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ようやく名門公爵家のご令息との婚約に漕ぎ着けたのに結婚間近になって、婚約者から派手な〈後出し暴露〉!淡い恋心は一気に冷めてしまった。こうなったら、ぜひ婚約破棄してもらわなきゃ!

作者: 大濠泉

 私の名前は、フランシス・マーズベリー。

 もう婚期が過ぎた三十一歳。

 黒髪に褐色の瞳をもつ、外見上は、これといって目立つところのない伯爵令嬢だ。


 私は、幼い頃から、ほんとはお菓子作りがしたかった。

 でも、それは侍女の仕事で、伯爵令嬢が直に行うべきではない、と親から叱られた。

 だから、せめて美味しいスイーツを頂き、香り高いお茶を(たしな)みながら、大勢のご婦人方とお茶会を(たの)しみ続けた。

 楽しい日々だった。

 オトコなんか相手にせず、同じ女の子同士で青春を過ごした。

 そのこと自体に、悔いはない。

 けれど、こうして、女の子ばかりのお茶会の主催をたび重ねたことが、婚期を逃した原因の一つとなってしまった。

 同世代の女友達がどんどん片付いていったために、お茶会を開きにくくなったことで、なんとかして早く結婚しなければ、と私は焦り出したのだ。


 そして、ちょうど三十歳だった半年ほど前ーー。

 ようやく私は殿方との婚約に漕ぎ着けた。

 それも名門公爵家のご令息ウイリアム・マロリーと。


 貴族家同士の婚姻は、家柄の釣り合いと、人柄の好悪で決まるもの。

 その点、家柄としては、ウイリアムは申し分なかった。

 マロリー公爵家は、我がマーズベリー伯爵家の寄親貴族家なだけでなく、バーム王国を代表する筆頭貴族家だ。

 もし私がお嫁に入れば、私には不釣り合いなほどの玉の輿といえた。


 ウイリアム・マロリーは太ってるけど、金髪巻毛で(みどり)色の瞳をしており、白い歯が印象的な青年だった。

 初対面のときは、派手な軍装をまとっていた。

 締まらない肉体をしているけど、これでも従軍経験があるそうだ。

 たくさんの勲章をぶら下げているところを見ると、数々の武勲を立てているみたい。


 彼の人柄についてはーー正直、よくわからない。

 ウイリアムは、会食の際の行儀も雑で、かなり礼儀作法を無視するところがあり、偏食なところがあった。

 が、それも名門貴族家の長男に生まれたゆえの自由さのあかし、そして従軍経験から来た無作法さなのだろう。


 育ちから来る習慣や癖の違いはお互いにあるのだから、これから二人で擦り合わせていけばいい。

 お見合いから始まる恋愛もあるはず。

 結婚してから、ゆっくりと恋心を育んでいきたいーーそう思っていた。


 三十オーバーな私でも、恋に恋する乙女心ぐらいは持ち合わせている。

 自分よりも高貴な家の長男で、しかも戦場で活躍したという、いかにも男性的な経歴を有する人物を、私は夫にするのだーーそう思うと、私は天にも舞い上がるような気分になった。


