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大・出・張!  作者: ひんべぇ
第四章:第二陣達
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第二陣

続きです、よろしくお願い致します。

 俺達を乗せた馬車は、ナキワオの街と、グリマー湖の中間地点、近隣住民から『コール平野』と呼ばれる地点まで辿り着いた。


「あれ……? 何だ、この違和感……」


 馬車から降りた俺は、空に浮かぶ地球を見て、何かモヤっとしたものを感じていた。


「どうしたの? おじさん」


「あの地球を見てると何だかモヤモヤするんだよな……」


「へぇ、おじさんでもホームシックとかなるんだ?」


「いや、そう言うんじゃないから」


「でも、おじさんは良いの? 家族の人にこっちに残るって伝えなくて。向こうと連絡取れる様になってから、おじさんが家族と連絡取ってる姿見た事無いんだけど?」


「そうか? 結構、頻繁に連絡取ってるし悠莉ちゃん達もそれ見た事あるはずだけど?」


 俺がそう答えると、悠莉ちゃんは「そうだっけ?」と首を傾げながら、こめかみを押さえている。


 おっと、今はその話じゃなかった……


「椎野さん、多分ですけど地球の大きさが、私たちがこっちに来た時に見た星の大きさと同じくらいだからじゃないですか?」


「あ、それだ!」


 俺と悠莉ちゃんの話を聞いていた愛里さんは、やはり俺と同じ様に違和感を感じていたらしい。


 愛里さんが覚えている限りでは、あの時、スーパーの駐車場で見た星はスーパーの敷地面積を少し超える程の直径だったらしい。


 あのスーパーの敷地が大体、七〇〇坪位とすると……大体、五十メートル前後位か……?


 改めて空の地球を見る……やっぱり、どう考えても、今、俺がいるこの大地よりも小さく見える。


「これって、何か手掛かりになるのかな?」


「さあ……? でも、後で伝えておいた方が良いとは思いますよ」


 愛里さんの助言に「そうだね」と答えると、調査チームのリーダー格――ビオさんが俺達を呼ぶ声がする。


 俺はまだ空を見上げている愛里さんと悠莉ちゃんの手を引っ張って、ビオさんの元に駆けつける。


「おじちゃん! うい、おいてっちゃダメ!」


 馬車の中から、羽衣ちゃんの呼ぶ声がして、慌てて戻る。羽衣ちゃんは頬を膨らませつつ、指定席(俺の頭)によじ登ると、髪でハンドリングしつつ、俺をビオさんの元に走らせる。


「クスリヤさん、今更ですがそちらのお子さん、連れて来て良かったんですか?」


 ビオさんが不安そうに尋ねてきたので、俺は「問題ないです」と答えておく。


 ビオさんは納得出来ない様ではあったが、時間も無いと判断し、今後の予定を説明する。


「まずは、調査チーム以外の皆さんには、周辺の警戒にあたって頂きたいと思います――」


 ビオさんによると、周辺に魔獣の出現報告は今のところ無いが、無警戒で襲われてはたまらない為、俺達に分散して警戒に当たって欲しいとの事。


 また、後輩からの情報提供で一定の距離を保っていないと、俺達地球組は移動に巻き込まれる可能性が高いらしく、それを防ぐ為にも距離を取って貰いたいらしい。


「じゃあ、班分けするか。俺とハオカと羽衣ちゃんとタテが一班、サッチー夫妻が二班、ミッチーとブロッドスキーさんで三班、悠莉ちゃんと愛里さんとアンさんで四班って考えてるんですけど、どうでしょうか?」


 ブロッドスキーさんに確認すると、問題ないだろうと言う事なので、このままの班で行く事にする。


「それでは、よろしくお願い致します」


 ビオさんはソワソワしながら、地球接地予想の中心地点にイスとテーブルを設置する。他の調査チームの面々も同様に浮ついた感じで着席する。


「大丈夫なんですかね? あれ」


「まぁ、問題ないだろう。今回の選別は王族直々だからな……皆、エリートの仲間入りと言う事ではしゃいでいるんだよ」


 ブロッドスキーさんは「可愛いもんだよ」と付け加えると、そのまま自分の持ち場に向かう。他の皆もそれぞれ、自分の持ち場に向かい、以降は地球接地まで待機するらしい。


 ――待機開始から二時間――


「旦那さん、うち、流石に退屈で退屈で気が狂いそうどす……」


 やる事も無い、かと言って寝る事もする事も無い状況は結構な苦痛である――ハオカは下駄を脱ぎ、椅子に座って足をプラプラさせながら俺に「構っておくれやす」とせがんでくる。


