死後の世界のあれこれ8
櫓の中に入った。別に特に敵はいなかった。はしごに登った。
最上階に着くとその中心に本が無造作に置かれていた。
…あ〜はいはい、読めてきたよー。これあれでしょ?どうせ本読んだら勝手に異能力に目覚める系だろ?それで…えーと…そう、それで天使との激闘の末に異世界とかに飛ばされる系になってくるんだろ?わかってるわー
だてにラノベ読んできてないわー。
俺はそう思いながらその本(勝手に魔道書とでも呼ぶことにする)を読んでみた。
何百ページもあるのだがそのほとんどが空白だった。ただ真ん中のページに得られる能力のリストと手の形をした絵があるだけだった
「えーと…」
《能力リスト》
・天使などの攻撃を跳ね返すようになる。
・天使などにダメージを与えられるようになる
・天使などから意図的に見えなくなることができる。
・天使などと戦いの時のみ必要に応じて身体能力が上がる
…天使などってなに?え〜マジかよ。これ
もしかして、天使とかにしか効かねえの?
えーと…いらねーーーー‼︎え?マジで?ふざけんなよ。これ予想外されたのも腹立つし、
何より応用性がないのが嫌だ。
俺はそんなことを思いながら嫌々手の形の絵に手を置いた。
…だって仕方ないじゃん。これしかここから出る手段ねーし。
手を置くと本から光が溢れて以下略!
「な、なんだこの力は、力が…満ちて来るぜ!」
…はい。
この櫓には窓があった。俺は友美の様子を見るために窓から外の様子を見た。
お互いなぜかゼイゼイ言いながら休憩中のようだ。……ふむ。
俺は腕を体の前でクロスさせながら窓から飛び降りることにした。
「て、天空ペケ字…えーとゲボァ‼︎」
痛い‼︎チクショー、やっぱりかっこいい技名って事前に考えておかないとダメだな〜。なんだよゲボァって…かっこ悪‼︎
あ、でも敵は倒せたみたいだ。友美は唖然としてるけど。よし、一歩前進。
「櫓の中どうだった?」
「おう、収穫はあったよ。」
俺は友美にあったことを話した。
「……っていうことがあったんだよ。」
「へーえ…じゃあ行きましょうか。」
「ウィッス」
俺たちは再度中心付近にきたちらりと壁から門を覗くと天使が門の上に座って漫画を読んでいた。日本語で書かれているのを見るところやはりどの世界の娯楽と比べても漫画は優秀なようだ。まあ、異世界の娯楽とかあまりなさそうだしなぁ。
ああチクショー、いいなぁ。俺ももっと漫画読みたいなぁ。ゲームしたいなぁラノベ読みたいなぁ。いやいや、あと少しの辛抱だ。
この門を越えればパラダイスが広がっててほしいなぁ。
「作戦名は、『ガンガンいこうぜ』で。」
「それ、言いたかっただけでしょ。」
ははは、ナニヲイッテルノカワカラナイネ。
俺たちは門へダッシュした。天使は俺たちに気づいた様子もない。…あれ?これいけるんじゃね?
俺たちはこっそりと門に近づいた。
天使はまだ気づかない。
……結論を言おう。
俺たちが門に入るまで天使は俺たちに気づきませんでした。はい。
……なにこれ茶番?