 たしかに、ウイリアム・マロリー公爵令息をよく見れば、顔のスペックは、素材としては悪くない。

 膨らんだ頬と、でっぷりとしたお腹が痩せてくれたら、相当、見栄えするはず。

 食事療法を推し進めて、頑張ってシェイプアップしたら、自慢の夫になるかも。


 だからまずは結婚をして、身を固めよう。

 私も、そして彼、ウイリアムも、早く結婚しようとしていた。



 その日も、いろいろと手続きを進めていた。

 結婚式を間近に控え、彼の家、マロリー公爵邸に出向いて、引出物や衣装のチェックをお出入り業者と打ち合わせた。

 その後、軽い昼食を終えて、一休みする。

 そんな昼下がりの頃だった。

 突然、私の淡い恋心に、冷や水がぶっかけられる事態に遭遇した。

 相手、ウイリアム・マロリー公爵令息が、いきなり様々な事実を暴露してきたのだ。



 婚約者のウイリアムは一気に紅茶を飲み干すと、テーブルに肘をつけて身を乗り出す。


「ボクは嘘をつくのが嫌いだ」


 なにか重要な話があるようだ。

 私もティーカップを脇に置いて、居住まいを正した。


「はあ。それは気性のおよろしいことで」


「君との婚姻を確実にするため、黙っていろと父上がおっしゃるから、今まで黙っていた。

 だが、君と結婚するのだから、ぜひ伝えなければならないと思うことが幾つかある。

 聴いてくれるか?」


「はい。

 夫婦で隠しことがあるのは、好ましいとは思えませんので、ぜひ」


「まず、ボクは、十五歳までの女の子じゃないと、好きになれない」


「……!?」


 三十路を超えた婚約者の前で、幼女趣味を告白するとは、良い度胸している。

 度胸というよりは、単なる無神経か。


「それからーー」


 彼、ウイリアム・マロリー公爵令息は足下に置いていた大きなカゴの蓋を取り、中のものを引っ張り出す。

 大きな、二メートルを超える長さをした、緑と黄色のマダラ模様が入った大蛇だ。

 そのヘビを自身の腕に巻き付け、私に近づける。

 ヘビが口を開け、シャアアアと奇声を発して、先端が二股に割れた、長い舌を伸ばしてくる。


(ひっ!?)


 私、フランシス伯爵令嬢は、思わずのけぞった。

 彼ウイリアムは、怯える私の表情を面白そうに眺めながら言った。


「この子を飼うために、ネズミを繁殖させている。

 そのための餌代が必要なんだ。

 一日に三匹は丸呑みするんだ。

 ほんとはネズミを喰らうさまを、君に直接、見せてやりたかった。

 だけど、嫌われると困るからって、母上が言うから遠慮したんだ。

 でも、コイツ、可愛いだろ?

 こんなのが、二十三匹いるんだ。

 凄いだろ?

 コイツらにはたっぷりネズミを食わせてやって、一日に何度か、日光浴もさせたい。

 幸い、君のお屋敷の庭もそれなりに広いから、それも可能で嬉しいよ。

 噴水もあったしな」


 婚約者のウイリアムは、私の実家マーズベリー伯爵家の邸宅にも、二度ばかり足を運んでいる。

 だから、我が家自慢の庭も、中央噴水も見て、知っている。

 だが、あの美しい庭に、こんなのが溢れかえるのか!?

 うっかり散歩もできやしない。


 ーーいや、待て。

 なんだ?

 結婚するってのに、どうして彼が私の実家で住まう設定なんだ?


 いろんな疑念が湧き起こる中、婚約者ウイリアムによる〈後出し暴露〉が続く。


「じつは、ボクの口、ほとんど入れ歯なんだ。

 白くて綺麗だと思ったろ?

 甘い物が好きだから、虫歯が多くってさ。

 だから、入れ歯になっちゃった。

 それに、甘いの食べ過ぎて、血液の流れが悪くなっちゃって。

 糖尿病ってヤツ?

 よくわかんないけど、薬、手離せないんだ」


 初耳だぞ、オイ!


 ウイリアムは懐から小瓶を取り出し、中にあった錠剤をガリガリと噛みだす。

 自慢の入れ歯で、薬を噛み砕いて飲む。


 でも、錠剤のお薬って、普通は水で飲み込むもんじゃないの?


