殴るなんて!」
「大丈夫大丈夫。ちょっとした戒めみたいなものだから、うん」
よっし、もちつきました………おっと、落ち着きました。では、ナルアさんのさっきの発言を思い出してみましょう。
『わ、わたし……ネクロの、お嫁さんになりたい』
……おっふぅ。やべぇっす。これは破壊力抜群すぎて笑えねぇっすわ。しかもこれは茶化していいようなお願いじゃない……。
ここは、大人の対応で。華麗に決めてやるぜ。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いしまひゅ……」
ダメでした。
<ネクロは称号[邪神の伴侶(仮)]を手に入れた]
感想とか評価とかくれるとうれしいな




