表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コハのアロとピー【~《電子レンジ》ミーツ"ガール"!?!!?いずれ魔法少女になる女の子の不思議な不思議な物語~】  作者: ふるなゆ☆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/13

4話◇ケセラセラ

「家に帰りたいんだろ? アンタが良ければ、護衛でもしようと思うんだが。」

「本当に帰っていいのかな……。」

「どういうことだ?」

「もし無事に帰れても、今度は家を襲われないか心配なの。」

 心配事が連なって心に重圧をかけてくる。

 次々と過ぎる想像(if)が私の行動を縛っていくみたいだ。

「俺は流浪の剣士。特定の住処はない。よければ俺がお前の家を護る護衛となってもいい。ただ、こればかしは無料(ただ)とは言えない。ちょっとばかし給料(おかね)は貰うぞ。」

 そのことをおばあちゃんはどう思うのだろう。勝手にそんな契約しちゃ駄目だよね。そもそもそんなことしたらこの人を巻き込むことになってしまう。と、次々と考えてキリがない。

「どうしたんだ?」

「心配なの。何もかもが悪いふうになるんじゃないかと怖いんだ。」

 もう前に進むのが怖くなっていたんだ。

「考え過ぎは体に毒だ。即決が良いとも言えないが、決められずに時を逃すのもいけないと思う。」

「分かってる。分かってるけど、進めないの……。」

 たった半日で起きた出来事を思い出すだけで、私はもう何もしたくなくなってしまう。前になんか進める訳がない。

 そんな時、俺の故郷にこんな言葉があった、とアロが目の前に来て、膝を着いて目線を同じにした。


「『Que()sera'(セラ)sera'(セラ)』ここを乗り越えたら楽になるしかない。なるようになるさ!」


「ケセラセラ?」

「そうさ。どんなに後悔しても、どんなに苦しくても、逆にその時は幸せでも、明日は平等にやってくる。そして、後悔する時は何しても後悔するんだ。じゃあ、今を後悔しないように進めばよくないか。人生はなるようになるだけなんだからな。」

 その言葉を噛み砕いていく。

 ほんのわずかに灯った心の篝火。「そうだよね」と言い、私は立ち上がった。家での護衛は保留にして貰い、家までの道のりの護衛をお願いした。彼は気前よく「了解」と言い放った。