「ちなみに内臓も良くないせいで、ボクのアレ、()たないんだよね、あんまし。

 だから悪いけど、子供できないかも。

 これ、貴女や、相手方のご両親には絶対言うなって、父上が釘を刺してたけど、ボク、嘘はつきたくないんだ」


 目の前が真っ暗。

 ただでさえ跡継ぎが生まれないと女のせいにされる世の中だというのに。

 ここまで来たら、いっそのこと、隠し事は全部、吐き出して(もら)わなければ。


 今度は、私の方が身を乗り出して、固唾(かたず)を呑む。


「他にも何か?」


 誘い水を向けただけで、婚約者は、あっさりと重大な背信行為を口にした。


「ボク、王都学園を卒業してるってことになってるけど、じつは中途退学なんだ」


「貴方様は、先の大戦に従軍なされたと、仲人さんから(うかが)いました。

 もしかしたら、その関係でーー」


「いや。どうせ公爵家を継げないから、辞めちゃった。

 じつはボク、(めかけ)の子なんだ。

 いや、正確に言えば、(めかけ)ですらないか。

 亡くなったボクの実母は平民の貧民でさ。

 父上がチャリティー活動をしてたときに出逢って、ボクが出来たんだって。

 いずれにせよ、ボクは妾腹だから、マロリー公爵家の家督は継げないってさ。

 正室の子である弟アダムが、跡を継ぐことになってる」


 私、フランシス・マーズベリー伯爵令嬢は結婚後、ウイリアムのマロリー公爵家に嫁入りするものとばかり思っていた。

 が、違うらしい。


「結婚したら、ボクは爵位なしのウイリアムになる。

 でも、それでは体裁が悪いって父上も配慮してくれた。

 結婚後は、貴女の実家、マーズベリー伯爵家の家名を名乗りたい」


 そんなことを急に言われても……。

 私の実家マーズベリー伯爵家は、弟のジョセフが家督を継ぐことになってるはず。

 どうなるんだ?

 お父様のドンス・マーズベリー伯爵は、マロリー公爵家の事情をどれだけ知ってるんだ?

 たしかに、弟ジョセフを婿に出すということもできるかもだけどーー。


 でも、これじゃあ、将来のビジョンがメチャクチャだ。

 そりゃあ、公爵家のご夫人ってのに憧れてもいたけど、私は、そうまで家柄にこだわるつもりはない。

 爵位があがれば、それだけ厄介な付き合いが多くなるのも事実だから。


 でも、とりあえず、収入ぐらいは確保されてるよね?


「ウイリアム様は、王宮の内務省にお勤めだと(うかが)いましたが?」


 と、恐る恐る尋ねてみる。

 すると、これまた、あっさりと驚くべき内容を返してきた。


「結婚したら、ボクはマロリー公爵家の令息ではなくなるから、当然、王宮での仕事は終わる。

 解雇されるんだ。

 内務省では公爵家専属枠の役職についているだけだからね。

 だから、ボクが君のマーズベリー伯爵家の者となったら、とりあえずは、伯爵家の領地収入で食わせて(もら)うしかないかなぁ。

 でも、安心して。

 古株の者たちの仕事の邪魔をするつもりはないから。

 家にいるときは、執事や侍女に構うつもりもないし、領地経営も家令に任せる。

 家事も掃除も、ボクは邪魔しない。

 食事も、食べる専門だ」


 なによ、それ?

 マジで無職になるってのに、平気なの?


「じゃあ、ウイリアム様。

 貴方は私と結婚してから、何をなさるおつもりなんですか?」


「以前のように、家に引き篭もって、ヘビの世話をしたい。

 侍従を何人かつけて欲しい。

 やることが色々あるから」


「やること」ってーー要は、ネズミを繁殖させて、ヘビに食べさせ、ヘビを日向ぼっこさせるってことだろ?

 私は全身から力が抜けていくのを感じた。

 ハッキリ言って、自分の将来に絶望し始めていた。

 なのに、対面に座る婚約者は、嬉々として、自分の描く未来図を語っていく。


「あとは時折、少女を平民から選んで、ボクの世話係に雇ってくれると嬉しいな。

 あ、ボクが世話する側面もあるから、世話係というより、ヘビと同じく、彼女たちはペットってことかなぁ。

 まあ、なんにせよ、ボクも現実ぐらいは知ってるからね。

 そうした生活を維持するためにはお金が必要ってことぐらいは、わかってる。

 だからさ、持参金をよろしく。

 ーーあ、ボクが婿になるんだったら、持参金は(もら)えないのか。

 でも、良いよ。

 土地も屋敷も資産も、丸ごとボクのものにできるんだろ?」


 こうしたセリフを、婚約者ウイリアム・マロリー公爵令息は、いきなりぶちかましてきた。

 互いの親への挨拶を済ませ、マロリー公爵家主催の婚約パーティーも終えて、あとは結婚式ーーという段階で。


 どうする?

