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第一章

【あかりside】

5月。

中2になって、1ヶ月が過ぎた。


私の名前は、中沢あかり。

2年3組学級委員。

一応美術部に入ってるけど…

まぁほとんど帰宅部。


家から学校までは、歩いて15分くらいで着く。

下足室で靴を履き替えていると、同じクラスの学級委員、平坂結人が来た。

「結人、おはよ」

「おお、あかり。おはよう」

結人とは、去年も同じクラスで、男子の仲では一番仲がいいんだ。

「ねぇ、結人。今日の放課後ってなんか用事ある?」

「いや、今日はないよ。なんで?なんかあんの?」

「結人がいけるなら、大貴との話し合いしようと思って」

「あぁ…そういえばまだあったな」実は、私たちのクラス、2年3組には、問題児が集まっている。

クラスが変わってからまだ1ヶ月しか経ってないのに、すでに学年の先生から目をつけられてるんだよね…

その中でも特に、大貴はルールを守らなかったり、他のクラスの学級委員も手を焼いてる。

だから、私たちが話し合いをすることになったんだ。

だけど、大貴はなかなか手強い。

もう3回も話し合いしてるのに、全然終わる気配がない…

「ま、大貴が言うこと聞いたら、自然と他の奴らも聞くようになるだろうからさ」

「まあな。大貴はそういう意味でも影響力あるからな」「そうそう。だから頑張ろ?」

「そうだな」

その日の放課後、大貴と話し合いをした。

結構ヒートアップして、私はもう泣く寸前。

だけどやっぱり大貴はわかってくれなくて…

「こんな頭おかしい奴らの言うことなんか聞かねぇ」って言って帰っちゃったんだよね。

大貴が帰った後、結人が「お疲れ、がんばったな」なんて言うから…

せっかく我慢してたのに号泣だよね。

結人が「え、なに俺のせいなの?」とか言ってオロオロしだすから、おもしろくて泣きながら笑っちゃったじゃん。

そしたら「あ、よかった笑ったー」って結人も笑って。

一瞬ドキッとした。

なんか大貴とのことなんか忘れちゃった。

結人、超いい奴じゃんって。

でも、この時はまだ、気付いてなかったんだ。自分の気持ちに…


【結人side】

今日の大貴との話し合い…

俺もかなりイラついて、ちょっといつもよりキツい言い方してしまった。

あれは良くねえよなぁ…

そのせいであかりが泣きそうになってたから、励まそうと思って「お疲れ、がんばったな」って言ったのに。

逆効果だったみたいだ。泣き出したからすっげえ焦った。

なのに、俺が焦りだしたらあかりが笑いだしたんだけど…

泣いたり笑ったりどっちなんだよ…

でも、笑ってくれて良かった。

ずっとこうして、二人で笑っていられたらいいのに…

俺にはそれができない。



【あかりside】

あの日から3日。

大貴との話し合いは、まだ続いてる。

相変わらず私は泣いてばっかりで…

いつも結人に慰められてばかり。

そして、そんな結人のことが、少しずつ気になりだしていた。

その日の放課後。

いつものように、二人で残って作業をしていたんだ。

一区切りついて、二人で帰って、いつも通り公園で話していた。

♪~♪~

5時半のチャイムが鳴って

すると、突然結人の顔が近づいてきて…

唇と唇が重なった。

たった一瞬のキス。

だけど一瞬で思考回路が途切れる。

そのまま立ち尽くす私たち…

「…帰ろっか」

結人がそう言って、私も

「そだね」

って言って。

そのままいつも通りに歩きだした。

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