死後の世界のあれこれ2
「……神は!殺し!ました!」
あたりを見回しても誰も何も言葉を発しない。こんな微妙な空気にした元凶は、満足そうにあたりを見回して誰も何もアクションを起こさないことに気づいた。
「ちょっと〜なんかあるでしょう。ほら、証拠を見せろとか、殺したとしたら理由は?とか。」
いや〜やばいわ〜これは面白くなってきたな‼︎まじで、ラノベ風に言うと、この時から俺の運命の歯車は回り始めたんだ…的な?
これはゲームなくてもワンチャンあるな。とりあえず疑問に思ってることを言おうか。
「すみませーん。」
「お?君いーーね!なんだい?なんでも聞い
ていいんダヨ!グリーンダヨ‼︎」
「あ、はい。……そんなことよりも、なぜ神を殺したんですか?あとどうやって?」
「はーい、いい質問ですねー。仕方がないから答えてあげましょう!あ、ちなみにあげましょうのショウは英語で見せるのshowですよー。」
しけてんだよ。さっさと言えよ。
「ではまず神を殺した理由から。
神様が面白くなかったからです。こんなご時世にやれ厳格な審判だの、最近の若者はどうだの、ちまちまちまちまちま鬱陶しい!しかもですよ?天国と地獄ってあるじゃないですか〜。あの天国もそれはそれはつまんない場所でして、地獄はつら〜いところだったんですよ。時代遅れな…。だからこそ!私たちは立ち上がったんです!…はい」
おおーーいいね。だいぶいいね。何がいいか知らんけど。
「ふー、説明疲れました。あ、殺し方はなんか接待っぽいことやってその隙にプスッと刺しました。」
……それでいいのか。
「おい、面白いことになってきたな。」
俺が小声で言うと、
「全然面白くないわよ。ってかやばいよあの天使。異常だよ。」
俺たちがそんな会話をしていると、
「それではいよいよ、審判でもしましょうかね。と言っても、神みたいに身勝手に決めませんよ〜。ここには、本来地獄へ行く人が4人、天国へ行く人が5人います。
しかぁし!そんな決め方楽しくないと思いません?どうせならもっと刺激的に決めましょう!というわけで、脱出ゲーム的なことで決めます。」
脱出ゲーム!お〜、聞くだけで楽しそうだ。
なぜみんなガヤガヤ騒いでいるのだろうか?うるさいな〜。あれ?ふざけんな‼︎とか言ってる人は6友美を含めて人だけだね。てことはあとの2人は地獄へ行く自覚あんのかな?
とか考えていると、どうやら天使に、楽しみにしているのがばれたようだ。
「お?そこで目をキラキラさせてる君!名前は……名前はえーと」
そこで天使は、名簿帳的なものを見た。
「あ、そうそう。信田君!おや?君は神の審判で判断したら、天国行きだね。地獄へ落ちるかもしれないが、いいのかね?」
「もちろん!面白ければ、なんでもよし‼︎」
あ、やべ。衝動的に答えちゃった。みんなから変な目で見られてる。
友美の横からの呆れたような視線が痛い…。
天使は俺たちの微妙な空気に気づかずに、
「いや〜賛成してくれる人がいて助かりました〜。では!そろそろ脱出ゲームの説明をします。」
脱出ゲームの説明はこのようなものだった。
・この部屋の外の迷宮で天国門を見つける。
・追手として死神っぽいものが追ってくる。
・死神っぽいものに捕まったらその時点で地獄へ落ちる
・プレイヤーは10部屋で各部屋に9人の全員で90人います。
・天国門は43個、地獄門32個、天国に行くか地獄に行くかわからないランダム門13個ある
追記:なんか色々面白そうなギミックがあります。あと、魔法は使用可能です。
ふむ、……ん?魔法?
俺はそこでふと、辺りを見回すと、現代に住む人にとっては奇妙な格好している人がちらほらといることに気づいた。
あー…。ラノベ的に考えてみよう。今の時点で十分ラノベラノベしてるんだから、異世界あっても不思議ではないかな、うん。異世界で死んだ人も当然ここに来る、と。さらに、異世界なら魔法使えてもおかしくないかな。
……ずるくね?え?まじで?俺魔法なんて使えないんだけど。オタク文化以外の面白みのない地球人に、なんで酷な‼︎
まあ、いっか。ハンデ、ハンデ。別に魔法なんてなくても全然いけるし?久しぶりにやるゲームのハンデぐらいだし?
「……魔法って?」
「おいおい、友美さ〜ん。しっかりしてくださいよ。ってかそろそろ、そのいかにも動揺してます!感出すのやめろよ〜。
現実みようぜ?」
「……信田程度に現実見ろとか言われた⁉︎」
の、信田程度って……
「お、おいやめろよ。まるで俺が現実見てないみたいじゃないか。」
「え?自覚ないの?」
「え?」
…ま、まあ、そんなことはどうでもいい。それよりもそろそろ始まりそうだ。
魔法、魔法なーどうしよっかなー。ま、なんとかなるだろ。
と、そんなことを考えてると前にある白い壁が崩れた。
「はーい、皆さん今からスタートでぇーす。」
……声がうざい!