 これは明らかに地雷案件だ。

 テーブルに置いた自分の手が、震えていることがわかる。


「ウイリアム様。

 私は一度、家に帰って、両親と相談したく……」


 これ以上、縁談を進めるのを、私は断ろうとした。

 すると、さすがに向こうも察したらしい。

 でも、彼には、緊張感がまるで伴っていない。

 私が、相変わらず、結婚に夢見ているままだと信じているかのようだ。


「おいおい、フランシス嬢。

 いいかげん諦めて、ボクで手を打ちなよ。

 お互い、婚期を逃しちゃって、スネに傷を持つ者同士なんだからさ」


 冗談じゃない。

 いくら婚期を逃したからって、こんな気色の悪い男と添い遂げられる気がしない。


「とにかく、私は帰ります!

 結婚は双方の家の問題でもありますから」


 私は席を立ち、公爵家の執事たちから止められつつも、強引に家へと帰った。


◇◇◇


 実家のマーズベリー伯爵家に戻るや否や、私、フランシスは、両親に向かって、


「この縁談、断って!」


 と叫んだ。

 が、両親からは、色良い返事は得られなかった。


 実際、三十歳を超えた私は、身分上との縁談を拒否し難い状況になっていた。

 双方の親が、水面下で手を結び合い、色々なことを承知の上で、この縁談をまとめようとしていたのだ。


 私を愛してくれるお父様、お母様だったら、アイツのやった〈後出し暴露〉に激怒してくれるかと思ったのに。


 お母様、メール・マーズベリー伯爵夫人は、扇子でテーブルを打ちつつ、小言を言う。


「フランシス!

 貴女、もう幾つだと思ってるの!?

