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〈50〉

 昼休み今日は舞香と絵美里と3人でお弁当。席替えで舞香が左前になったので都合がよく、隣と後ろの席の子はまた仲のいい子のところへ行き、私と舞香と絵美里の3人で無言で席をコの字にする。

 絵美里は魔法瓶と巾着袋を机に置き、そこから弁当箱を出し、左右の留め具をカチャっと開け、蓋をスッと置く。無駄のなく洗練されたこの一連の動作ももう見慣れたものである。私も弁当箱をあけ箸箱から箸を取り出して、小さくいただきますと言った。

 絵美里は魔法瓶の蓋をあけ、逆さに置き、そこに向けて魔法瓶を傾ける。そこから湯気とともに味噌汁が注がれ、味噌のいい香りがふわーっとやってくる。

 私はその味噌の香りに抗えず、一度一口もらったことがある。やはり味噌汁がつくだけで食事というのは全然違うもので、味噌汁のない食事は、名わき役のいない映画のようなものである。もう全然違う。

 そして絵美里の味噌汁の香りはすぐにクラスに充満し、その香りに刺激された生徒が翌日から同じく魔法瓶に味噌汁を入れて持ってくるという、味噌汁ブームをクラスに引き起こしたことがある。

 しかし、味噌汁が余っていれば入れれるだろうがそのためだけに味噌汁を作るのは、コスト的に割りに合わないだの、単純に朝の忙しい時間に余計な手間を入れる隙がないとか、魔法瓶を洗うのがめんどくさいなどと思われるそれぞれの家庭の事情があるのか、他の生徒の魔法瓶味噌汁は数日しか持たず、今度はコンビニで買ったカップ味噌汁に職員室の電気ポットでお湯を調達するという猛者が現れた。

 しかしこれも毎回職員室でお湯をもらうのが気が引けるのとめんどくさいのとが重なり長続きせず、最後にはカップ味噌汁とお湯を入れた魔法瓶を持ってくるという折衷案にまで進化した。

 それでもどうせ朝か夕食に味噌汁が飲めるので、他の生徒の味噌汁への情熱はそこで途絶え、結局味噌汁を昼休みに摂取するのは絵美里一人が残ったのである。

 

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