 この街に来たばかりの私はここから家への帰路が分からなかった。しかし、目印になる場所を教えたら彼がそこまで案内してくれた。私はその後を着いていく。

「驚いたな。この街にいて、この街を知らないなんて。」

「実は最近、引っ越してきたばかりなの。」

「そうか……。それは不幸な話だ。」

 今の所、私は不幸だなんて思っていない。だから純粋に「どうして?」と聞く。

「この街は入ることはできても出ることはできないんだ。そのせいで、旅でここへと入り込み、出ることが出来ず、気付けばこの街が長くなってしまった。」

 なるほど。そういうことか。ミカンに教えて貰った街の事実。けれども、「実はね、ピーちゃんがいれば、街の外に出られるんだよ!」と私の知ってる事実を加えた。

「それは本当の話なのか。フィクションなのか?」

「本当だよ!」

「信じられないな……。」

 そこにピーちゃんが「本当だ。実際に壁に穴を開けたこともあるからね」と私の意見を後押ししてくれた。

「なん……だと。それは実に興味が唆る話だな。」

 彼がこの話を信じてくれるみたいだ。それだけでちょっぴりとだけ勝ち誇ったような気になれた。



 それなりに道なりを進んだ。

 近くにほんのり高めのビルが見える場所。

「来るぞ」との忠告。そして、頭上から現れるベルフェゴール。空気がビリビリと揺れていった。

「街のためです。今度は必ず誘拐させて貰います。」

「残念だな。そんなことはさせねぇよ。」

「剣士……。君には関係あるまい。私も無益な争いはしたくありません。ここは穏便に引き下がって頂けますか?」

「無理な話だな。俺はこの子を護るって約束したんだ。逆に、誘拐できないようにお前を壊す。どうせ遠隔操作されてる単なる機械だろ。」

 ため息が放たれた。「これは皆さんの血税からなるもの。易々と壊されては困りますがね。」

「なら、壊されないように引き下がればいいんじゃないか?」

「それは無理な話です。」


 カキン――。そんな鉄と鉄がぶつかり合う音が響いていった。二人はいつの間にかお互いに距離を詰めていた。そして、剣をぶつけ合っていた。

「元々、バアルへの復讐のために旅をしていたんだ。偽の器(ベルフェゴール)の姿を見るだけで怒りが増していくよ。」

 戦いは若干アロが優勢だ。

 隙を見て攻撃しても鍔迫り合いになるだけで、基本的にアロの攻撃を流れる太刀筋で受け流したり、そのまま剣で受け止めたりして守りに徹しているのが見て分かる。

 目で追えるものの、流れが早くて、ちょっと目を離したり瞬きしたりするだけで戦いが大きく進んでしまう。

 カンッ。吹き飛んだ剣。アデイルはもう丸腰だ。この勝負、勝負あったり。――と思った。

「倒すのに夢中になって、護りが疎かになっていませんか?」


 後ろから気配がする。

 振り向くとすぐそこには二体目のベルフェゴールがいる。心の警戒アラートがガンガンになっている。だからと言って、何かできる訳でもなくすっ転んで尻もちをついてしまった。

「ちっ。二体目がいたのかよ。」

 私の方に向かって走ってくるアロ。だけど、その後ろにはそんな彼に向けて手のひらを向けるアデイルがいる。

「敵に背後は見せるのは剣士として如何でしょう? 《ライトニングショット》――。」

 可視化された電気が空気を通ってアロに直撃する。それによって体が痺れたのか膝から崩れ落ちてしまっていた。

「バアルの購入者は何も私一人とは限りません。ルール違反とは言わないで下さいね。これは剣士の誇り高き決闘とは違い、道端で起きた単なるいざこざでしかありませんから。」

 私の元へと向かうもう一体。

 そこにピーちゃんが体当たりした。

 剣が体に命中し、その勢いのまま壁へとぶつかる。「ピー!」と彼が焦りの雄叫びを上げ、麻痺した体に鞭打って立ち上がり、動きにくそうな体で歩いた。

 私は腕を掴まれた。

 しかし、無常にもアロは背後のアデイルに触れられ、追い電気ショックを受けてしまった。「ですから、背後を見せるのは如何かと…。」

 彼だけじゃない。突然、全身を襲う電気。体を通って電気が私に痛みを引き起こして動けないようにしてくる。絶望的な痛み。私はもう一日は動けないような痛みと麻痺だ。それなのにアロは先程、立ち上がってくれたのだ。その事実だけで嬉しさが込み上げる。

 もう充分――。だから、このまま連れ去られて酷い目に合わされても、受け入れるしかないみたい。

 私は無理やり担がれた。

 このまま攫われるんだ――。

「そんなことさせるかよっ!」

 アロは諦めずに立ち上がった。一度に限らず二度も強烈な電気を食らったはずなのに。

 それだけじゃない。歩き出した。

 その時、私の目の前に現れる白い輝き。これはティアラの宝石が光り輝いている印だ。そして突如としてアロは服装が変わっていく。

 それはまるでナイトのような格好。重厚感ある鎧ではなく、とっても動きやすそうな鎧を纏っている。太陽な日差しを反射する剣。そこから見える真剣な表情。思わず私は「カッコイイ……」と言葉が漏れていた。

 真っ白の了解が広がる。道路も石垣も家も辺り一面が白で覆われた。

「なるほど。この力は【パール・ホワイトパンジェント】と言うのか。僅か十二分。されど十二分。十二分間、この力、借りさせて貰う。」

 剣を白い地面に突き刺す。

 次の瞬間、そこから爆発が起きた。アデイルを巻き込んだ爆発だ。そして、その爆風に乗って一気に私の目の前に彼がやって来た。

 ベルフェゴールの頭を掴んで背後に回ると同時に背中を蹴り上げて空高くへと飛ばした。それでもコレが私を離さない。いや、ある程度の高さの所で離されて私は途中で落下していった。

