デモンストレーション④
あまり大きな村ではなかったから疾走スキルで走れば村の南には数十秒程度でついた。
3体の犬型の魔物を前に、三人の騎士が女の子を庇うように囲んで守っていた。
どうやら逃げ遅れた女の子を守るために動けず膠着状態になっているようだ。
(この距離なら剣より魔術!)
「燃やし尽くす火球よ吹き飛ばせ!」
ボーリングのたまサイズの火の玉が手のひらから魔物へ向かって飛んで行った。
魔物は一撃で消滅し、残った二匹の魔物が怯んだタイミングで騎士達が女の子を担いで後退してきた。
その動きに合わせて残りの2体の魔物にも魔術を発動する。
「切り裂くは風の刃!!」
火球を警戒していたのか残りの2体の魔物は避けることなく切り裂かれて消滅した。
「支援助かった!君のおかげで少女を救助できた!」
騎士の一人が村の入り口の警戒をしながら礼を言ってきた。
「助けられたならよかった。他に困り事はないか?」
「ああ、大丈夫だ!あれを見てくれ。」
そう言って騎士は入り口の先を指差した。
よくみると土煙が舞わせながら騎兵の軍隊がこちらに向かっていた。
「この領主の騎士団達の援軍だ。これで村の守りは万全になるだろう。あとで防衛に協力してくれた礼金がわずかだが出ると思うからしっかり受け取りに来てくれな!」
そう言って騎士は入り口の方へ戻って行った。
(そうか報酬も出るのか、それはちょっと楽しみかもしれない。)
目の前に半透明のスクリーンが出てきた。
ーーーーーーーーーー目標達成ーーーーーーーーーー
剣術で少年を救う 達成
魔術で少女を救う 達成
30秒後に転送を開始します。
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(へ?30秒後に転送??)
体の輪郭が光り始めたと思った時には目の前が光に包まれた。
さっきまで異世界の村に居たはずなのに気づけばまた白い空間に戻っていた。
「目標達成見事でした。」
無資質な機械音声と共に青い球体が目の前に現れた。
「初めて使うスキルや魔術もあったけどなんとかなってよかったよ。というか、あれだけであの異世界を救うことができるのか?」
「回答。あなたが魔物から救った少年少女は成長して魔王を倒す勇者パーティーの剣士と魔術師になります。あなたはそれぞれが修行を始めるきっかけになったのですよ。」
「え?あの二人そんな大物になるの?」
「肯定。むしろあそこで救うことができなければ勇者パーティーは魔王を倒せないところでした。このように世界を救うのに欠かせない存在、出来事の補填を今後あなたにしてもらいたいのです。」
「まだ助けなきゃいけない異世界はあといくつあるんだ?」
「回答。あと11です。」
「やるよ。俺が必要とされていて俺にできることなら。俺はやってみたい。」
「確認。これからよろしくお願いします、渡 助希。」
「ああ、よろしく頼む。」
「予告。それではまた明日。あなたが眠りについた時に会いましょう。」
白い世界が遠のいて少しの浮遊感を意識した時に目を開けると見慣れた天井が見えた。
体に疲れは感じない。
「不思議な夢を見たな。」
夢。確かに夢だけど、心は高揚していることも確かに感じた。
「今日も一日働きますか!」
そう意気込んでバイトへ行く身支度を始めた。




