死後の世界のあれこれ3
横ロールスクロールゲームとかそんな感じのゲームのスタート地点で、一番初めにすることって言ったら、もちろん
「逆走は基本だよな。」
「は?」
「いや、だからあの崩れた白壁の逆の、こっち行くぞ。」
「はあ、あんたただでさえわたしらハンデ戦なのに何言ってんのよ。」
「いやいや、よく考えてみろよ。一応条件は平等にしとかないと、楽しくないだろ?そしてあの天使はつまらないことは嫌いって言ってた。つまりってそんなことはあとで。とにかく歩きながら説明するぞ。」
そう言って俺は、崩れた壁とは逆の道を歩き始めた。
よく見ると割と端っこまで遠そうだ。
友美は……ついてきているようだ。
気配がする。…いや、言ってみたかっただけだけど。バトル系ラノベの登場人物ってどうやって気配とかわかるんだろう。あれか?音か?音が聞こえるからか?音が聞こえるのを格好つけて、…はっ気配がするとか言ってんのか?それとも…
「…〜い。おい‼︎」
「ん?なんだ。」
「人の話を聞きなさいよ。またどうせ、くだらないこと考えてたんでしょ?」
「まあ、聞けよ。
気配がするってあるじゃん?あれって…」
「あーはいはい。そんなことよりもさっきの話の続きは?」
「ん?ああ、だからつまり、異世界になさそうなもので、俺たちの世界にあってさらに面白いものといえばゲームしかないだろ?で、ゲームでこういう系のやつって大抵スタートの逆になんかあったりするだろ。つまり、そういうことなんだよ。」
「あーなんか納得した気がする。じゃあそうと決まったら、急ぎましょう‼︎」
……こいつ、男勝りなキャラとか似合いそうな気がする。こう、髪を短くしてさ、口調変えたらいいんじゃないかな?
いや〜…それにしても 最初会った時は、
いかにもお嬢様です!って感じだったのにな…まあ、俺が無理やり変えさせたようなんものなんだけどね!
そんなことを思いながら、小走り気味に行くと、端っこに着いた。
い、意外と遠かったな。
「……おい。」
おや?なんか怒ってる?ここは冗談で返そうかな。
「はいな。なんでござんしょ?」
友美はこちらを振り返って、怒鳴った。
「ふざけんな‼︎なんもないじゃん!おい、
どうすんのこれ?他の人もうとっくにどっかいったよ?私らだけだよ?こんなとこにいんの……」
「ふっ、友美よ。まだ気づかないのか?まあ、そこの壁をもう一度よ〜〜く見てみろ。」
「ん?」
まあ、壁には何にもないんだけどね?うーんそれにしてもあの天使の言い方なら、天国の方も多少変わってるかもな。も、もしかしたらゲーム天国あるかも、あったらいいのになぁ。
「ねえ、何にもないよ?」
「あ、ごめん壁ってこっちの左の方の壁な?
「お、お前…わざと?」
「イエス、ザッツラーーイト‼︎あたりあたりあたり〜。」
「……ふう。そろそろ真面目に考えようか。これ以上馬鹿にしたらあとで殴る。」
「オッケーで〜す。じゃあまずあの左の壁に付いてるボタンを押してみよー。」
俺はそう言ってボタンを押した。
そうすると前の壁が崩れて新しい道になった。
「…じゃあ、行こうか。」
そう言って俺は、ニヒルな笑みを浮かべた。
…言ってみたかっただけです。ニヒルな笑みとか練習してもうまくいかないし。練習してたら友美に馬鹿にされるし。