 羽衣ちゃんとタテに至っては、退屈すぎて既に眠ってしまっており、タテをハオカが、羽衣ちゃんを俺が抱っこする形で身動きが取れないのも、退屈を加速させる原因でもある。


「俺達も悠莉ちゃんとか、サッチーみたいにトランプでも持ってくれば良かったなあ?」


「ほんまにそうどすなぁ……」


「魔獣が接近する気配も無いんだろ?」


「へー、探れる範囲内は静かなもんどすえ?」


 そんな事を話していると、タテがもぞもぞと起き出して来た。


「あら、ちびっと騒がしかったかしら? 起こしてしもて、かんにんね?」


 ハオカは目を擦りながら、キョロキョロとあたりを見まわした。


「いえ、ハオカ姉さん。そうではなくて、何と言うか……空気が一気に動いている様な……?」


 その言葉を聞いて、俺はもしかしてと思い、携帯電話を手に取る。


 そして、グループ通話機能を使い、後輩を含めた皆に電話を掛ける。


「もしもし? 皆、聞こえてるか?」


『はいはい、こちら地球』


『二班、聞こえてんぜ?』


『三班ッス』


『四班ですわ!』


 あれ? 四班はアンさん? まあ、いっか。


「オッケー、手短に話すぞ? タテが空気に違和感を感じてるみたいなんだ、もしかしたらそろそろかも」


『あ、やっぱりですか? こっちの観測機器でも接近スピードの上昇が認められています』


 地球でもそうなら、間違いなさそうだな……。


 通話を終了すると、俺は調査チームの少し頭上に、ギルドカードを並べて『そろそろ来る』とメッセージを作成する。遠くて見えにくいけど、調査チームもそれに気付いて歓声を上げているみたいだ。


 ピリピリと張り詰めた空気の中、いよいよ地球が地面に接近する――


 俺はその様子を携帯電話のムービーモードで撮りつつ見守る……。


 やっぱり古い携帯だと望遠モードの画像が粗いな……


 そんな事を考えたその瞬間――地球が眩く光りだす。


 接近スピードを更に上げた光る地球が、地面と接触したかと思った次の瞬間、辺り一面を照らす光はフッと消えた。


「あれ……? 終わった、のか?」


 空を見上げて見ると、はるか上空に地球が見える……。


 調査チームがいた場所を見ると、土煙が上がっており、その中に人影は映っているが、正直良く見えない……


「ハオカ、タテ、近付くぞ」


「「はい」」


 俺は他の班に近付く事を知らせると慎重に、慎重にと歩みを進め、調査チームがいた場所に辿り着く――


 未だに煙がモクモクと舞い上がる中で、四人分の人影が周囲の様子を伺う様にキョロキョロしている様子が見て取れる。


 やがて、土煙が晴れると、そこには見知らぬ男女三人と、見慣れた男性一人――ビオさんがいた。


「こ、ここは?」


 長い友を失った頭を撫でると、何故かハーフパンツに上半身裸の上から白衣を着た筋肉質の男性がキョロキョロと周りを見まわす。


「ほ、本当に……別の星……なのですか?」


 続いてスーツの上に白衣を着た、無造作ヘアのイケメンがポカンと口を開け、誰に向けるでなく呟く。


「えっと、ようこそ……になるのか――」


「ふ、ふはは……ひゃーっひゃっひゃ! 本当だ! 本当にどこだかわからん場所にいる! 私は、私は未知に出会った!」


 俺が声を掛けようとすると、見知らぬ三人の最後の一人――ボサボサの髪、レンズの厚い眼鏡、よれたTシャツ、デニムのズボンに白衣を着た女性が、狂った様に喜び、踊り出した――


「な、何でだ……? 私だけ、取り残され、たのか?」


 そんな女性の横では、ビオさんが四つん這いでショックを受けている。


「……何だ、この状況」


 俺が呆然としていると、他の班の皆も駆けつけてきた。


「うっそ……マジで成功したんかよ!」


 サッチーが感想を漏らすと皆も驚いた顔を見せる。


「お、そうだった、君が現場責任者の薬屋さんかな?」


 いち早く立ち直ったらしい、マッチョな博士が俺に声を掛けて来た。


「ええ、そうです。私が薬屋椎野です」


「俺は鉱物学者の寺場久利(じばひさとし)だ。すまんな……あの女性――衛府(えふ)博士は、ちょっと自分の好奇心に正直すぎてな……」


 親指で狂喜乱舞する女性を指すと、寺場博士は口の端を引きつらせて溜息をつく。


「旦那さん、ちょいシャレにならへん数の魔獣がこっちに迫っています!」


 寺場博士と俺が握手を交わそうとすると、ハオカが焦った様に警告してくる。


 俺がハオカに方角を尋ねると「四方八方」と言う答えが返って来た。


「っ! 不味いな……」


 この人数で、何とかなるか?


「取り敢えず、タテは羽衣ちゃんと博士達をガード! 愛里さん、『強化門』作るよ!」


「「はい!」」


「へぇ、へぇへぇへぇ……えへへへへへ! これがスキルって奴かい! どれどれ、感触は……? おお! 風に弾かれる感じか!」


 俺達が戦闘準備を整えていると、衛府博士がタテのスキルに興味津々で触りまくっている――


「コラッ! 衛府君! ちょっと、空気を読もう! な?」


 子供の様にはしゃぐ、衛府博士を寺場博士が取り押さえようと追いかけまわしている。


「何か……緊張感がないなぁ……」


「おじさん! 来たよ!」


 悠莉ちゃんの声で我に返ると、辺り一面が巨大なミミズの魔獣に囲まれていた。


「これ、本当にヤバくね?」


 真っ白になった頭に、やたらとサッチーの「ヤバくね」が響いていた――

いつかやろうと思ってた。〇レマーズネタ。

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