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〈49〉

 家を出る準備をしながら金井君が夢に出てきた意味が気になっていた。夢というのはただの記憶の整理らしく、決して抑圧された無意識の発露なんかではないらしいのだが、それでも少し思い当たる節があった。

 以前、普通に生きることが、自分が人生の側に吸収されてしまうのではないかといった恐怖があるという、普通の高校生の金井君が言っていたのを思い出す。完全に寝ボケたことを言っているわけで、じゃあ高校辞めちまえよと正論で返せばそれまでのことをよく言っている。

 他にも「幸せに対して山頂のイメージがあるんだよね、幸せになってしまったらあとは下るだけって感じがしてどうしても幸せじゃない方が楽な気がするんだよ」

 などこれも、勉強しない言い訳を何か壮大なものでごまかそうとしているのがバレバレだし、両親がいて高校まで通わせてもらって、それがもうすでに幸せなことなのに、何を気障なこと言っとるんじゃボケがと、私は心の中で一蹴していた。

 こういった金井君の甘ったれた発言というのを私は正論を当ててすべてきれいに片づけたと思っていた、が…。

 金井君の言ったことは言葉や論理の上では甘い人生論であるが、本当に言いたいことはもう少しずれたところにある気がしてならないのも事実である。それが何かと言われれば言語化不能というか、無理やり言えば生きること自体のストレスとかそんな言い方になるのかもしれないが、そう言ってしまえば何か違う気もする。

 おそらくそのもやもやが私の夢に金井君を登場させたのではないかと、まあそうであってもそうでなくても無駄な解釈をしたのかもしれないなと思っていたら、私はすでに玄関で靴を履いていた。

 

 



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