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〈57〉

 あぐらから膝立ちになって教室から校庭を見ると、森本君がフリーキックの練習をしていた。何人かの壁にシュートしたボールが当たったり、ゴールの上をボールが飛んで行ったりしている。何か違和感があると思ったら、森本君は右足で蹴っている。彼は左利きなのに。

 あぐらに戻って金井君にそう言うと、「なんでだろうね?」と金井君もよくわからないらしい。まあこういうこともあるのかな。美樹もあぐらで紙パックのジュースをストローで飲んでいる。美樹は昼休みは取り巻きと放課後は私たちと過ごすことがお決まりのようになって彼女なりにバランスをとっているらしい。

 どういう流れでそうなったかわからないが、いつしか森本君が20個もバレンタインチョコをもらったのに誰とも付き合ってないのはなぜかみたいな話になっていた。

 「圭斗(森本君)はあれよ、自分の中で好きになってほしい場所というか好かれ方に基準があるのよ。きっと」と金井君は言った。金井君は森本君がいない時は圭斗と呼び、森本君がいる時は、森本君をけいっちょと呼んだ。なぜだかわからないが。続けて

 「ほら、あいつは、身長も高くて、シュッとしてて、勉強もできて、運動もできるじゃない。モテる要素だらけだけど、あいつにとってはそこはものすごく表面的な部分なんだろうね。でもあいつを好きな子はそこが好きなんだろうけど、贅沢な話だよな、じゃぁどこを好きになればええねんって話じゃん」

 金井君の分析はなかなか的を得ている気がするなぁと思っていると、美樹が

 「さすが親友よくわかっている」と言った。そしたら金井君は

 「親友…ふふ」と鼻を鳴らした。

 金井君は森本君と親友と言われることに何かあるらしいのだが、私には森本君のような人気者と同格に扱われることに、気負いのようなものがあって、それによる自嘲的な笑いではないことだけは確かなような気がした。そしたら金井君が

 「あいつと親友と思ってもらえるなんて光栄です」

 と、かしこまった言い方をした。

 そう発言したということは、やはり先ほどの皮肉めいた笑いを表向きには自嘲的な照れ笑いということにしておきたいんだなと私は思った。

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