 真下では落ちていた小石を真上に投げている彼がいた。……何をしてるんだろう。

 落ちゆく私を華麗にキャッチしてくれた。この既成事実だけで胸がザワついてしまう。そのままそこから離れた場所へと一気に移動した。

 ベルフェゴールが地面に落下した。大きなダメージを負うが、それでも立ち上がる。

「まずは一体目だな。」

 私はゆっくりと地面に下ろされた。

 その時に立ち上がったソレを見る。次の瞬間、ソレの真下から複数の爆発が起きたのだった。そして、ソレの首だけが私達の付近へと転がってきた。血などが出る訳でもなく、断面図は単なる機械のようなもの。生々しさなどはないので何とも思わない。

「何故か分からないけど、俺は今、俺の武器が触れた白い領域箇所を、その触れた瞬間爆発させる能力が目覚めたんだ。少しびっくりさせたよね。」

 爆発による黒煙が風によって流される。そこにいるアデイル。近づいてくる。

「倒しきれなかったか……。」そう言って、落ちている小石を拾い始めた。そして、それを投擲した。小石が触れた場所から爆発が起こった。沢山の爆発だ。

 そんな爆発を避けて突撃してきた。

「それぐらい想定済みだよ。」

 剣が下から上に振られる。斜め前方方向に向かって高く打ち上げられた。そこの地面に向けられて放たれる小石。石が触れた瞬間に発動される爆発と、それによる爆風によってアデイルは真上に空高く飛ばされていった。

「トドメにしようか。」

 アロは近くのビルに向かって走っていく。どうしてか剣をぶらんと下ろして、剣を引き攣りながら進んでいる。

 ビルの麓へと来ると爆発が起きた。爆発は任意で起こせるみたいだった。

 爆発の爆風で壁へと足をかける。さらに、ビルの側面に触れた剣により起きる爆風に乗っていく。何発も起きる爆風に乗ってアロはビルを垂直に登っていた。

 最後の爆発。それによる爆風によって翔んだ彼は今、とっても高い位置にいる。見上げると太陽の日差しと重なって上手く見えない。

 そこから真下にいるアデイルに向けて落下していく。もちろん、手に持った剣の矛先は真下を向いている。

「喰らえ。《メテオ・クラッシュ》!」

 剣先がソレを貫く。そして、落下する。

 地面にぶつかる際に、ド派手な大爆発が起きた。

 あまりの突風に私の髪が大きく揺れている。

 爆煙が晴れていく。そこを歩いていく一つの影。そこにいたのはアロだった。

 ナイトの姿の彼の姿が元へと戻っていく。白い領域が消えていく。

「ひとまず襲ってきた奴らは倒してきたよ。」

 それは優しく甘い声。されど、どこか寂しそうな声だった。


 彼は一目散にピーちゃんの元へと向かった。

 箱の体に手を置く。「……無事か。」

「うむ。僕は無事だよ。」

「それは……良かった。」

 胸を撫で下ろす姿。その様子を見ているだけで私もどこか微笑んでしまいそうだ。

「痛かっただろうに。」そんな声が優しく放たれては風に消えた。

「大丈夫! 僕はね、痛みを感じないんだっ!」

「そうなのかっ?」と驚き、小さな声で「人間じゃなくなったから痛みの感覚も消えているのか……」と感想を呟いていた。


 その言葉を私は聞き逃さなかった。

「人間じゃなくなった?」

「コハはこの街のことあまり知らないもんな。この街には『鬼』という存在に捕獲されるとピーみたいに成り果てるんだ。」

「じゃあ、ピーちゃんは人間じゃなかったってこと?」

「そうなるな。」

「ねぇ、ピーちゃんを人間に戻す方法はあるの?」

「残念ながら俺は分からねぇ。知ってる奴も聞いた事も見た事もねぇな。」


 衝撃的な事実。電子レンジの姿であるピーちゃんは人間だった。価値観が揺らいでいく。今のところ、人間に戻す方法は分からない。それでも私は人間に戻して上げたいと強く思っていた。


 家までの道のりを歩きながら口を動かしていく。

 そう言えば、この街について誰よりも詳しそうな町長と名乗る人物がピーちゃんを特別視していたはず。

「もしかしたら町長なら何か知ってるかも知れないね」との言葉がテレパシーで伝えられた。私だけでなく彼もその言葉は聞こえているみたいで、「可能性はあるな」と頷いていた。