 我が一門で、娘が嫁に片付いていないの、ウチだけなんだからね!」


 ウイリアムのマロリー公爵家は、私の実家マーズベリー伯爵家にとって寄親に当たる。

 我がバーム王国の貴族社会において、寄親・頼子の上下関係は絶対的だ。

 事実、私の弟ジョセフの就職の世話(王宮の尚書省勤め)を、婚約者ウイリアムの父親アンリ・マロリー公爵にしてもらっている。


 お父様、ドンス・マーズベリー伯爵も、眉間に縦皺を刻んで、腕を組むばかりだ。


「我がマーズベリー伯爵家の家督を継ぐのは、おまえの弟ジョセフのつもりだった。

 が、まさか、マロリー公爵家に、そのような事情があったとは。

 でも、アンリ・マロリー公爵閣下は、私どもを粗略には扱わないはず。

 ジョセフの婿の口も、良い家を用意してくださるかもしれん。

 だったら、アンリ公爵閣下のご意向に従うしかない……」


 マロリー公爵家も、本気で、あの(めかけ)の子ウイリアムを厄介払いしたいのだろう。

 私、フランシスを片付けたい我がマーズベリー伯爵家と、利害は一致していたのだ。


 だからといって、あんなウイリアムなんかと結婚させられてはたまらない。


 私は方々を訪ねて、縁談を中止する方法を模索した。

 が、なかなか難しい。


 仲人のペン・アルテルリ伯爵は、私の父親ドンスと職場(財務省統計部)の同僚で、もちろん、我が父と同様、寄親貴族であるアンリ・マロリー公爵の言いなりだ。

 私がどんな文句を言っても、無視するばかりか、逆に説教してくるありさまだった。


「フランシス嬢。

 貴女がこれまで、どれだけの縁談を壊してきたか考えてみたまえ。

 未婚のご婦人が、殿方を選り好みするものではない」


「……」


 私のことを「未婚の令嬢」ではなく、「未婚のご婦人」と表現するあたりに、ちょっとした悪意が感じられる。

 たしかに今の私は、皮肉を言われても仕方がない年齢なのかもしれない。

 でも、今回の縁談においては、明らかに非があるのは、私ではなく、向こうの方だ。


 たしかに、これまでも何度か婚約の話はあったが、その度に蹴ってきたのは私だ。

 が、せっかくお見合いまでしたのに、相手側が蹴ってきた場合もある。

 結局、幾つもの婚約話を蹴ったり蹴られたりしているうちに年数が経って、ようやく上位の貴族家との縁談がまとまって、結婚できると思っていたのに。

 まさか、名門マロリー公爵家の令息が、嘘をつき、〈後出し暴露〉をしかけてくるとは。


 このとき、仲人のペン伯爵から、改めて(うかが)った。


 ウイリアムが学園を卒業したという履歴は真っ赤な嘘。

 そして、学園卒業後、従軍期間があるというのも嘘。

 七年間、ずっと引き篭もって、ヘビを飼い、ネズミを繁殖させていただけだった。

 だから、胸にぶら下げてた数々の勲章も、全部借り物。

 彼の祖父と父親のものだという。

 自分が(もら)ったらものではなかった。


 私、フランシスと初対面する前に、仲人ペン伯爵に対して、彼、ウイリアム・マロリー公爵令息は言っていたそうだ。


「皆、敬意を払ってくれるから、便利なんだよね、勲章って。

 幸い、お祖父様や父上が武勲立ててるから、勲章はウチにいっぱいあるんだよね。

 フランシス嬢に良いところ見せたいから、ボク、戦場で活躍したってことにしといてよ。ね!」と。


 まったく、ここまでくると、詐欺師に騙された気分だ。

 仲人のペン伯爵は、まるで味方になってくれない、とわかった。

 今まで、こんな重要な事実すら、マロリー公爵家の意向に従って、私に隠していたのだから。


 私、フランシス・マーズベリー伯爵令嬢は、覚悟を決めた。


 意を決して手紙を書き、マロリー公爵家に向かって、今一度の会見をお願いした。

 しかも、婚約者ウイリアムに宛てて、


『あのときは驚いてしまって、申し訳ありませんでした。

 でも、よくよく思い返してみれば、可愛いヘビちゃんでしたね。

 今度は、じかに触れて、頭を撫で撫でしてあげたいです』


 と追記して。


◇◇◇


 そして、手紙で指定した日時ーー。


 私、フランシス伯爵令嬢は、マロリー公爵邸を訪問した。


 ウイリアム公爵令息は、満面の笑みを湛えている。

 彼の足下で、何匹ものヘビが、とぐろを巻いていた。

 その後ろには、マロリー公爵家のご夫妻、アンリ公爵とネリ公爵夫人、そして弟君、アダム・マロリー公爵令息が顔を連ねていた。

 敢えてウチの両親は呼ばず、彼、ウイリアムのご実家のみに列席してもらったのだ。


 ウイリアムは、家族に、そして私に、自分の趣味をお披露目できて、嬉しいようだ。

 皆の目の前で、キーキー泣き喚くネズミを、ヘビに丸呑みさせる。

 ヘビは、顎が外れんばかりに大口を開けてネズミを呑み込み、口を閉じる。

 やがて、膨らんだ喉の中でバキバキとネズミの骨が砕ける音が聞こえてくる。

 自分の行く末を悟ったのか、さらに騒ぎ出したネズミを、ウイリアム慣れた手付きで、何匹も大ヘビの口へとどんどん放り投げる。


 そうしたさまを目にして、マロリー公爵家の方々は青褪め、身を退いていた。

 やっぱり、気持ち悪いと思っているのだ。

 ネリ公爵夫人などはハンカチを口に押し当てて、吐きそうなのを我慢している。


 周囲の空気をまるで意に介さず、婚約者ウイリアムはヘビの首をむんずと掴んで、私の方に向けて差し出す。

 他の大ヘビに比べたら小振りのヘビだ。

 まだ子供のヘビなのだろう。


「大丈夫だから、触ってみて。

 撫で撫でしてあげてよ」


 やはり、そう来たか。

 私、フランシスは覚悟を決めて、彼の足下で屈み、ヘビの胴体に触れる。

 すると、ヘビが私の腕に巻きついてくる。

 そして、いきなり咬んできた。


「痛い!」


 少し涙目になる。

 そんな私を見て、彼、ウイリアムは笑った。


「この子、君を気に入ったようだね。毒はないから心配ないよ」


 私は、彼のセリフを耳に入れなかった。

 キュッと唇を噛む。


(ごめんなさい。

 ヘビちゃんに罪はないかもだけど、私、これ以上、咬まれるの、嫌だから!)


