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〈53〉

 毎度おなじみになった昼休み屋上同盟である。昨日はザ・2月と言った真冬の気候だったのに、今日はそれをけろりと忘れ、またポッカポカである。私から左に鈴音、絵美里、舞香、金井、美樹、森本、でまた私で、ぐるり円になってなんかこの並びがもうフォーマットのようになっている。

 中庭からはチアリーディング部の「ファイ!オー!」という昼練の声が聞こえる。私は青春が弾けとるな~と思いながら、完全燃焼する青春もあれば、不完全燃焼な渋い青春も、それもまた青春らしいやないか。青春、青春、もう全部青春や、と小春日和のせいではないが頭までポッカポカである。

 というのも、最近金井君の言動を分析してたら、どっと頭が疲れたので、もう何も考えたくなくなってしまったら、こうなったのである。いつものように舞香とネット将棋をしている金井君を見ながら、もう知らん、金井は金井の人生や、なるようになるやろ、と勝手に背負っていた重荷をなるべく遠くまで投げ捨てたらポッカポカである。

 一方、あれから鈴音と森本君がまたよくしゃべるようになり、新たな関係が構築されてまことに結構なことであるが、一つ気がかりなのが、私を挟んで楽しそうにしゃべっていることである。だったら2人で隣同士でしゃべればいいものをなぜか私を挟まないといけないみたいで、私はドラマでよく見る受刑者と面談者の間の丸いプツプツ穴の空いたアレ(名前わからん)になった気分である。

 2人の新しい関係には穴の空いたアレ(私)がないといけないのかしら?とやや戦慄めいたものを覚えながら、それ以上は深く考えることを脳が拒否して、また太陽ちゃんのやわらかい暖かさに意識を戻し、ああポッカポカや~と風呂にでも浸かった気分で居ようと心がける。

 もう見たくないもの考えたくないものは見なくてもいいし考えなくてもええんやと、自分に無理やり言い聞かせて一息つく。

 絵美里を見ればいつものように「嘘泣きの演技」という題名…嘘泣きの演技!?どうした絵美里!?題名に妹も幼馴染も悪役令嬢も入ってないやないか!なんだそれは!ていうか、嘘泣きがそもそも演技なわけだから演技のような演技ってことか?ああいかんいかん!もう考えるのはやめたんや!もうすぐ春だしこんなこともあるだろう。

 私は絵美里の本を見なかったことにして売店で買ったペットボトルのお茶を茶道のように底に手を添えてゆっくりと含んだ。

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