 イレギュラーな存在であるピーちゃんを異様に破壊したがっていた。もしかしたら何か不都合でもあったのだろうか。

「直接、町役場に私達を襲ってきたことも含めて、直談判したいよね。けど、身が引けるけど……。」

「いや、町役場へと行った所で、いるのはさっきみたいな偽物だろうな。」

 それもそうか。しかし「本物はどこにいるんだろう?」という疑問が残る。それに対して「大体、予想がつくぞ」という返答が返ってきた。「どこ……?」とさらに訊ねる。

 

「バアルの本拠地だ!」


 ピーちゃんの行きたい場所。そこに町長のアデイルがいる可能性がある。そして、そこにピーちゃんを人間を戻す情報があるかも知れない。

 余計に私は"バアルの本拠地"へと行きたいという気持ちが高まっていった。

 それなりに話していたら、とうとう家に辿り着いた。長い長い旅時のような感覚を受けた。


 

 玄関の前に立っているおばあちゃん。手にはノラを抱えていた。「おかえりなさい」の声に大きく「ただいま」と返した。

 隣の家の玄関ドアが開いた。そこからミカンが飛び出ては私に抱きついてきた。「無事で良かった」と安堵の言葉を投げ掛けてくれた。

 安心感が胸に溜まる。

「初めまして。俺はアロ。道端にてバアルに狙われていたため、ここまで護衛をしました。良ければ、金額次第でこの家の警護でもしますがどうでしょう?」

 いつの間にかおばあちゃんに交渉を仕掛けていた。

「あなた、良いわねぇ。いい側近になりそうだわぁ。ねぇ、婿になる気はない?」

 ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、「ちょっと待って。何言ってんの!?」と思わず無意識に声が出ていた。

「いや、俺はただの警備員をと……。」

「そうだよ。私達、そんな関係じゃないよ!」

 体が熱い。夏ではないのに夏のように体が熱い。思わず息が上がってしまいそうだ。


 おばあちゃんに「バアルの本拠地に行きたい」ことを伝えた。

「ここから徒歩だと五日前後ぐらいかかる長旅ねぇ。危険もあるし、あまり認めたくはないねぇ」と許可を貰えない可能性が出てきた。「まあ、このアロ君が護衛してくれるのなら許可しないこともないが……」との言葉に、私は上目遣いで彼を思いっきり見つめた。

「はぁ……。俺は金次第で動くことにしてんだ。結局それが一番分かりやすくて無償よりもお互いに納得しやすくて、トラブルになりにくいからな。俺からはそれだけだ。」

 そんな時、ミカンから「ねぇ、学校はどうするの?」と言われた。「そうだ、学校は行かなきゃ。」

 学校には行きたい。一方で、バアルの本拠地にも行きたい。タイムリミットは今の所、ある訳でもなさそう。

 ――ということは「夏休みとかなら、行けるかも?」そう閃いた。

 その意見は否定されることはなかった。つまり、許可されたと言っても過言では無い。ミカンも「夏休みの旅行、楽しそうね」と賛同してくれた。

 私はその意見をそっと胸の中にしまい込んで家の中へと持ち帰った。



 数日後――。



 私の家の居間に集まるメンバー。(コハ)、ミカン、アロ、ピーちゃん。机の上には地図やメモ用紙が置かれている。

 行くと口で簡単に言っても、実際に行動に移すのは容易いことではない。旅の目的、目的地への行き方、必要な持ち物、等調べたり準備したりしなければならない。特に必要な持ち物に関しては誰が何を購入したり持ち寄ったりするのかを考える必要がある。一筋縄ではいかない。

「旅の目的はバアルの拠点に行くことが目的やね。ピー坊が行きたいのをワシとコハで連れて行く。んで、アロさんが護衛する……と。」

 どこか疲れたような顔をしている彼女は、そんな気分を感じさせないように振舞っていた。

「それについてなんだが。俺は俺でバアルの拠点に行きたい理由がある。」

「行きたい理由……?」

「ああ。俺の旅は全てバアルへの"復讐"のためなんだ。」

「復讐?」

「そうだ。その理由……気になるか?」

 当然、気になるに決まっている。

 それを受けて彼は「分かった。少し俺の昔話をさせて貰おうか」と子どもの頃のお話を伝え始めた。私達は耳を傾けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