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三話 償いの行動

その日、私は自分の教室でクラスメイトとお弁当を食べていました。

すると大急ぎで教室に入ってくる、食堂で食事をしていた筈の男子がゼエゼエと苦しそうに息継ぎをしていた。

「お、おい。どうしたんだよお前……」

男子生徒の様子に心配した友人が声をかけた。

「どうしたもこうしたもあるか!! し、獅子若先輩が、獅子若先輩が五階から飛び降りたんだよ!!!!」


驚愕の言葉に教室中の生徒達がざわめき始めた。ウチの学校は屋上がないから五階が最上階なのだ。そこから飛び降りるなんて……

「な、何でだよ!! 何で先輩が……」

私と同じ図書委員の子が男子生徒に詰め寄る。

「あの屑会長が急に婚約破棄をしやがったんだよ!! 先輩と婚約破棄して、あの腐れビッチと結婚するって!!」

「何ですって!?」


先輩は会長の事を愛してはいなかった。責任感が強い先輩は自分を愛してくれた義理の両親や御世話になった会長の両親に恩義があった。だから会長の婚約破棄を聞いて発作的に飛び降りてしまった。












そこからの記憶はなかった。

気がついたら自宅で布団にくるまっていた。

両親は私が幼い頃事故で亡くなり、年の離れた姉と一緒に暮らしている。その姉は私に気を使って何も言ってこない。そうしてくれて助かる。今は誰にも会いたくない。


急に外が騒がしくなった。姉が誰かと会話している。

段々と声が大きくなっていく。いや、私の部屋に・・・・・近づいて来てる・・・・・・・

ガチャガチャと部屋を開けようとしているが、鍵を掛けているので開かない。


するとドアが吹き飛んだ・・・・・・・・


本当に漫画みたいにドアが吹き飛んでしまった。私はその様子を唖然としながら眺め、吹き飛ばしたのは誰かと冷静に入口を見た。

入口には一人の男が立っていた。


目元にある大きな傷がある姿とか、派手なスーツとか、がっしりとした体型から見てどう考えても堅気ではない事が分かる。思わず被っていた布団を強く握る。

そんな時にお姉ちゃんが布団事私を抱きしめてきた。

「親分さん! 妹は、百合は何も関係ないんです!! この子は優しい子なんです!」

親分? お姉ちゃんの知り合いなの? お姉ちゃんは水商売をしていたのは知ってたけど、何かしたの?


美里みり落ち着け。組長は別にお前の妹に危害を加えようとは考えていない。ただ、愛花嬢にいったい何かあったのか聞きたいだけだ」

「そうですよ美里さん。百合ちゃんが加害者とは組長は一度も言ってはいませんよ」

怖い人の後ろからマサさんとテツさんが入ってきた。

この二人はお姉ちゃんのお得意様で、マサさんに至っては恋人同士なのだ。二人はよく家まで遊びに来ているから私も知っていた。二人がヤクザだと言う事を。


もしかしてこの恐い人は……


「初めまして。俺は新龍寺しんりゅうじ竜鬼たつき。君の先輩である獅子若愛花の実の父親だ」

ああ、やっぱり。


「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。私が、私が卑怯者だから獅子若先輩をたすけられなかった。ごめんなさい私が悪いんですだからお姉ちゃんには手を……!」

「落ち着いて。おじさんは別に百合ちゃんを責めたい訳ではないんだ。勿論お姉さんにも危害を加えない。

ただ知りたいんだ。愛花が、俺の娘が一体何があったのか。あの子の両親は憔悴してとてもじゃあないが聞けない。君の目から見た物、見た物を聞きたいんだ」

先輩のお父さん、新龍寺さんの真剣な目に私は無我夢中に話してしまった。


全て話し終わった後の反応は様々だ。

お姉ちゃんはあまりにも酷い内容に絶句しているし、テツさんとマサさんは強くこぶしを握ったり、壁に叩きつけたりで何とか耐えている。

なのに、新龍寺さんは何の反応もなく、まるで能面の様に顔は無表情だった。


「百合ちゃん。君は自分が卑怯者だと言ったね?」

「はい」

だって、私が警察相談するなり生徒会達の保護者に言うなり、最悪マスコミに訴える事も考えていたのだ。だけどその後の報復が怖くって出来なかった。私が何かしらの行動を起こせば……


「君がもし償いたいと思うなら、オジサンと一緒に来てほしい。君はこれから起きる事を見て、時に今の様な事を証言して欲しい」

「そんな親分さん! 百合には荷が重い……」

「やります」

お姉ちゃんの言葉を遮る。

「それが獅子若先輩の償いになるなら行きます」

私の覚悟が本気だと悟った新龍寺さんは私を手を握り立ちあがる。

「マサ。お前は此処にいて美里ちゃんを落ち着かせろ。美里ちゃんを落ち着かせたその後に例の場所に来い。テツは俺と一緒に行動しろ。念の為に百合ちゃんの護衛を任せる」

「「へい」」


そして私は新龍寺さんと共に行動した。


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