 私、フランシスは、懐からナイフを取り出し、ヘビの尻尾近くを突き刺す。

 ウイリアムが逆上し過ぎないよう、深傷を負わせないように気を遣いながら。

 そして、その傷ついたヘビを、婚約者に投げつけた。


 ウイリアムはヘビを両手で抱え込むと、目を丸くして叫んだ。


「なんてことを!

 この子が怪我しちゃったじゃないか!」


「ごめんなさい。

 私、ヘビが苦手なんです。生理的に無理。

 ですから、マロリー公爵家に嫁として入るのは無理なんです。

 そして、たとえウイリアム様を我がマーズベリー伯爵家にお迎えするにしても、ヘビを持ち込まれるようでしたら、私は我慢できそうもありません。

 ほら、この腕をご覧ください。

 咬まれて、血が出ているんですよ!

 こんなことを度々されるのなら、私、ヘビをもっと刺しちゃいそう。

 今度は首を、頭を、何匹も、何匹もーー」


 ウイリアムは、全身を震わせて立ち上がる。


「フ、フランシス伯爵令嬢!

 き、君みたいな、野蛮で、冷酷な女なんか、願い下げだ。

 ボクの妻に相応しくない。

 婚約破棄だ!」


 よし。

「婚約破棄」というお言葉、たしかに頂きました!


 私、フランシス・マーズベリー伯爵令嬢は、大きくうなずいてから、胸を張った。


「わかりました、ウイリアム様。

 これで私との婚約は破棄されたのですね。

 では、お父上のアンリ・マロリー公爵閣下。

 息子さんが私との婚約を破棄してくれましたので、その旨を私のお父様にお伝えください。

 私の口からは言いたくありませんから。

 名門マロリー公爵家のご令息が、大層ヘビにご執心で、

『ヘビが巻きついて咬みついたのを撃退しただけで、私は婚約を破棄されました』

 などと、世間に向けて語りたくはないのです。

 そして、もし婚約破棄が果たされないようでしたら、私、フランシス・マーズベリーは、ありとあらゆる知り合いに口外いたしますよ。

 ウイリアム・マロリー公爵令息が自ら語ってくださった、奇異なご趣味をはじめとした、暴露された内容について。

 学園を卒業できず、妾腹の出で、家督も継げず、従軍経歴もなく、入れ歯で、病気持ちで、子供も作れそうになく、それからーー」


 アンリ・マロリー公爵は、苦虫を噛み潰したような顔で、髭の下から声を絞り出す。


「わかった。もう、良い。

 フランシス嬢には、迷惑をかけた」


 その隣で、ネリ・マロリー公爵夫人が扇子で口許を隠しながら、吐き捨てる。


「だから、言ったのよ。

 ウイリアムみたいな子に嫁を世話するのは、どのご家庭でも、ご迷惑ですって。

 まさに名門マロリー公爵家の家名に泥を塗るようなもの。

 貴方が、変な女と子供なんかお作りになるからーー」


 ウイリアムの弟アダム・マロリー公爵令息は、始終、ソッポを向いている。

 肝心の元婚約者ウイリアム・マロリー公爵令息は、ヘビを抱き締め、傷口に手を当てながら、顔を真っ赤にしてこちらを睨み付けるばかり。


 そして、名門公爵家の面々から、冷たい視線を浴びながら、私は深くお辞儀をして、マロリー公爵邸から立ち去った。


 かくして、私、フランシス・マーズベリー伯爵令嬢は、地雷オトコから婚約破棄を宣言させることに成功したのである。


◇◇◇


 それから、一週間後(結婚式が予定されていた日から二週間前)ーー。


 幸い、婚約破棄は成立し、違約金もマロリー公爵家からたっぷり(もら)えた。

 ウイリアムについての口止め料も含んでいるのだろう。


 私、フランシスは、改めて胸を撫で下ろす。

 と同時に、お父様、お母様を許すことができず、心情的に、実家マーズベリー伯爵家に居られなくなり、外国への留学を希望した。


 留学先は、本音を言えば、実家、そしてマロリー公爵家一門から逃れられるなら、何処でも良かった。

 だけど、どうせなら、幼い頃からの趣味を充実させるためにと、お茶とスイーツなどの食文化が盛んなリベラ公国の料理学園に留学した。


 もちろん、令嬢時代のようにお茶会を頻繁に開くことは出来なくなったが、愛する家庭が築けたのなら、代わりに、そのお屋敷内で、愛する夫や子供、果ては従者たちとも、食後のデザートを愉しむことぐらいはできるはず。

