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3 王女を助ける

 

「わぁ!やっぱさすがは王都だ。でかいな」


 俺、エリカ、リディアの3人は無事に、オルマン王国の王都リュクサンブールに到着した。


「アルティ様は、王都は初めてですか?」


「ああ、そうだ」


 馬車で話すうちに、エリカ、リディアの2人とはすっかり仲良くなって、いつの間にか敬語ではなく、タメ口で話すようになった……と言っても、リディアに関しては俺の方からだけなのだが。


 リディアは、「アルティ様にタメ口を使うのは恐れ多い」とか言って、敬語をやめてくれなかった。

 俺はちょっと強いかもしれないだけで、そんな凄いわけでも無い、ただのしがない貧民なのに……


「しかし、なんかさっきから凄い数の視線が向けられている気がするんだが……」


 街ゆく人がほぼ全員、俺に注目しているのである。


 左隣で俺にベタベタしてくるリディアは、”4桁レベル”のSSランク冒険者で、世界的に有名。

 右隣にいるエリカは、本人曰く【剣聖】の称号を持っており、これまた世界的に有名らしい。


 そんな2人に挟まれている謎の男。そりゃ大注目を集めるわけだ。


「私はこういう視線には慣れてますけど、アルティ様はまだ慣れてないでしょうね」


「アルティ様は世界的に有名になるのも時間の問題だし、今のうちに慣れないとだね!」


 そう言いながら王宮に向かって街を歩いていると、突然、少女の悲鳴が響き渡った。


「アルティ様、悲鳴が……」


「わかっている」


 俺はとっさに、悲鳴が聞こえる方へと走り出した。


 しばらくすると、煌びやかな馬車と、それを襲う巨大な牛の魔人がいた。

 馬車の中には、怯えて震えている、ドレスを着た煌びやかな少女がいた。


「俺が倒すから」


 そう言って俺は、伝説級魔法【ロウファイア】を魔人に目がけて撃った。


「グガアアアアア!!!!!…………」


 魔人は力を失って倒れた。


「は?Sランクモンスター”ミノタウロス”をこうも一瞬で…………」

「どういうことだ!この男は一体何者なんだ!」


「お黙りなさい!」


 騒いでいる衛兵たちを制止して、ドレスを着た煌びやかな少女が馬車から出てきた。


 そして俺の前で、頭を下げた。


「王女様が平民ごときに頭を下げるなんて……」

「そうです、みっともないですぞ」


「だ・か・ら、お黙りなさい!」


「ハイ!」


 少女改め王女がまたしても衛兵を制止した後、口を開いた。


「このたびは誠にありがとうございました。貴方のおかげで私の命は救われた。礼をしてもし切れません!」


「いや、頭を上げてください!俺は当たり前の事をしたに過ぎませんから!」


 俺は王女に微笑み、王女を立ち上がらせるために手を伸ばした。


「ミノタウロス討伐が当たり前だなんて、すごくお強いのですね」


 王女は顔を赤らめ、上目遣いで見つめてきた。


「いや、弱いですよ……」


「謙遜なさらないでください!貴方の名前、お聞きして良いですか?」


「アルティです…………」


「アルティ様っていうんですね!良い名前です!私、この国の王女でして、今から王宮に戻るんですけど、よければ一緒に馬車に乗りませんか」


 王女は俺と手を繋いできた。俺は恐る恐る、馬車に乗る。


「あ、よければあなた方お二人も、一緒に馬車に乗ってください」


「あ、はい、ありがとうございます」


 エリカとリディアも馬車に乗り込んだ。

 どうやらリディアは、俺に酷く腹を立てているようだ。


「なんで私のアルティ様をこんな女に取られるの……」


「アルティの神々しい御姿を見たら、どんな奴でも惚れるからね!仕方ないから、ここは王女様とも仲良くするのが良いと思うよ!」


「うん、そうかもしれない」


 どうやらリディアの機嫌は、エリカの謎の励ましによって治ったようだ。

 しかし、なんか違う気がするが…………


「アルティ様は王宮に、何の用で行かれるのですか?」


 俺は聖人候補の推薦状を王女に見せた。


「あら!凄い…………では、これを持って私のお父様のところに行かれるのですか」


「そうですよ」


「でしたら、私もご一緒させてください!」


「良いですよ」


「ありがとうございます!」


 しかし、さっきから王女は、なぜか俺の腕にしがみついている。

 なんか落ち着かない…………


「王女様、俺にもたれずに、もうちょっとゆったり座ってはどうですか」


「いや、それだとダメなのです。まだ怖いですから、こっちの方が安心できます」


「そうですか、王女様…………」


「あと王女様って呼ばないでください!私の名前はアンジェラなので、アンジェラって呼び捨てで呼んでください!」


「いや、王女様相手に恐れ多いですよ!」


「アルティ様が私を敬う必要はありません!絶対に呼び捨てで呼んでください!その方が良いんです!」


「……あ、はい、アンジェラさ……アンジェラ……」


 王女相手に貧民が呼び捨てとは、違和感がすごい。


 ともかく、王宮が見えてきた。



 ♢



 ブリットン帝国の宮殿の一室にて、皇帝とアルティの父親である、辺境伯のデニスが会話している。


「グハハハハ!!!ようやく、ようやくオルマンのクソ娘が消える!メシがうまいわい」


「はい!私としても嬉しい限りです。そろそろ、平和教会から依頼達成金が送られて来る。そうなれば……」


「ああ、使いきれぬほどの金だ。その金で豪遊しようぞ!」


「人民どもはどうするのですか?」


「フッ、あんなカスども、勝手に飢えさせておけば良かろう!」


「さすがは陛下!弁えていらっしゃいますな!」


「ところでデニスよ、6年も放置していたアルティをようやく殺処分するとか……」


「ああ、そうなのです!アイツへはすでに我が国最強の剣士オーソンを送り込んでおります!」


「オーソンか!あの、残虐な殺し方をすると有名な」


「はい、アイツの体で遊んで、楽しんでから殺したい!他人の苦しみ、それが私の養分ですからな!グヒヒヒヒ!」


 すると、兵士の一人が焦った様子で、部屋に入ってきた。


「ご報告します!ミノタウロスが何者かによって倒されました!オルマンの王女は無事な模様です!」


「あ?」


 そう言って、皇帝はものすごい勢いで机を叩く。


「糞が!!!ミノタウロスを倒せるやつなんて限られている!これはもう、聖人が動いたとしか…………とりあえず、ミノタウロスを倒したやつを特定しろ!」


「承知いたしました!」


 兵士が部屋から出ていった。







お読み頂き、ありがとうございます。

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