異世界(?)にレッツゴー
門に入った時に見えた天使の表情はかなり慌てていた。門の中はまるでスタート地点と同じように、白い壁に囲まれており奥があるのかどうかわかりにくい部屋だった。この部屋に入るときにどうやら友美とは離れ離れになってしまったようだ。
部屋の真ん中くらいのところには事務所の机のようなものがありなにやらそこで
美少年(美少女寄り、どんな顔かはご想像にお任せします。強いて言うならメガネ系。)が忙しそうにパソコンを
いじっていた。やはり地球産のパソコンは優秀なようだ。
メガネっ子が声をかけてきた。
「君はなにしにここへ?」
…ふむ、なにしにきたんだろう。
「面白そうだからです!」
おっと反射的に答えてしまった。
いや、でもラノベとかだったらここはこういう風に突飛な答えを言って気に入られるところだよな?
「ほほう。面白そうだから…か。」
ほらちょっといい反応もらえた。
「ここではなにができるのですか?」
「残念ながら君が思ってる通りの世界を作り出すことはできないのだよ。」
「え?じゃあ俺が飽きるまでゲームし放題っていう俺の唯一無二の願いは叶えてもらえないのですか?」
…ごめん。唯一無二って使いたかっただけです。
「そうだ。ここでできることといえば……
ここで俺の仕事を手伝うか?もしくは俺の後ろにあるスーパーランダム門を使えるだけだな。」
…なんでもスーパーってつければいいってもんじゃねえぞ。俺はどちらかといえば
ウルトラの方が好きだし。
「普通のランダム門との違いは?」
いや、想像はつくけど、こいつクールな顔して絶対内心聞けよ‼︎って思ってるだろうしなぁ。あ、ほら聞いた瞬間口角がちょっと上がったし。
「ふっ、仕方がないな。教えてやろう。
この門はな、本当の意味でランダムなんだ‼︎」
……あ、はい。
「へーえそうなんだ。じゃあ入ろうかな。」
「え?いや、待てよ!ほ、ほらまだ僕に聞きたいことあるんじゃないのか?」
…どうでもいいけどこいつクールなキャラ
崩壊してるけどいいのかな?ってか僕っ子かよ。いや、ある意味予想通りか。
「おい!話を聞けよ‼︎」
「ん?あー、はいはい。で?それはどういう意味なんですかー?」
「ふっ教えてやっても…いいぜ?」
「ん?それはスーパーランダム門っていうのは実は天国と地獄だけじゃなくてまさかのー」
「わー‼︎それ以上言うんじゃない。分かったもったいぶらずに言うから‼︎
…ゴホン‼︎教えてやろう!スーパーランダム門とはー」
…あまりにも長かったので要約するとこういうことだ。
・この門は天国と地獄に加えていろんな世界に行ける門なのだ。つまりここに入れば
よくある異世界ものと同じ感じになるらしい。
…俺は誰に説明しているんだ?
まぁいい。
「ーっていうことだ。っておい!聞いているのか!」
「うん、知ってた。じゃあ俺は行くわ。
あ、その前にお前の名前は?それとここでなにやってんの?門を守ってた天使の表情を見る限りここに来られるのはまずいってことだろ?お前も天使なら俺を排除しようとするんじゃないのか?」
「…ふむ。仕方ない。喋ってやるか。」
う、ウゼエ‼︎
「俺の名前はセキルという。だが天使ではない。堕天使だ。ここは天使によるクーデターで天使が自由にしてるっていうのは
知ってるな?」
「うん。……ああ、天使の中には反対派もいてそいつー」
「ああ!もう、察するな‼︎さっきから。」
お前こそ話を割るなよ。
「まあ、お前の認識で大体あってるよ。そうさ僕たち反対派は負けたのだ。でも完全に負けたわけではない。確かに反対派の俺たちは堕天使にされたが、こうしてこの異世界と天界と地獄をランダムでつなぐ門は抑えれたのだよ。」
あ、キャラ戻ってる。
「…先に釘を刺しとくけど手伝わんぞ。俺はもうゲームさえあればいいんだからな!」
「お前……可哀想な奴だな。ゲームさえあればいいとか。」
「おいてめえ‼︎ゲームを馬鹿にすんじゃねえ‼︎ゲームはなぁ、この世で一番面白いものなんだよ‼︎なぜなら!おれは!ゲームをやることより!面白いことをまだ見つけてないからだ!ああ、でもラノベとアニメは惜しいとこまでいってると思うよ?だがそれ以外はクソだ!」
「お、おう……。ずいぶん狭い世界で生きてるんだな。」
「…ゲームより面白いものは、探してるけどたぶん見つからねえよ。だってゲームやったのって幼稚園の頃だけだぞ?それで今までそれより楽しいことなかったし。」
「そ、そうか。じゃあ、もう門の中に入れ。お前の相方はもう門に入ったぞ。」
「おう。じゃあお前も祈っといてくれ。」
「なにを?」
「どうか!ゲームのある世界に行けますように‼︎……って。」
「ふふっ。わかったわかった。お前、面白い奴だな。」
そうしておれは、門の中に入った。
しかし、おれの頭の中はゲームのことでいっぱいだった。
……あれ?友美ってどんな顔だったっけ?