 結婚したら、暖かい家庭を作りたい。

 夫をいたわりたい。

 お茶のブレンドを考えて、その味に合うスイーツを見繕(みつくろ)うーーそんな生活を送りたかった。


 元婚約者のウイリアムは、たしかに甘いものが好きだったけど、味わうことを知らない馬鹿舌だった。

 スイーツもお菓子も丸呑み(まるで、ヘビがネズミを丸呑みするかのよう)。

 お茶っ葉の新しさにも気づかないし、紅茶の香りすらも嗅ぎ分けてくれない。

 どんな料理であっても、その隠し味を察することができない。

 スイーツに落とされた、ちょっとした香り付けの工夫にも気づかない。

 香り付けに、と渡したブランデーを、ケーキにドボドボと注ぐ始末。

 そんな杜撰なオトコだったから、何を語ろうにも、話が噛み合わなかった。


 お父様ともお茶を愉しむことができなかったから、おかげで私、フランシスは、「殿方とは、お茶を(たしな)めぬ者、スイーツを味わえぬ者」と決めてかけてしまっていた。


 ところが、リベラ公国へと留学し、留学先の料理学園で知り合った男性と喫茶店を巡り歩いて、それが偏見だったと知り、その男性とすぐに結婚した。

 私にとって、本気で男性を好きになったのは初めてのことだった。

 私は初恋の人と、見事に結ばれたのである。


 彼はリベラ公国の公主家お抱えのパティシエの家系で、料理を文化にまで高めたお国柄に相応しく、伯爵位を(たまわ)っていた。

 料理人の家系が貴族として扱われるなど、母国のバーム王国では、あり得ないことだ。


 幸い、私、フランシスは、彼の実家から、たいそう歓迎された。

 あの〈後出し暴露〉によって婚約破棄に至ってから、わずか一年後のことである。


 あのまま、ウイリアム・マロリー公爵令息と結婚していたら、恋愛感情が崩壊したまま、男性を愛することも知らずに、暗鬱とした日々を送ることとなっていただろう。

 婚約破棄してもらえて、ほんとうに助かった。

 結果、今となっては、実家を捨て、国から出る決心をさせてくれたウイリアム・マロリー公爵令息には感謝している。


 幸せは、どのようにしてもたらされるのか、ほんとうにわからない。

 そう実感される体験ばかりだった。

 私、フランシス三十二歳は、今、愛する夫と一緒になって、とっても幸せだ。


(了)


=======


 ちなみに、後日譚ーー。


 フランシスが居なくなった後、マロリー公爵家とマーズベリー伯爵家では大きな変動があった。


 事の発端は、ウイリアム・マロリー公爵令息の結婚に失敗した責任を、アンリ・マロリー公爵が、仲人ペン・アルテルリ伯爵に押し付けたことだった。


 予定されていたウイリアムとフランシスの結婚式への招待状を、すでに多くの一門貴族家に送っていたので、急遽取り止めとなった理由を、アンリ公爵は明かしたくなかった。

 だから、急いで代わりの結婚相手を見繕(みつくろ)うよう、ペン伯爵に強い圧力をかけたのだ。

 とはいっても、二週間という短期間で、新たな嫁が、都合良く見出せるはずもない。

 そのまま、ウイリアムの結婚式は取り止めとなってしまった。

 その結果、縁談をまとめることができなかった仲人ペン伯爵が、マロリー公爵家一門から非難され、さらには婚約者だったフランシスを外国に逃した責任を問われ、職場を追われてしまうこととなった。


 窮地に陥ったペン伯爵は、マロリー公爵と敵対する王弟殿下に泣きついて、それまでの貴族仲間を裏切ることを決意する。

 ペン・アルテルリ伯爵は、マロリー公爵家の長男ウイリアムが、いかに不出来な男なのかを、ありとあらゆるパーティーに出席して吹聴し始めた。

 ウイリアムのことを、若いのに総入れ歯、幼女趣味で、薬が手離せないほどの病人、大きなヘビを育てることにしか興味を示さない奇人だ、と喧伝した。

 さらに、こうした「事実」に尾鰭がついて、「噂」となって(ちまた)に流れた。

「マロリー公爵家令息のウイリアムは、夜な夜な街を徘徊しては幼女を(さら)って殺している」、「ウイリアムは、ヘビと一緒にネズミを食べている」ーーなどといった噂が流布し、下町の平民ですら耳にするようになった。

 その結果、マロリー公爵はメンツが丸潰れになって、屋敷に引っ込むようになる。


 が、その折に、驚くべき事件が起こった。

 噂の的だった、マロリー公爵家令息のウイリアムが、突然、窒息死したのである。

 彼はいつものようにヘビたちと一緒に寝ていたのだが、たまたま、二匹のヘビが彼の身体にとぐろを巻いたことで身動きが取れなくなっていたところを、一匹のヘビが胴体を横たえて彼の口を塞いでしまったのだ。


 ところが、そのような「事実」を公表されても、それを「真実」と思う者はいなかった。

 誰もが、親のアンリ・マロリー公爵によって、愚息ウイリアムは謀殺されたのだと思った。


 だが、怪事件は、それだけでは終わらなかった。

 その殺人ヘビ、そしてその餌であったネズミが、何十匹もマロリー公爵邸から逃げ出して貴族街を這いまわるようになって、苦情が寄せられるようになった頃ーー。

 今度はウイリアムの弟アダム・マロリー公爵令息が、ヘビによって丸呑みにされてしまったのである。


 この事件は、悲劇を生んだ。

 愛する実子を失って絶望したネリ・マロリー公爵夫人は、短刀で喉を突いて自害。

 立て続けに起こった惨劇を受け、アンリ・マロリー公爵は正式に政界から引退、一気に老け込み、寝たきりの生活になってしまった。


 結局、ウイリアムの死によって面倒を見てもらえなくなったヘビやネズミは、第一から第四までの騎士団を総動員することで、ようやく貴族街から駆除することに成功した。

 だが、バーム王国の王都は騒然としたままで、なにか不幸な出来事があると、決まって「ウイリアムの(たた)りだ」と皆が噂するようになった。


 さらに翌年になって、外国に逃げたフランシスが、留学先で爵位を持つ貴族と結婚した。

 だが、こうしためでたい出来事も、実家マーズベリー伯爵家では凶事を呼び起こした。


 マーズベリー伯爵夫妻にとって、娘の結婚は、実家と母国を捨てたフランシスから式に招待されていなかったので、まさに寝耳に水であった。

 ところが、両親や弟、さらには一族の誰もがフランシスの結婚式に参列しなかったことを、母国の人々は、わざと参列しなかったのだと解した。

 その結果、「なんて冷たい家族だろう」、「そもそもおかしな男と、無理に結婚させようとしたのは彼らなのに」などと、マーズベリー伯爵家の者全員が非難の的となってしまった。

「ウイリアムの呪い」が噂されるにつれ、「フランシスの元婚約者はバケモノだった」ということは既定事実とされている。

 その魔の手から、実家をも捨てて逃れたヒロインこそが、フランシスだと思われるようになっていたのだ。

 だから、もとより姉のフランシスを慕っていた弟ジョセフ・マーズベリー伯爵令息は、姉の結婚騒動における両親の態度を恥じて、父親を殴り倒し、実家を飛び出した。

 そして、子爵家の令嬢と恋仲になって婿入りし、実家を捨てた。

 マーズベリー伯爵夫妻は、息子の家出を制止できず、落胆するばかりだった。


 かくして、その結果、マロリー公爵家とマーズベリー伯爵家は共に後継者を失い、近いうちに断絶するのではないか、と噂されるようになったという。

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